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2019-03-31

[感想]田舎出身コンプレックス、母親との不仲、教師担当クラスは学級崩壊、旦那は風俗狂い、そして病気・引き籠り、それでも耐えて生きていく彼女の本音の物語。『夫のちんぽが入らない』こだま を読んで


4065129702夫のちんぽが入らない
(講談社文庫)
こだま

souiunogaii評価


内容紹介
“夫のちんぽが入らない”衝撃の私小説――彼女の生きてきたその道が物語になる。

2014年5月に開催された「文学フリマ」では、同人誌『なし水』を求める人々が異例の大行列を成し、同書は即完売。その中に収録され、大反響を呼んだのが主婦こだまの自伝『夫のちんぽが入らない』だ。
同じ大学に通う自由奔放な青年と交際を始めた18歳の「私」(こだま)。初めて体を重ねようとしたある夜、事件は起きた。彼の性器が全く入らなかったのだ。その後も二人は「入らない」一方で精神的な結びつきを強くしていき、結婚。しかし「いつか入る」という願いは叶わぬまま、「私」はさらなる悲劇の渦に飲み込まれていく……。
交際してから約20年、「入らない」女性がこれまでの自分と向き合い、ドライかつユーモア溢れる筆致で綴った“愛と堕落”の半生。“衝撃の実話”が大幅加筆修正のうえ、完全版としてついに書籍化!


話題になっていたので手に取って読んでみました。

正直、うーん・・・な感じだった。

印象に残ったのは、前半の方のいかの部分。

私には「標準」が、どれほどのものかわからないが、彼のちんぽはかなり大きいほうなのだという。行きつけの風俗嬢に付けられたあだ名は「キング」だった。
(中略)
昔から私の番になるとちょうど機械が壊れるとか、私の買ったものだけ不良品とか、そういう運の悪さ、間の悪さで損をする場面が数えきれないほどあった。世の中の「偶発するちょっと嫌なこと」が、なぜか私に集中した。だから今回も自分のせいかもしれないと思っていた。


あぁ、こういう風に考える人なんだな、とそんな感じ。

なるほどと思ったのは、風俗のポイントカードの保管場所には、思いやりが必要だな、という点。

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 私小説『夫のちんぽが入らない』こだま|扶桑社公式特設サイト

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こだま「夫のちんぽが入らない」特設サイト|講談社文庫

こういうのは、やはり立場によって感想が全然違うんだなぁ、と。

「夫のちんぽが入らない」があんまし面白くなかった件 〜赤裸々な性体験よりも親のディスの方が数億倍書きにくい〜

【感想】『夫のちんぽが入らない』こだま 性器の不一致。人も性器も、入れて出す、入って出ていく。それだけなのに、いつもちょっとだけ手遅れ……【ネタバレ・大人気】:勤務医開業つれづれ日記・3

『夫のちんぽが入らない』に号泣。実話を元にした小説から感じた“夫婦の数だけ夫婦の形がある”ということ:ママスタセレクト


2009-12-27

『竜巻ガール』垣谷美雨 を読んで


竜巻ガール (双葉文庫)竜巻ガール
(双葉文庫)
垣谷美雨


souiunogaii評価 

内容紹介
父親の再婚相手の連れ子と同居することになった高校二年生の哲夫。
なんと義妹は同学年のガングロ娘だった!その日から破天荒で過激な彼女に翻弄される日々が始まった。
第27回小説推理新人賞受賞作家のデビュー作。
もくじ
竜巻ガール
旋風マザー
渦潮ウーマン
霧中ワイフ


久しぶりに読んだミステリー短篇集。

最後に明かされる秘密が、爽やかでいいなと思う。
2009-10-11

『東京島』桐野夏生 を読んで


東京島東京島
(新潮社)
桐野夏生


souiunogaii評価 

内容紹介
あたしは必ず、脱出してみせる――。ノンストップ最新長篇!

32人が流れ着いた太平洋の涯の島に、女は清子ひとりだけ。いつまで待っても、無人島に助けの船は来ず、いつしか皆は島をトウキョウ島と呼ぶようになる。果たして、ここは地獄か、楽園か? いつか脱出できるのか――。欲を剥き出しに生に縋りつく人間たちの極限状態を容赦なく描き、読む者の手を止めさせない傑作長篇誕生!

『東京島』特設サイト:新潮社

『東京島』桐野夏生:[書評]asahi.com
衝撃作『東京島』の桐野夏生さんに聞く:MSN産経ニュース

無人島に漂流した人間たちのサバイバル物語。

41歳の清子は夫と2人でクルーザーで世界一周の旅の途中で不運にも無人島に漂着してしまう。
後に、日本人の若者たち、そして中国人の集団がその島に漂着。
彼らはその無人島に、トウキョウと名前をつけ、いつか日本に帰る日を夢見て集団生活を始める。

桐野夏生の独特の文体で、必死になった人間の腹黒さが生々しく描かれている。
生き残るために全力を尽くそうとする人間の強さを感じて、ただただそのすごさに圧倒されてしまう。

後半では、次々に予想外の事件が巻き起こって、もう最後まで一気に読んでしまう。
そして、見事な結末。さすがだなと思う。

2009-05-13

『黒部の太陽[新装版]』木本正次 を読んで


黒部の太陽[新装版](新潮社)木本正次黒部の太陽[新装版]
(新潮社)
木本正次


souiunogaii評価 

内容紹介
昭和30年代、前人未到の難工事を成し遂げた男たちの魂の記録!

「このトンネルをぶち抜かなければ黒四ダムはできない!」
毎秒600リットル以上の水を噴出する破砕帯の脅威!それでも男たちは、日本の電力不足を救うために掘った。
かつてこれほど熱かったニッポン、その世紀の大事業を描く実録小説の傑作が新装版で登場!

先日フジテレビで放送されたスペシャルドラマを見て、何だかすごく胸が熱くなって、ぜひこの奇跡の物語についてもっと詳しく知りたい!
そう思った。
で、ドラマの原作である本書『黒部の太陽』を読んだ。
すごかった。
感動した。
ノンフィクション小説独特の、建設機器や過酷な自然条件、時代背景などの客観的な説明文と、
登場人物である大町トンネル建設スタッフの方たちの丁寧な心情描写とのバランスは絶妙だし、
ドラマを先に見ているせいもあって、物語の世界にぐっとひきこまれてしまった。

この奇跡的な物語が、昭和の日本で達成された事実であることには、もうその凄さに言葉が出ない。

映画「アルマゲドン」で彗星に穴を掘ったブルース・ウィルスもかっこよかったけれど、
大破砕帯に打ち勝ち見事にアルプスの山をぶち抜いたトンネルを掘った彼らのカッコよさは、それ以上かもしれない。
もくじ
1 神話への出発
2 三正面作戦
3 市民の中で
4 アルプスの横穴
5 地の果てへ
6 作廊、東谷前線
7 白い大敵
8 死生一瞬
9 二つの破砕帯
10 一本の鋲
11 一枚の紙も黒四へ!
12 光あまねき陰に
13 神話の中、人は流れる

黒部の太陽
「黒部の太陽」:フジテレビ

黒部ダム
黒部ダムオフィシャルサイト:関西電力

笹島建設
笹島建設

熊谷組

最後に、非常に印象に残った、関西電力の太田垣社長の言葉を。
「危いって君、みんなそこで仕事してくれてるんじゃないか。仕事をいいつけた僕が、行かないという法はないよ」
「金は幾らでも使ってくれ。機械は世界中で一番いいのを使ってくれ。すべては僕が責任を持つ。君たちは何も心配せずに、ただトンネルの貫通だけに全力を尽くしてくれ」


【関連記事】
写真集『ダム』萩原雅紀 を見て
2008-08-22

『蟹工船・党生活者』小林多喜二 を読んで


蟹工船・党生活者 (新潮文庫)小林多喜二蟹工船・党生活者
(新潮文庫)
小林多喜二


souiunogaii評価 ハート3つ

ワーキングプアなんて言葉が生まれるずっと昔から…
いま再び、プロレタリア文学の代表作。

内容紹介
海軍の保護のもとオホーツク海で操業する蟹工船は、乗員たちに過酷な労働を強いて暴利を貪っていた。“国策”の名によってすべての人権を剥奪された未組織労働者のストライキを扱い、帝国主義日本の一断面を抉る「蟹工船」。
近代的軍需工場の計画的な争議を、地下生活者としての体験を通して描いた「党生活者」。
29歳の若さで虐殺された著者の、日本プロレタリア文学を代表する名作2編。

1929年に発表された、小林多喜二の『蟹工船』。
これが、2008年の今、再びブームになっているそうで、私も読んでみた。
「おい、地獄さ行ぐんだで!」

で始まる、この物語は、東北地方・北海道の最貧困層の人たちを乗せて、極寒の嵐のオホーツク海で、カニ漁をし、船上で缶詰をつくる船の話です。
蟹工船は「工船」(工場船)であって、「航船」ではない。だから航海法は適用されなかった。  (中略)
それに、蟹工船は純然たる「工場」だった。然し工場法の適用もうけていない。それで、これ位都合のいい、勝手に出来るところはなかった。

時代が現在とは全く違うので、この小説が書かれた当時に、これを読んだ人々が何を感じていたのか、私にはわかりません。
しかし、ここに描かれている蟹工船の労働環境のひどさには、強く胸を打たれました。
"生きる"ための労働が"死"の恐怖と隣り合わせにあること、その事実を見て見ぬ振りをする資本家たちの存在。
時代は違い、程度や規模の差こそあれ、私にもこれは現代にそのまま通じる問題のように思えました。

少し前に、日雇い派遣が規制されたり、グッドウィルが廃業したり、日テレやNHKがワーキングプアやネットカフェ難民の問題を取り上げている今、80年前に書かれたこの『蟹工船』が再び読まれていることに、何だか深い意味があるような気がしてなりません。
「よオし、さ、仕事なんてやめるんだ!」
ロープをさっさと片付け始めた。「待ってたんだ!」
そのことが漁夫達の方にも分った。二度、ワアーッと叫んだ。

以前、テレ東の「カンブリア宮殿」で、日本交通の川鍋社長が、従業員のタクシードライバーたちに言っていた言葉を思い出す。
「誇りを持って仕事をして欲しい」
厳しい労働条件の下で必死に働く彼らに、川鍋社長はそう語っていた。
そのときの、社長と従業員の目が、何だか非常に印象的だったのを、覚えている。
日本のタクシーを変えろ! :カンブリア宮殿 2007-05-14

『党生活者』には、
これから何年目かに来る新しい世の中にならない限り(私たちはそのために闘っているのだが)

という文章が出てくる。
共産党員として闘い、プロレタリア文学で世界を変えようとした小林多喜二。
1933年に特高警察に逮捕され、虐殺された彼が書いたこの小説が、時をこえて読み続けられているこの事実に、本当にいろいろなことを考えさせられる。

小林多喜二「蟹工船」突然のブーム ワーキングプアの“連帯感” :(2008-05-14)MSN産経ニュース
「マンガ」化で読者激増!小林多喜二「蟹工船」ブレイクの理由 :(2008-05-31)gooニュース

蟹工船・党生活者 :情報考学 Passion For The Future
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