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2019-04-14

リコール隠しに悪戦苦闘するサラリーマンたちのリアルな姿に感動した!『七つの会議』池井戸潤 を読んで


4087454126七つの会議
(集英社文庫)
池井戸潤

souiunogaii評価



内容紹介
きっかけはパワハラだった! 会社の業績を牽引する稼ぎ頭のトップセールスマンであるエリート課長・坂戸宣彦。彼を社内委員会に訴えたのは、歳上の部下で「居眠り八角」と呼ばれている万年係長・八角民夫だった。そして役員会が下した結論は、不可解な人事の発令だった。いったい二人の間に何があったのか。いったい今、会社で何が起きているのか。事態の収拾を命じられた原島は、親会社と取引先を巻き込んだ大掛かりな会社の秘密に迫る。決して明るみには出せない暗部が浮かび上がる。ありふれた中堅メーカーを舞台に繰り広げられる迫真の物語。日本の今、企業の正体をあぶり出す、大ベストセラーとなった衝撃のクライム・ノベル。
目次
第一話 居眠り八角
第二話 ねじ六奮闘記
第三話 コトブキ退社
第四話 経理屋稼業
第五話 社内政治家
第六話 偽ライオン
第七話 御前会議
第八話 最終議案


池井戸潤さんの作品は、ドラマはいろいろ見たことがあるが、原作小説を読むのはこれが初めて。

いや、面白かった!

働く人の姿を描いたリアルな物語、第一話から第八話まで、順番に目線を変えながら、登場人物一人一人の背景から丁寧に描写されていて、みんな悩みながらも戦っているんだなぁ、というのが読んでいて本当にぐっと心に響いた。

とくに、印象に残ったのは、浜本さんが社内のドーナツ売り場を設置するために奔走するところ。
簡単そうにみえる小さな社内改善でも、その裏には一生懸命に動き回っている人が必ずいるんだ、と。
そういう表に見えない頑張る人に、感謝を忘れてはいけないな、と。

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 映画「七つの会議」公式サイト



2011-04-17

『フリーター、家を買う。』有川浩 を読んで


フリーター、家を買う。フリーター、家を買う。
(幻冬舎)
有川浩


souiunogaii評価 



ドラマの方も、すごく好きで見てたし、
最近、有川浩さんが何だか注目されているみたいなので、とりあえずこれを読んでみました。

やっぱり、ドラマでストーリーが頭に入っていると、読みやすいですね。

原作ならではのエピソードもあったりして、楽しめました。

「フリーター、家を買う。」公式サイト:フジテレビ

フリーター、家を買う。DVD-BOX (予約特典ミニクリアファイル無し)フリーター、家を買う。DVD-BOX


souiunogaii評価 
2010-03-07

『犬はいつも足元にいて』大森兄弟 を読んで


犬はいつも足元にいて犬はいつも足元にいて
(河出書房新社)
大森兄弟


souiunogaii評価 

内容紹介
中学生の僕と犬が、茂みの奥で見つけた、得体の知れない“肉”の正体とは? 日本文学史上初!の兄弟ユニット作家による完全共作。
話題の第46回文藝賞受賞作/第142回芥川賞候補作。

物語全体に漂う絶妙なダークさが良い。

主人公は中学生の僕。
母親と二人暮らし。離婚して家を出ていった父親が残していったのが、犬のぺス。

僕と犬の間の関係が、とっても面白い。
ちょっとウザいなと思っていたクラスメートのサダの足を、犬が噛んでしまい、それが原因でサダとの関係がどんどん不味い感じになっていく……。

あちこちに散りばめられた、"一体コレは何なの?"っていう不思議な人や物が、結局答えが明かされないまま放置されている感じが、逆にいろんな想像をしたくなってしまって、これも面白いなと思った。

本作について、ざれこさんは次のように書いている。
今まで読んだこともないような怖い本で、驚きが先に立った。
この不気味さはなんだろう。無機質なようで感情もある、でもそれを
自分の意識化にも出せないような、そんな主人公の描かれ方とか、
うまくいえないけど、本当に独特な雰囲気だった。


なるほど、確かに。

とにかく、今までに読んだことのないジャンルの小説だった。
2009-02-21

『ペトロス伯父と「ゴールドバッハの予想」』アポストロス・ドキアディス を読んで


ペトロス伯父と「ゴールドバッハの予想」 (ハヤカワ・ノヴェルズ)ペトロス伯父と「ゴールドバッハの予想」
(早川書房)
アポストロス・ドキアディス
酒井武志(訳)

souiunogaii評価 

200年間未解決の難問に挑んだ孤独な天才数学者の生涯を描いた感動の物語。
内容紹介
「2より大きいすべての偶数は、二つの素数の和で表すことができる」
これが、200年もの間、証明されたことのない難問「ゴールドバッハの予想」である。

ギリシャの田舎に隠棲するペトロス伯父は、かつて天才的数学者だった。その伯父でさえ証明できなかった難問こそが「ゴールドバッハの予想」であった。
そんな伯父は一族から「嫌われ者」あつかいされているが、甥のわたしだけは彼を敬愛している。
だから、伯父は「ゴールドバッハの予想」と苦闘した過去をわたしにうちあけたのだ。
その闘いは、若き日の伯父が留学したドイツで幕を開けた……。

数学の論理と美が思考を刺激し、学者の狂気の人生が心をうつ。数学の魔性に惹きこまれた男の数奇な人生を紡ぎ出す稀代の物語。

いやいや、面白かった!
先日読んだ『100年の難問はなぜ解けたのか』の中で紹介されていて、これは面白そうだなと思い、手にとってみたのだけれど、
数学者の物語でこんなにも楽しめるとは、想像以上だった。

世紀の難問「ゴールドバッハ予想」に挑む物語の主人公、ペトロス伯父には、同じように難問「ポアンカレ予想」に挑んで敗れた孤独な天才パパキリアコプーロスの姿が思い浮かんだ。
数学の持つ魔力のようなものを感じた。

ペトロス伯父の周りに登場する数学者たちは、実在の人物たちで、そのことが物語にリアリティを与えてくれている。

特に、証明不可能な命題の存在を示した「不完全性定理」を発見したゲーデルに対して、自らの苦悩から発生した怒りをぶつけるペトロスの姿が描かれるシーンには、もう圧倒されてしまう。
「わたしはゴールドバッハ予想の証明に人生をささげてきた」低く、激したような声で言った。
「それなのに、証明できないかもしれないと言うのか?」
すでに血の気が引いていたゲーデルの顔が真っ白になった。
「理論的にはありえることです――」
「理論的にどうかということではない!」

ゴールが見えないどころではない、ゴールが存在しないかもしれない、そんな果てしない道をたった一人で走り続けた天才の苦しみ。
それを想像すると、そんな生き方を選んでしまった彼の偉大さに、涙が出てきた。

【関連記事】
『100年の難問はなぜ解けたのか』春日真人 を読んで
2008-11-15

『オアシス』生田紗代 を読んで


オアシス (河出文庫)生田紗代オアシス
(河出文庫)
生田紗代


souiunogaii評価 ハート3つ

内容紹介
私が<出会った>青い自転車が盗まれた。
呆然自失の中、私の自転車を探す日々が始まる。
家事放棄の母と、その母にパラサイトされている姉、そして私。
女三人、奇妙な家族の行方は?
第40回文藝賞受賞作。

1981年生まれの生田紗代さんが、大学生のときに書いた作品です。
(ちなみに、先日読んだ、『黒冷水』と同じ、第40回文藝賞受賞作です。)

第40回文藝賞選評:河出書房新社「文藝」

コンビニでバイトをしている私(芽衣子・メー子)と、
OLをしている姉(サキちゃん)と、
家事一切を放棄し、何もしていない母と、
近所に住んでいる和美叔父さんと、
福岡に単身赴任している父と、
そんな人たちの、日々の生活を淡々と描いた、サラサラした物語。

メー子さんと、サキちゃんが会話するシーンの描き方が、とってもイイ。
普通の日常の中にある、ありふれた出来事と、
彼女たちの心情・心境と、言葉と、動作と、
一つひとつは何でもないことばかりなんだけれど、それらがつながって、
独特の雰囲気を作っている、っていうのかな。
おもわずクスッと笑ってしまう、そんな空気が心地よかった。

夫の単身赴任をきっかけに、家事一切を放棄し、軽いひきこもり生活を送る、
娘たちからは"粗大ゴミ"呼ばわりされる、
そんな母。
家事を放棄しながらも、家族を見捨てたわけではなく、娘に対しては、
掃除洗濯料理などさまざまな場面で母親的な言い方であれこれ注文をだす、
そんな母。

そうか、こういう家族の形もあるんだ、って。
母のことは決して嫌いではない。この世で一番愛しているけど、この世で一番憎い。
母親とはそういうものなんじゃないだろうか。少なくとも私はそうだし、それは全然矛盾していない。私は今でも母に甘えたいと思うのと同時に、このうすら馬鹿女と怒鳴りつけてやりたくなる。

とにかく、見えたもの、思ったことを次々に言葉にしてみた、そんな感じの表現がつづく文章で、それにコンビニの商品などの固有名詞の表現もストレートで、
それは、誰にもできそうで、しかし生田さんにしか書けない、そういものを感じさせる。

スタートもゴールもはっきりしないが、でも何か気持ちよくなる、そんな小説だ。
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