![]() | (小学館文庫) 夏川草介 souiunogaii評価 ![]() |
内容紹介
シリーズ『神様のカルテ』にまつわる人々の 前日譚であり、かつ珠玉の短編集です。
栗原一止は、信州にある24時間365日営業の本庄病院で働く内科医。
本作では、医師国家試験直前の一止とその仲間たちの友情、本庄病院の内科部長・板垣(大狸)先生と敵対する事務長・金山弁二の不思議な交流、研修医となり本庄病院で働くことになった一止の医師としての葛藤と、山岳写真家である一止の妻・榛名の信念が描かれます。
ますます深度を増す「神カル」ワールドをお楽しみください。

先日読んだ、『神様のカルテ3』(夏川草介) に続いて、読んでみました。
タイトルにある「0 ZERO」の通り、第1巻よりも以前を描いた物語になっています。
「有明」「彼岸過ぎまで」「神様のカルテ」「冬山記」の4編からなっていて、
それぞれ、
・一止たちがまだ医学生だったことの物語、
・一止が来るより前の、本庄病院の物語、
・一止が研修医としてスタートしたばかりの頃の物語、
・一止と結婚するより以前の、榛名の物語、
になっています。
それぞれの登場人物たちの、強い信念みたいなものの背景には、こんな物語があったんだ、と。
松本の季節の移り変わりと重ねながらの描き方にも、やっぱり「神カル」感があふれていて、
あらためて好きなシリーズだなぁ、と思いました。
特に印象に残ったのは、大狸先生が一止を初めて、「九兵衛」に連れて行って飲みながら話したこと言葉。
「それは……、しかしずいぶんと無力な話ではないですか」
「その通りだ」
大狸先生がゆったりと笑った。
「医者にできることなんざ、限られている。俺たちは無力な存在なんだ」
言いながらグラスを傾けて、「ああいい酒だ」などとつぶやいている。
そして、榛名が山で口にしたこの言葉も。
「生きる気力はありますか?」
(中略)
どこかあどけなささえ含んだ、大きな澄んだ瞳だった。にもかかわらず、温かな救助者の目ではなかった。冷ややかと言っていいほどの透徹した瞳だった。
命とか生きるということに対して、この物語に出てくる人たちは、いつもみんな真剣で真っすぐで、その力のこもった言葉にはドキッとさせられる。
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