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2009-07-19

『経済は感情で動く―はじめての行動経済学』マッテオ・モッテルリーニ を読んで


経済は感情で動く―はじめての行動経済学経済は感情で動く
はじめての行動経済学
(紀伊国屋書店)
マッテオ・モッテルリーニ(著)
泉典子(訳)


souiunogaii評価 

内容紹介
経済学って、こんなに人間的で、面白い学問だったのか。
最新の行動経済学は、経済の主体であるところの人間の行動、その判断と選択に心理学の視点から光を当てる。
そこに見えてきたのは、合理性とは似つかない「人間的な、あまりに人間的な」一面。
クイズ形式で楽しく読み進むうちに、「目からうろこ」、ビジネスでのヒントに溢れ、お金をめぐるあなたの常識を覆す。
もくじ
パート1 日常のなかの非合理

1 頭はこう計算する / 2 矛盾した結論を出す / 3 錯覚、罠、呪い / 4 「先入観」という魔物 / 5 見方によっては得 / 6 どうして損ばかりしているのか / 7 お金についての感覚
パート2 自分自身を知れ
8 リスクの感じ方はこんなに違う / 9 リスクとの駆け引き / 10 知ってるつもり / 11 経験がじゃまをする / 12 投資の心理学 / 13 将来を読む
パート3 判断するのは感情か理性か
14 人が相手の損得ゲーム / 15 怒れるニューロン / 16 心を読むミラーゲーム / 17 理性より感情がものを言う / 18 人間的な、あまりに人間的なわれわれの脳

サブタイトルの「はじめての行動経済学」の通り、いわゆる行動経済学・神経経済学の一般向けの入門書です。

ここ数年の流行なのか、同様の内容の本は何冊か出版されていますが、本書の特徴は、まず読者に簡単な選択をせまる問題を与え、その答えがはたして理論経済学的に合理的といえるものなのか、どうしてそんな選択をしてしまうのか、をじっくり丁寧に解説してくれるところ。

例えば、こんな感じの問いがある。
問12(二者択一)
あなたは次の2つのどちらかを選ぶようにと言われた。
A 賞金は低いがもらえる確率は高い(7000円が80%)
B 賞金は比較的高いがもらえる確率は低い(7万円が10%)
あなたはどちらを選びますか?

ぱっと直感的に出した答えと、確率論的に期待値を計算して出した答えと、どちらが合理的でどちらが人間的なのか。
「なるほどなぁ」と感心する話が展開された後に、各章ごとに「教訓」としてのまとめがある。
話題は幅広く、読みやすく、面白い。

本書を一冊読む通すと、行動経済学の基本要素がおおよそ網羅できるようになっている。キーワードとして登場するのは、以下のものたち。
選考の逆転、保有効果、コンコルドの誤謬、サンクコストの過大視、アンカリング効果、ヒューリスティクス、代表性、利用可能性、少数の法則、平均値への回帰、後知恵、ホモ・エコノミクス、フレーミング効果、損失回避、省略の誤り、後悔回避、プロスペクト理論、ポートフォリオ理論、自信過剰、ピーク・エンドの法則、ゲーム理論、ソマティック・マーカー仮説、時間的な選考の逆転

後半では、最新の脳科学の話にまで触れられている。

こういう本を読んで、頭の上では知ったつもり・分かったつもりになったのに、日常生活でいざ実践する段階になると、やっぱり「あぁまたやってしまった」と失敗・後悔を繰り返してしまう。
人っていうのは、自分のことも他人のこともまだまだ分からないことだらけで、それでもちょっとずつそれが研究によって理論化されてきているのは、とっても面白い。

Homo Economicsの正体 - 書評 - 経済は感情で動く:404 Blog Not Found


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2009-05-09

『予想通りに不合理』ダン・アリエリー を読んで


予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」予想どおりに不合理
行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
(早川書房)
ダン・アリエリー

souiunogaii評価 

とにかく「行動経済学って面白い!」が連発の一冊。
内容紹介
これまでの経済学では、人は合理的に行動するものと考えられてきた。だが、本当にそうだろうか。
本当はおなじ味でも、雰囲気のいいカフェのコーヒーにはファストフード店のコーヒーより高いお金を払っていないだろうか?また、上等の靴下が必要だったのに、一足ぶんおまけされていた安物の靴下を買ってしまったことは?そう、人は不合理な行動をとるものなのだ。
経済行動に大きく影響しているにもかかわらず、これまで無視され誤解されてきた、人の不合理さを研究するのが、行動経済学という新しい分野である。ユニークで愉快な実験によって、人がどのように不合理な行動をとるのかを系統的に予想することが可能になった。「おとり」の選択肢や、価格のプラセボ効果、アンカリングなど、人の理性を惑わす要素を理解するとき、ビジネスや投資、政治の世界でも、驚くほどのチャンスがもたらされるようになったのだ。
行動経済学研究の第一人者がわたしたちを動かすものの正体をおもしろく解説する全米ベストセラー行動経済学入門。

昨年の11月に発売されて結構話題になっていた本なので、読みたい読みたいと思いながらなかなか時間がなかったりで、やっと読むことができました。

とっても面白かったです。非常に楽しめました。
「行動経済学」っていう学問分野についての興味関心が一気にぐっと高まり(深まり)ました。

本書のタイトルにもある"予想通りに"と"不合理"という言葉、この2つがセットになって使われているところに重要な意味がある。
従来の経済学っていうのは、「社会とは、合理的な人間の働きによってつくられている」という前提の上に成り立っているのだけれど、実際には人間の働きには不合理な点が多々あり、しかもそれらにはパターンがある。
っていうことを研究しているのがずばり「行動経済学」なんだそうだ。
わたしたちはふつうの経済理論が想定するより、はるかに合理性を欠いている。そのうえ、わたしたちの不合理な行動はでたらめでも無分別でもない。規則性があって、何度も繰り返してしまうため、予想もできる。だとすれば、ふつうの経済学を修正し、未検証の心理学という状態から抜け出すのが賢明ではないだろうか。これこそまさに、行動経済学という新しい分野であり、…

著者のダン・アリエリーは、行動経済学研究の第一人者と呼ばれる人で、MITをはじめアメリカの名だたる大学・研究機関で実績を積んできたすごい人みたいだ。

Dan Ariely Home Page:MIT (English)

本書の10章にもあるプラセボ研究の成果によって、2008年のイグ・ノーベル賞も受賞しているとか。
もくじ
1章 相対性の真相 なぜあらゆるものは―そうであってはならないものまで―相対的なのか
2章 需要と供給の誤謬
 なぜ真珠の値段は―そしてあらゆるものの値段は―定まっていないのか
3章 ゼロコストのコスト
 なぜ何も払わないのに払いすぎになるのか
4章 社会規範のコスト
 なぜ楽しみでやっていたことが、報酬をもらったとたん楽しくなくなるのか
5章 性的興奮の影響
 なぜ情熱は私たちが思っている以上に熱いのか
6章 先延ばしの問題と自制心
 なぜ自分のしたいことを自分にさせることができないのか
7章 高価な所有意識
 なぜ自分の持っているものを過大評価するのか
8章 扉をあけておく
 なぜ選択の自由のせいで本来の目的からそれてしまうのか
9章 予測の効果
 なぜ心は予測したとおりのものを手に入れるのか
10章 価格の力
 なぜ1セントのアスピリンにできないことが50セントのアスピリンならできるのか
11章 私たちの品性について その1
 なぜわたしたちは不正直なのか、そして、それについてなにができるか
12章 私たちの品性について その2
 なぜ現金を扱うときのほうが正直になるのか
13章 ビールと無料のランチ
 行動経済学とは何か、そして、無料のランチはどこにあるのか

経済学っていうと、なんだか景気とか金融とか政策とかが絡む大規模で難しいものがぱっと思い浮かんでしまうかもしれない。
しかし、本書で扱われているテーマはそんなものをは全然違う。
もっと、簡単で日常生活に深く関係した身近なものばかりだ。
だから読んでいて楽しいし面白いし、「あぁ、そういうのあるある」がたくさん出てくるし、「そうか、こうすればいいんだ」みたいな発見がいくつもあって、とってもイイ。

キーワードを挙げてみると、
おとり、相対性、刷りこみ、恣意の一貫性、アンカリング、無料!の力、市場規範と社会規範、先延ばし、所有意識、予測の効果、不正直、不正、独自性欲求、
などなど。

そして、本書の面白さの一番のポイントは、著者が行った数多くの「実験」だと思う。
著者は他の研究仲間と一緒に、MITやハーバードの学生を対象に、さまざまな「実験」を繰り返し実施して、人間がどんな風に"不合理な"行動をとるのか、その法則性・パターンを探っていく。
仮説を立て、予測が正しいのかを実験によって検証する、そこからまた新たな理論を導く、という流れはまさに研究としてのまっとうな形であり、学問と呼ぶにふさわしいと思う。

本書「予想どおりに不合理」は、行動経済学の入門--でもあるが、それに留まっていない。本書の魅力は、「なぜそうなるのか」を説明するに留まらず、「ならどうするべきか」まで踏み込んでいるところにあるのだから。(中略)
経済学は面白い。役に立つことすらある。しかし感動まですることは、本書に巡り会うまで滅多になかった。この感動を、ぜひあなたも味わってほしい。





予想以上に合理的! - 書評 - 予想どおりに不合理:404 Blog Not Found
人は「予想どおりに不合理」だけど「意外に合理的」でもある、という話:H-Yamaguchi.net


人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く人は意外に合理的
新しい経済学で日常生活を読み解く
(ランダムハウス講談社)
ティム・ハーフォード



【関連記事】
『まっとうな経済学』ティム・ハーフォード を読んで
『ヤバい経済学』レヴィット&ダブナー を読んで
2008-05-11

『まっとうな経済学』ティム・ハーフォード を読んで


まっとうな経済学 (ランダムハウス講談社)ティム・ハーフォード(著), 遠藤真美(訳)まっとうな経済学
(ランダムハウス講談社)
ティム・ハーフォード(著)
遠藤真美(訳)

souiunogaii評価 ハート4つ

内容紹介
賢い消費者、損をしない投資家、黒字国家、
それにはみんなワケがあった―。「読者を夢中にさせる一冊!」
スティーブン・D・レヴィット『ヤバい経済学』著者


経済理論を駆使して、毎日の買い物、投資家心理、国家財政まで、実体経済を動かすしくみを根底から解き明かす!
大学生、ビジネスパーソン、公務員、政治家まで、経済活動にたずさわるすべての人の必読書!

この本に出てくるのは、為替や景気循環の話ではなく、中古車市場の謎解きや、スーパーで無駄遣いをしないための知恵である。
読み終わることには、みなさんがいまよりもっと聡明な消費者になって、いまよりもっと聡明な有権者になって、政治家が吹聴する話の裏側にある真実を見極められるようになっていることを願っている。

以前読んだ、『ヤバい経済学』はたいへんに面白かったが、こちらの『まっとうな経済学』もまた、たいへん楽しませてもらった。
著者のティム・ハーフォードは、フィナンシャル・タイムズ・マガジンのコラムニストで、世界銀行グループ国際金融公社の主任ライターで、オックスフォード大学経済学部の講師で、石油会社シェルのエコノミストだそうだ。

タイトルに“まっとうな”とあるが、その意味するところは何なのだろうか。
本書で扱われている題材は、現実世界に存在するさまざまな「経済行動」だ。
それらを著者のティムは、先入観をとっぱらって、極めて素直と思えるやり方で経済理論をあてはめて、状況を分析し、問題点を指摘し、問題解決の方法を提案する。
おそらく、“まっとうな”というのは、偏見や先入観や思い込みを排除し、慣習に流されずに、冷静に素直に、経済学者のあるべき姿、やるべき仕事をおしすすめると、こうなるのだ、ということを示しているのだろうと、私は感じた。

身近なところで言えば、スターバックスのコーヒーの値段はどうやって決まっているのか。
スーパーマーケットの商品ラインナップと価格はどうやって決まるのか、そこで実際に儲けているのは一体だれなのか。
私たちが様々な状況下でものの値段の高い安いを判断する根拠は何なのか。

少し視野を広げて、扱うテーマを大きくしてみると、交通渋滞を解消するにはどうすればよいか、環境問題を解決するには、効率的な競争入札を政府が実施するためには、などの方法を考えていく。

さらに、後半では世界的な問題に入っていく。アフリカの極貧国が貧困から脱出するためには、海外投資と貿易によって自国の産業を発展させるためには、中国が途上国から経済発展できた理由は、などのスケールの大きな問題だ。

本書で主に使われる経済の理論は、例えば、
希少性、価格ターゲティング、完全競争市場、外部性課金、内部情報、非対称性の経済、ゲーム理論、比較優位、などの用語で表せるものたちだ。
いずれも著者が丁寧に分かりやすく実例を多く取り入れながら語ってくれるので、経済学を学んだことのない人にも、抵抗無く読むことができ、理解することができる。
特に、希少性や比較優位などの考え方は、それまで私にはあまりなじみの無かったもので、とても新鮮で、感動すら覚えるような面白いものだった。
読んでいても、「へぇー」「あぁ、そうか!」「なるほど!」と、驚き感心することがたくさんあって、経済学って(経済学者って)面白くて楽しいなぁ、と思った。

本書が何より楽しめる本になっているポイントは、著者が導き出す提案の意外性だと思う。
コーヒーショップから世界情勢まで、非常に幅広いテーマを扱っているのだが、そのすべてに、常識で考えると一見間違っているのでは?と思える答えを出してくれる。
しかし、それが経済学にかなった真実なんだと、納得させられる。
その意外性というか、予想外の帰結とそこにたどりつくまでの理論・過程が、何とも言えない満足感を、読んでいる私に与えてくれた。

経済学と言うと、現実から少しかけ離れたところにある難しい理論だと思いがちだけど、そうではない。ティムは現実の問題を実際に観察しながら、何とかして経済学者が社会に役立つ方法を探そうと懸命になっている。その考え方はひたすらに人間を主役にしたものであると感じた。
そして彼が提案する解決方法は、誰かが富を独占するのではなく、経済活動に関わる参加者全員がハッピーになるための方法、「Win-Win」の関係を構築するための方法なのだ。
極貧国カメルーンに実際に取材をして、何とかして今の最低の状況を改善したいという熱意が伝わってくる。彼こそ真の経済学者だと、そう思う。
もくじ
第1章 誰がためにそのコーヒーはある
第2章 スーパーマーケットが秘密にしておきたいこと
第3章 安全競争市場と「真実の世界」
第4章 交通渋滞
第5章 内部情報
第6章 合理的な狂気
第7章 本当の価値をなにひとつ知らなかった男たち
第8章 なぜ貧しい国は貧しいのか
第9章 ビールとフレンチフライとグローバル化
第10章 中国はどのようにして豊かになったか

原書はこちら。
The Undercover Economist Tim HarfordThe Undercover Economist
Tim Harford


【関連】
『ヤバい経済学』レヴィット&ダブナー を読んで
2007-12-04

『おまけより割引してほしい―値ごろ感の経済心理学』徳田賢二 を読んで


おまけより割引してほしい (ちくま新書)値ごろ感の経済心理学徳田 賢二おまけより割引してほしい
値ごろ感の経済心理学
(ちくま新書)
徳田 賢二

souiunogaii評価 ハート4つ

意識的にせよ無意識的にせよ、商品の価値にどれだけの費用を払うべきか天秤にかけた結果で、「値ごろ感」の有無は生じる。本書はその「値ごろ感」が生み出される仕組みを解き明かし、さらには、ベストセラーがベストセラーたる理由、衝動買いやついで買いをさせられてしまう仕掛けなども豊富な事例とともに解説する。買い手も売り手も必読の経済心理学入門である。

経済心理学という言葉はこの本で初めて知ったのだけれど、内容はたいへんに面白いものだった。
本書でキーワードとして用いられているのは「値ごろ感」というもので、価値(Value)と費用(Cost)の比で表現される。
もくじ
I 値ごろ感ってなんだろう?
その1 おまけより割引してほしい―値ごろ感の因数分解
その2 棚ぼたの好ましさ―値ごろ感の分母を支配する負担感
その3 うまい、やすい、はやい―値ごろ感を生み出すもの

II 売れるものにはワケがある
その4 ベストセラーの秘密
その5 どうして衝動買いをするのか?
その6 ついでに買わせるコツ

経済学の基本法則(主に限界効用逓減の法則)と、簡単な心理学(主にマズローの欲求階層説)との2つを組み合わせて使いながら、価値と費用の意味とその変化を考えていく。
それによって、買い物のメカニズムが次々に解き明かされてくる。

と、私の説明では、なにやら難しそうな本かと誤解されてしまうかもしれないが、全然そうではない。
この本は非常に読みやすくできている。
その理由は大きく2つある。

1つは、買い物という誰にとっても身近なテーマを扱い、さらに実際の店や商品の名前を具体例として多く登場させているから。
吉野家、大戸屋、ドトール、スタバ、ジャパネットたかた、ユニクロ、コンビニ、グリコ、iPod、モスバーガー、マクドナルド、アマゾン、KIOSK、デパ地下、他にもいろいろ。
実際の店・商品を知っていて、買った経験があるからこそ、
「経済心理学」というなじみの薄い考え方でも、すんなりと受け入れられる。
納得しながら読める。

そして、この本が読みやすい2つ目の理由は、文章がとても若々しいこと。
これは、著者が大学教授という職にあり、かつ講義・ゼミ・部活などで日頃から学生たちと交流することを好み、大切に思っていることを示しているような気がする。
文章にみずみずしさが感じられる。
読んでいて、とても気持ちが良い。

値ごろ感の分数式は簡単なようでいて、買い物から人生全般につながりうる奥深さを持っている。また、同時に、価値と費用とのバランスを的確に見極めることができれば、売り手の仕掛けどころを見破ることもできるし、その仕掛けを見つけるのもまた一興というものだろう。すなわち、より賢い消費者にもなり得るとも言える。

とにかく面白い話ばかりだった。
おまけより割引してほしい :404 Blog Not Found
おまけより割引してほしい―値ごろ感の経済心理学 :Passion For The Future
なぜこの店で買ってしまうのか (早川書房)ショッピングの科学パコ・アンダーヒル(著), 鈴木 主税(訳)なぜこの店で買ってしまうのか
ショッピングの科学
(早川書房)
パコ・アンダーヒル(著)
鈴木 主税(訳)
2007-11-15

『ヤバい経済学』レヴィット&ダブナー を読んで


ヤバい経済学[増補改訂版] (東洋経済新報社)悪ガキ教授が世の裏側を探検するスティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー(著), 望月衛(訳)ヤバい経済学[増補改訂版]
悪ガキ教授が世の裏側を探検する
(東洋経済新報社)
スティーヴン・D・レヴィット
スティーヴン・J・ダブナー(著)
望月衛(訳)

souiunogaii評価 ハート4つ

若手経済学者のホープが、日常生活から裏社会まで、ユニークな分析で通念をひっくり返します。アメリカに経済学ブームを巻き起こした新しい経済学の書、待望の翻訳。

本書は2人の著者レヴィットとダブナーの共同作業によって作られた。

レヴィットはシカゴ大学の経済学者。
2年に1度、40歳未満の最も優れた経済学者に与えられるジョン・ベイツ・クラーク・メダルを受賞した「アメリカで最も聡明な若手経済学者」だ。

ダブナーはジャーナリスト。ニューヨーク・タイムズに記事を書き、これまでに『さまよえる魂』『ヒーロー好きの告解』が全米ベストセラーになったそうだ。

そんな、2人の才能ある人が書いた本なら、面白くないわけがないと、読む前から期待に胸がふくらむ。

そして、実際に、本書『ヤバい経済学』は、面白さでは私がこれまでに出会った社会科学の本の中でもトップ3に入るくらいに、素晴らしいものだった。

“ヤバい経済学=Freakonomics”というタイトルが示す通り、その内容は他の一般の経済学の本とはまるで違っている。
こういう経済学もあったんだ!という感じだ。

一つの特徴は、扱っている題材もテーマも、非常に幅広く、一貫性が無いということ。そして、それらが私たちの生活している現実社会に実際にある「?」から生まれたものであること。
注意したいのは、経済学を分かりやすく説明するために、(手段として)身近な例を使っているのではない、という点だ。
そうではなくて、社会の中から著者が見つけた「?」を一つひとつ解明していくこと、そのものが著者レヴィットの研究の目的であり、本書のテーマであり、本書を特別に面白い本にしている理由なのだ。

通念を疑い、そこに誰も考えつかなかった新しい理屈を発見していく。
従来、正しいと信じられてきた理論を、「本当にそうなの?」とデータを丹念に冷静に分析しなおしてみる。すると、立派な学者や専門家が語ってきた理論は、実際にはデタラメだったりする。
そして、「マジかよ!」と思うような真実が浮かび上がってくる。
でも、もしもみんなが本当に気にしていることを疑問として立て、みんなが驚くような答えを見つけることができれば――つまり、通念をひっくり返すことができれば――いいことがあるかもしれない。

具体的に、本書で扱われている題材をいくつか挙げると、
不動産屋の広告、学力テストでの先生のインチキ、選挙と金と人気、銃社会、相撲の八百長、フェルドマンのベイグル、KKK、人種差別と格差、出会い系サイト、ヤクの売人、90年代の犯罪減少と中絶合法化、親の所得格差と子の教育格差、黒人と白人の名前の違いと格差
などだ。
どれも、興味深い事実に富んでいるものばかりだ。

そして、データ分析の際に、キーワードとして出てくるのが「相関」と「因果」という言葉。
煎じ詰めると、2つの変数が相関するにはいろいろな形があるのだ。XがYを起こしているかもしれない。YがXを起こしているかもしれない。別の要因があって、それがXとYの両方を起こしているのかもしれない。(中略)
家にたくさん本がある子は本がない子よりも試験の点が高い。つまり、これら2つは相関している、それはわかった。でも、試験の点の高さは他にもたくさんの要因と相関している。たくさん本を持っている子と本を持っていない子を単純に比べても、出る答えにはあんまり意味がない。ひょっとすると、子供の家にある本の数は親御さんがどれぐらい稼いでいるかを表しているだけかもしれない。

相関関係の見方を学者や専門家たちが誤り、ありもしない因果関係をもっともらしく語り、それが社会に広まり、通念としてまかり通っている。
レヴィットは、正しく相関関係を分析し、通念をひっくり返す。
ダブナーの魅力ある文章によって、その研究の面白さが100%伝わってくる。

以上、私の感想では、本書の魅力の1%も表現できていないかもしれないが、ぜひ実際に手にとって、最初の4ページくらいを読んでみてほしい。
それだけでもう、十分に、面白そうだという予感が得られるはずだ。
本当におススメの本だ、絶対に面白いから。

Freakonomics BLOG :New York Times

書評 - ヤバい経済学 :404 Blog Not Found
FreakonomicsA Rogue Economist Explores the Hidden Side of EverythingSteven D. Levitt, Stephen J. DubnerFreakonomics
A Rogue Economist Explores the Hidden Side of Everything
Steven D. Levitt
Stephen J. Dubner

まっとうな経済学 (ランダムハウス講談社)ティム・ハーフォード(著), 遠藤 真美(訳)まっとうな経済学
(ランダムハウス講談社)
ティム・ハーフォード(著)
遠藤 真美(訳)

souiunogaii評価 ハート4つ

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