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2019-03-31

[感想]栗原一止の医学生時代〜本庄病院の24/365救急のはじまり〜榛名姫の山への想い、神カル世界の最初がつめこまれたものがたり。『神様のカルテ0 ZERO』夏川草介 を読んで


B0778WDTXP神様のカルテ0 ZERO
(小学館文庫)
夏川草介

souiunogaii評価


内容紹介
シリーズ『神様のカルテ』にまつわる人々の 前日譚であり、かつ珠玉の短編集です。

栗原一止は、信州にある24時間365日営業の本庄病院で働く内科医。
本作では、医師国家試験直前の一止とその仲間たちの友情、本庄病院の内科部長・板垣(大狸)先生と敵対する事務長・金山弁二の不思議な交流、研修医となり本庄病院で働くことになった一止の医師としての葛藤と、山岳写真家である一止の妻・榛名の信念が描かれます。
ますます深度を増す「神カル」ワールドをお楽しみください。


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「神様のカルテ」PRページ」:小学館

先日読んだ、『神様のカルテ3』(夏川草介) に続いて、読んでみました。

タイトルにある「0 ZERO」の通り、第1巻よりも以前を描いた物語になっています。

「有明」「彼岸過ぎまで」「神様のカルテ」「冬山記」の4編からなっていて、
それぞれ、
・一止たちがまだ医学生だったことの物語、
・一止が来るより前の、本庄病院の物語、
・一止が研修医としてスタートしたばかりの頃の物語、
・一止と結婚するより以前の、榛名の物語、
になっています。

それぞれの登場人物たちの、強い信念みたいなものの背景には、こんな物語があったんだ、と。

松本の季節の移り変わりと重ねながらの描き方にも、やっぱり「神カル」感があふれていて、
あらためて好きなシリーズだなぁ、と思いました。

特に印象に残ったのは、大狸先生が一止を初めて、「九兵衛」に連れて行って飲みながら話したこと言葉。
「それは……、しかしずいぶんと無力な話ではないですか」
「その通りだ」
大狸先生がゆったりと笑った。
「医者にできることなんざ、限られている。俺たちは無力な存在なんだ」
言いながらグラスを傾けて、「ああいい酒だ」などとつぶやいている。


そして、榛名が山で口にしたこの言葉も。
「生きる気力はありますか?」
(中略)
どこかあどけなささえ含んだ、大きな澄んだ瞳だった。にもかかわらず、温かな救助者の目ではなかった。冷ややかと言っていいほどの透徹した瞳だった。


命とか生きるということに対して、この物語に出てくる人たちは、いつもみんな真剣で真っすぐで、その力のこもった言葉にはドキッとさせられる。


(関連記事)
『神様のカルテ3』夏川草介 を読んで


2019-03-03

『神様のカルテ3』夏川草介 を読んで


4093863369神様のカルテ3
(小学館)
夏川草介

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書店でふと「神様のカルテ」の新刊が出たのを見つけて、そういえば、昔、1巻と2巻まで読んだけれど、
その後の続編は読んでいなかったな、というか3巻以降が出ていたのも知らなかった。
ということで、ひとまず未読だった3巻からを読んでみることに。

「神様のカルテ」PRページ」:小学館

内容紹介
「私、栗原君には失望したのよ」

先輩医師の覚悟を知った一止まは
自らの姿に疑問を持ち始める。
そして、より良い医者となるために、
新たな決意をするのだった。

もくじ
プロローグ
第一話 夏祭り
第二話 秋時雨
第三話 冬銀河
第四話 大晦日
第五話 宴
エピローグ


3巻では、新たな医師として、「小幡奈美 先生」がとても重要な役割を持って登場する。
彼女の医師としての強い信念みたいなものによって、主人公の栗原先生のそれまでの考え方が動かされていき、
この後に進んでいく道を変えるきっかけをつくるまでを描いている。

もちろん、キャラクターの濃いレギュラー登場人物たちも健在で、
病院の医師や看護師のみんな、御嶽荘の住人たち、いきつけの居酒屋の主人など、ああ、こんな人たちいたなぁ、
と、2巻を読んだのがもう何年も前だったので、妙に懐かしい気持ちに。

特に印象に残ったのは、
小幡先生の厳しい言葉に心を揺さぶられた栗原先生が、御嶽荘に帰ってきてから、住人の屋久杉君と星空を眺めながら語る場面のこのセリフ。

「エドウィン・ハッブルって人は、二十世紀のガリレオなんすよ。ガリレオが、地球が宇宙の中心じゃないってことを発見したように、ハッブルは天の川銀河が唯一の銀河じゃないってことを証明したんす」
(中略)
「だって、まだまだ世界は広いってことっすよ。どんなに調べても、どんなに解き明かしても、その向こうにもっと大きな世界が広がっているんす。少しくらい必死になったって世界はそんなもんじゃ歯が立たたないって、ハッブルは証明したんす。それって最高にエキサイティングなことじゃないっすか?」


そして、小幡先生の熱い言葉もまた、印象に残った。
「医者っていう仕事はね、無知であることがすなわち悪なの。私はそういう覚悟で医者をやっているのよ」
「我々の仕事は常にゼロか百かのどちらかです」



読み終わったあとは、何故か、
インスタントコーヒー、リンゴ、日本酒、が欲しくなる(笑)





『草枕』夏目漱石 を読んで

4094086277草枕
(小学館文庫)
夏目漱石

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