2008-03-13

『約束』石田衣良 を読んで

約束 (角川文庫)石田衣良約束
(角川文庫)
石田衣良


souiunogaii評価 ハート3つ

内容紹介
大切なものを失ったことのあるすべての人に捧げる、七つの再生の物語。
かけがえのない大切なものを失ったとき、人はどのように立ち直ることができるだろう――。直木賞作家が再生への祈りをこめて紡いだ、絶対泣けるセブン・ストーリーズ。
たくさん泣いて、もういちど歩きだそう――
池田小学校事件の衝撃から一気呵成に書き上げた表題作はじめ、ささやかで力強い回復・再生のものがたりを描いた必涙の短編集。人生の道程は時としてあまりにもハードだけど、もういちど歩きだす勇気を、この一冊で。

石田衣良の短編集。それぞれの作品に共通して描かれているのは、暗く長いトンネルの中にいた人間が、やっとの思いで光の差し込んでくる出口を見つけることができたその瞬間と、そこに至るまでの過程。
心の変化の様子を大切にして、じっくりと丁寧に真剣に書かれた文章からは、「命のあることのありがたさ」とか「前を向いて生きるための勇気の大切さ」みたいなものが、読んでいる私の心に、素直にまっすぐにサーッと染み込んでくる。

作者あとがきにはこうある。
「かけがえのないものをなくしても、人はいつか自分の人生に帰るときがくる」
「病や喪失から生きることに立ちもどってくる人間を描くほうが、何倍も力強い。単純にそう信じているのです」

「約束」は池田小事件への鎮魂歌として書かれた作品。
「青いエグジット」では事故で片足を失ったひきこもり青年がダイビングに挑戦。
「天国のベル」は心因性難聴になった少年と家族に起こったひと時の奇跡。
「冬のライダー」モトクロスのバイクの練習を、ある女性にコーチしてもらう少年。
「夕日へ続く道」不登校の中学生は、軽トラックで廃品回収をする老人を手伝い始める。
「ひとり桜」山奥の一本桜を撮る写真家と、その桜にある思いを寄せる女性の出会い。
「ハートストーン」悪性脳腫瘍に犯された少年と、その家族たちに起こった奇跡のような出来事。

これまでには読んだことがなかった(あまり気づかなかった)石田衣良の新たな魅力を感じた、そんな作品たちだった。


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