![]() | (河出文庫) 柴崎友香 ![]() souiunogaii評価 |
内容紹介
高校の修学旅行の夜。鳴海くんとの間に感じた、恋とは違う、何か特別な感情……。
七年後、会社員になった有麻は、それを確かめるべく、東京に行くついでに、彼に会ってみようと思い立つ。はたして鳴海くんは、同じあの時間、何を感じていたのか?
せつない一週間の東京観光を描くロングセラー!
大阪から東京に遊びにやってきた主人公の有麻。
彼女が過ごした東京での一週間を、独特の感性で綴ったナチュラルな物語。
著者の柴崎友香さん自身も、大阪から東京に移り住んできた方ということで、その"関西人から見た東京"という街そのものの描かれ方が、実に面白い。
私は町自体がすごく好きで、町って時間の積み重ね、人間のやってきたことの積み重ねでできていると思うんです。そこに不特定多数の人がいて、知らない人との接触がある。よそ者はよそ者なりに鞄一つでうろうろして、ホームレスの人でも生きていけるような、町の懐の深さ、自由さってあると思うんですよ。
『文藝』2008年冬号 柴崎友香インタビューより
私も、大学に入るときに東京に来て、今も東京の会社で働いていて、でも、本作を読んでみて改めて気付いた東京がたくさんあった。
近くに住んでいるのに行ったことのない場所、知らずに通り過ぎてしまっていた場所、そういうところがいっぱいあるんだと、そう思った。
物語は、高校時代の思い出と、現在の東京探検とを交互に場面を切り替えながら進んでいく。
主人公の有麻という女の子の、周りの人物に対する視線や姿勢が、ちょっと他の人と位相がわずかに違う、独特な雰囲気を感じさせる部分があって、この感じは柴崎作品に共通する魅力だと思った。
また、有麻はカメラで写真を撮るのが趣味で、作品中でも、何かに心ひかれたものを見つけてはそれにレンズを向けてシャッターを切る。
その姿が、何だかとっても素敵な感じがした。
彼女が使っているカメラがTC-1っていうのもまたイイ。
カメラを出してきて構えなくても、今この瞬間に見ているものの全部をあとでプリントできたらいいのに。でも、もしかしたら、しょっちゅうカメラを構えて目の前に見えるものが写真になったところを想像しているわたしの目は、あとでプリントするもの、みたいな感じでなんでも見ているのかもしれない。
あと、しょうちゃんという男の子の次のセリフが、とても印象に残った。
「おれ、思うねんけど、たぶんそういうことやねんで。なんか急に、いつもと違うこととか新しいことをやってみようとか思う瞬間があって、それでいつも実際やるわけじゃないけど、たまにほんまにやってみるときがあって、なんでかわからんけど、できるときがあって、そういうのだけがちょっとずつ変えていけるんちゃうかなあ、なんかを」
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