![]() | (集英社新書) 米山 公啓 ![]() souiunogaii評価 |
どの世界においても、昔からの悪しき慣習に縛られた、自分たちの利益を守るための制度を維持し続けるというのは、これはもう日本人の文化なのだろうか。
学閥(ジッツ)とは、わが国独自の同じ医学部の卒業生で作られる、見えない組織である。医者同士が初対面の時、まず卒業年度と出身校を訊く。先輩か後輩か、国立か私立か、医局はどこか。これによって医者の間に微妙な力関係が生じる。旧帝国大学医学部を頂点とした学閥は、医学界そのものを支配いている。大学病院のスキャンダル、医療過誤の背後にも見え隠れする。学閥に屈することなく、医学的な真実だけを追究できる医者が、なぜ育たないのか。本書は、学閥の成り立ちから、現在までの経緯を糺し、今後どう改革していくべきかを提言する。
例えば、ドラマ「医龍」などでも、医学部の教授が決まるシステムの問題や、医局の閉鎖的な体質、大学病院と関連病院の関係、新薬の治験、医学論文、臨床か研究か、などの問題が描かれていた。
医学界に限らなければ、「踊る大捜査線」でも、東北大出身の室井管理官が東大卒の官僚組織のなかで戦っている。
政治の世界でも、自民党の総裁選では「派閥」という言葉がよく出てきた。
仲間意識というのか、組織を作って利権を独占して、他とは交わらない。
こういう制度はもはや、長く続いてきた日本の伝統・文化になっている。
問題があることが分かっているのに、改革をしなければいけないと分かっているのに。
もくじ
第1章 学閥はなにをしてきたか
第2章 学閥を作ってきたもの
第3章 学閥のいま
第4章 学閥という壁を越えて
医師の仕事というのは、人の命・人生に大きく関わるものなんだから。
著者は、大学病院の真の存在意義は「よき臨床医を育てる」ことだと述べている。
しかし現実は違い、学閥に支配された医局・学会はまるで政治をやっているようだ。
本書では、学閥の問題を、いろいろなデータを一覧表で見せながら細かく解説している。
特に興味深いと感じたのは、大学医学部の設立の経緯と学閥とが深く関係しているとう話。
旧帝国大と新設医大との関係は、まるで霞ヶ関の中央省庁と天下り先の財団法人との関係のようだ。
病院・医師への見方をちょっと考えさせる1冊。
医学部を受験する高校生にも、読んでほしい。










