![]() | (講談社+α新書) 鳥越 俊太郎 ![]() souiunogaii評価 |
この人は実にカッコイイよな。こんな人間に、私は憧れるな。
そんな風に思う人が、私には何人かいるが、鳥越俊太郎もその一人だ。
朝のテレビ、私が見るのはスーパーモーニング(テレ朝)だけれど、その理由の一つは、鳥越俊太郎の言葉を聞きたいと思うからだ。
本書「人間力の磨き方」は、自らの職業を「ニュースの職人」と呼ぶ鳥越が、自身のこれまでのジャーナリスト人生を語ったものだ。
もくじ
第1章 この仕事に向かないと言われ回り道ばかりの新人時代
第2章 地道に足場を固めて「プロ」の力を養う
第3章 転機は自分でつくる―実りへの足がかり
第4章 50歳以上はおまけだ―激動の時代を全部この目で
第5章 いくつになっても試練と危機―生涯、一「ニュースの職人」
京都大学を7年かかってやっと卒業し、毎日新聞に入ってから、キャスターとしての現在に至るまでの、記者人生が、時系列的に語られる。
簡単にまとめて書いてみれば、
・京都大学文学部を卒業
・毎日新聞社に入社、新潟支局へ
・大阪本社、社会部へ
・東京本社、社会部へ
・サンデー毎日の編集部へ
・米国ペンシルバニア州の田舎の地方新聞社に研修へ
・外信部テヘラン特派員としてイランへ
・毎日新聞社を退社、テレビの世界へ
・ザ・スクープ(テレ朝)のメインキャスターに
・スーパーモーニング(テレ朝)のレギュラーに。そしてイラクへ。
という風になる。
それぞれの時代ごとに、鳥越はどんな事件を追いかけ、どんな姿勢で取材していたのかが、かなり細かく臨場感をもって書かれている。
そこから伝わってくるのものは、「現場主義」だ。
とにかく、現地へ行ってみる。そこにいる人間を観て、直接に話を聞いてみる。そうして初めて分かることがある。
まさに、「ニュースの職人」だ。
しかし、途中から私の気持ちの中に、ある種の虚しさが漂い始めた。討論をしている人の大半が、イラクという国のことをほとんど知らずに話をしているのだ。
(中略)
早い話、イラクの実情について何も知らないままスタジオで討論を続けることに、疑問が生じ始めていたのだ。
「参ったなあ、このままではどうしようもないなあ、これはやっぱり……」私の胸の内には、「イラクへ行ってこよう」という考えが浮かんでいた。
(中略)
危険なのは私にもわかっていた。しかし、テレビで討論をするたびに、誰もいらくを知らずに話をしていることに、私は我慢ができなくなっていた。
最近、鳥越俊太郎が出演しているAflacの保険のテレビCMをよく目にする。
がん治療で入院闘病中のシーンと共に、海外で懸命に取材をしているシーンが映っている。
実はこのCMを見たことが、本書を手にとって、読んでみようと思ったきっかけの一つでもある。
現地取材でしか知ることのできない真実があり、伝えなければいけない事実がある。
本書にこめられたメッセージだ。
先日のスーパーモーニングで、ミャンマーで命を落とした長井さんについて鳥越とAPF通信の山路さんが語り合うというコーナーがあった。
それを見て、この人たちは私たちにはとてもできない、大切なことをやっているんだと改めて感じた。
強い信念を持った人だからこその、かけがえのない仕事なんだと感じた。
テレビで見にする、あの声あの話し方が、本から聞こえてくるような、読者である私に直接話してくれているような、そんな文章だ。
「伝えたいんだ」という気持ちがたくさん詰まっている。
読んでよかった、そう思える1冊。












