2007-10-30

『ダーウィン 世界を揺るがした進化の革命』(オックスフォード科学の肖像) を読んで

ダーウィン―世界を揺るがした進化の革命 (オックスフォード科学の肖像)レベッカ・ステフォフ(著), オーウェン・ギンガリッチ(編), 西田 美緒子(訳)ダーウィン―世界を揺るがした進化の革命
(オックスフォード科学の肖像)
レベッカ・ステフォフ(著)
オーウェン・ギンガリッチ(編)
西田美緒子(訳)

souiunogaii評価 ハート3つ

本書『ダーウィン 世界を揺るがした進化の革命』は、次の文章で始まる。
1835年9月15日、小さな船が帆いっぱいに太平洋の風をはらみ、南米の西岸沖およそ1000キロに浮かぶ島をめざして波しぶきをあげていた。船の名はビーグル号。赤道をまたいで点在する島々が、目前に迫っている。
このビーグル号に乗船していた若き科学者チャールズ・ダーウィンは、ゆくてにあらわれるのを今か今かと待ちわびていた。

科学者の物語を読むのが好きな私は、この冒頭の部分を読んだだけでもうワクワクしてきてしまう。

あまりに偉大な博物学者ダーウィンの一生を描いた物語。
もくじ
第1章 進化論の原点
第2章 飽くなき探求者
第3章 ビーグル号の航海
第4章 理論の誕生
第5章 「悪魔の牧師」
第6章 ダーウィンの遺産

19世紀のイギリスという時代背景を丁寧に説明しながら、ダーウィンがどんな少年・青年時代を過ごし、いかにして博物学にのめりこんでいったのかが、時系列の順を追って語られていく。

裕福な家庭に生まれ、十分な援助をしてくれる父親がいて、学びたいと望めばそのための環境がすぐに手に入る。
そして何より、自然・生き物に対しての興味や好奇心が人よりも強くて、観察というものが大好き。
そんな青年だったダーウィンが、学者となり、やがては世界をあっと驚かせる発見をすることになる。

(この科学者に対して、この表現が適切化どうか分からないが)
ダーウィンという人物が、あの時代に生まれたことは、神様が定めた運命だったのではないかと思えてくる。
実に恵まれた幸せな人生を送った科学者だと思うのだ。

ビーグル号による5年間にも渡る世界一周航海。ガラパゴス諸島で出会ったゾウガメ、イグアナ、フィンチなどの様々な動植物たち。
この冒険旅行の中でダーウィンの身の周りに起こった数々の出来事についても、結構細かいところまで詳しく書いてあって、この章を読むだけでも、たいへんに面白い。

後半では、いよいよ『種の起源』がどのようにして書かれたのか、当時の社会の中で進化論を発表するということが一体どういうことだったのか、という話になっていく。
ダーウィンの考えに影響を与えた科学者たちも多く登場する。
地質学のライエル、植物学のヘンズローとフッカー、経済学のマルサス。

「神の天地創世」の物語を語り「人間は最後に創られた特別な存在」と信じる人たちに、
「人間も動物の仲間で、実は祖先はサルと一緒です」と教える、その勇気が生まれる源になったものとは。

聖書の「生命は神が創った」という説を信じる教会からは反発されることを予想し、自身の学説を世に出すタイミングをうかがいながら、まだ完全には出来上がってはいなかった理論のパズルのピースを一つひとつ組み立てていく。
そうしながら、反論される要素を消していく。
そしてついに、それは一冊の本にまとめられる。

『種の起源』出版までのダーウィンと彼を取り巻く人たちのドラマが、実に面白い読み物になっている。
科学の新しい思想は往々して強い抵抗に会うことをダーウィンは知っていた。人々は慣れ親しんだ考え方に、頑固にしがみつくからだ。彼は『種の起源』への反感について、「これまでの反感の大半は、太陽がじっと動かず、地球がそのまわりをまわっていると最初に言われたときの反感と同じだ」という手紙を牧師である友人に書いている。16世紀のはじめに地球が太陽のまわりをまわっていると証明して天文学に革命をおこしたコペルニクスの説のように、自分の考えもいつかは広まっていくだろうと信じていた。

人々のそれまでの世界観・価値観をがらりと変えてしまう。
旧来の考えを守る人たちからは批判され罵倒され弾圧されるかもしれない。
それでも人類の未来にとって、科学にとって、大きな進歩だと信じて、自らの進む道を変えずに前に出て行く。

ダーウィン、かっこいい人だ。

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