2008-02-06

『斜陽』太宰治 を読んで

斜陽 (新潮文庫)太宰治斜陽
(新潮文庫)
太宰治


souiunogaii評価 ハート3つ

内容紹介
昭和22年に発表され、“斜陽族”という言葉を生んだ太宰文学の代表作。
真の革命のためには、もっと美しい滅亡が必要なのだという悲愴な心情を、没落貴族の家庭を舞台に、最後の貴婦人である母、破滅への衝動を持ちながらも“恋と革命のため”生きようとするかず子、麻薬中毒で破滅してゆく直治、戦後に生きる己れ自身を戯画化した流行作家上原の、四人四様の滅びの姿のうちに描く。

貴族とか宮家とか、私たち一般庶民にはなかなか想像できない種類のプライドを持って生きていた人たちの物語。

別々の道を歩む4人の登場人物それぞれの生き方のどれにも、それぞれに共感する部分と理解に苦しむ部分とがあった。

最後まで貴族としての美しさを失わずにいた母。
自身の身分へのプライドと、人間関係に悩み続け、麻薬に救いを求めた弟の直治。
農家の出身で、貴族を嫌い、都会で自由気ままに生きる男・上原。
貴族としての自分にピリオドを打ち、新しい自分を作り上げようともがき苦しむ主人公かず子。

長年住んだ屋敷を処分し、田舎での地味な生活を強いられ、お金は無くなり、見る間に没落していく様子が、悲しい。痛い。
死んで行く人は美しい。生きるという事。生き残るという事。それは、たいへん醜くて、血の匂いのする、きたならしい事のような気もする。私は、みごもって、穴を掘る蛇の姿を畳の上に思い描いてみた。けれども、私には、あきれめ切れないものがあるのだ。あさましくてもよい。私は生き残って、思う事をしとげるとあめに世間と争って行こう。

善い人も悪い人も、お金持ちも貧乏人も、いろんな人の集まり混ざった世に、生きていくことは、新たな未来が見えなくなると、難しく辛いものに思える。

「自殺とは罪なのか?」なんて考えて重い気持ちになる。
でもそういう気分にさせてくれるのが、太宰治の小説なんだとも思う。


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