![]() | 正義の国アメリカの司法制度が生んだ最悪の冤罪事件 (早川書房) トマ・ルメール (著) 小野ゆり子(訳) ![]() souiunogaii評価 |
表紙の写真は、本書の主役であるマイケル・パルデュー。着ているのは囚人服だ。
28年間も獄につながれた男のあまりに不条理な冤罪事件とその闘いを支えた深い愛の記録。
マイケル・パルデューは、父親が母親を撃ち殺したあと、家も職もなくひとりで生きていた。1973年5月21日、17歳のマイケルは車を窃盗。翌日、警察から電話で呼び出され出頭すると、なぜか殺人容疑をかけられる。警察の暴力的な取調べに屈し、3件もの殺人を“自白”させられたマイケルは、嘘で固められた杜撰な裁判で終身刑に処せられる。
それから10年、刑務所で無気力に過ごすマイケルの前にベッキーという女性が現われ、彼の人生は動き始める。互いに強くひかれあい、ベッキーは週末ごとに面会に通い、5年後に結婚。弁護士を雇う金のないふたりは、裁判を闘うため独学で法律を勉強し、マイケルが41歳のときついに3件すべての無罪を勝ち取った。しかし裁判所は、冤罪をこうむらなければ生じなかった3度の脱獄とその際に犯した窃盗にスリー・ストライク法を適用して、仮釈放なしの終身刑を言い渡す。ふたりの闘いはいつまで続くのか?
フランスの若手弁護士が膨大な裁判資料をもとに、民主主義国家アメリカの不条理な司法制度を告発し、マイケルとベッキーの苦悩と信念と深い絆を克明に描いた衝撃作。
この本の良さを理解するには、実際に読んでもらうしかない。
驚きと感動とにあふれた、小説のようなノンフィクションだった。
冤罪というのが、どうしてこんなにも簡単に作られるのか。
これほどまでに不条理なことが、法律の下では「正義」とされてしまっているのは、一体なぜなのか。
完全な司法制度なんて、実はどこにも存在しないのかもしれないが、しかし本書に描かれているアメリカ合衆国の司法制度には正さなければならない点が数え切れないあるようだ。
「無罪」と認められたのに、判事・検事・警察官たち権力を持った人間たちは自らの立場を守るために、どんな手段を使ってでもマイケルを刑務所に閉じ込めようとする。
自分の言っていることが真実ではないと知りながらも、それが真実でなければ困るんだ、と。
まさにタイトル通りの「ばかげた裁判」が何度も繰り返され、それは永久に続くかのようだった。
何より心を打たれるのは、マイケルとベッキーの間の強い信頼と愛情。
2人は刑務所で出会い、刑務所の中で結婚式を挙げた。
自分たちの正義が最後には必ず勝利するのだと信じ続け、闘いが勝利に終わるまで決して諦めない。
本書は冤罪という司法制度の欠陥を指摘するものであると同時に、2人の感動の恋愛物語でもある。
フランス人の国際弁護士の目線から、不条理に満ちたアメリカの司法制度をにらみつける、その文章はやわらかくも力強い。
本書を読んで、アメリカの刑務所・裁判の映画が頭に浮かんだ。
「評決のとき」 「グリーンマイル」 「ショーシャンクの空に」いずれも、不条理という言葉から。
日本の司法制度にも、警察の捜査にも、同じような欠陥がたくさんあるのだろう。
冤罪。もしも自分の身に起きたらなどと考えると、ゾッとする。
![]() | 出演:加瀬亮 監督:周防正行 souiunogaii評価 |










