2007-09-29

『人間失格』太宰治 を読んで

人間失格 (集英社文庫)太宰 治人間失格
(集英社文庫)
太宰 治

太宰治の「人間失格」、ついに読んでしまった。
太宰作品を読むのは、中学の国語の教科書に載ってた「走れメロス」、高校の現代文の教科書に載ってた「富嶽百景」以来だ。

恥ずかしながら何も知らなかった私は、タイトルだけ知っていた「人間失格」に対して“難しい小説”というイメージを抱き、勝手に「きっと、ぶ厚い本なんだろう」と想像していた。
けれど、実際に手にした新潮文庫の本文はわずか140ページ弱。とっても薄い本であり、そのことにまず驚いてしまった。

手記という形式で、主人公本人が読者に直接語りかけてくるような文章。
文体は、さすがに現代の言葉とは少し違っていて、慣れるのに10数ページかかった。

物語の舞台は昭和初期の東京。
描かれているのは、一言で言えば、「人生の破滅」。
恥の多い生涯を送って来ました。

対人恐怖症、作り上げたキャラの仮面、アルコール依存症、セックス、登校拒否、ひきこもり、恋人の自殺と自身の自殺未遂、妻のレイプ、そして麻薬中毒。
人間が、恐い。人間が信じられない。

互いにあざむき合って、しかもいずれも不思議に何の傷もつかず、あざむき合っている事にさえ気がついていないみたいな、実にあざやかな、それこそ清く明るくほがらかな不信の例が、人間の生活に充満しているように思われます。

主人公は自らの選択によって人生を破壊してしまったのか。
それとも、それは生まれた環境に作られた、避けられない運命だったのか。

主人公ほど深刻な問題にはならないとしても、似たような悩み、「他人と上手く関われない」という悩みは、21世紀に生きる私たちだって、多かれ少なかれ抱えているものだろう。
自分とは違ったキャラを演じてしまったり、学校や職場の空気になじめなかったり。
ひきこもりとかニートとか。

この小説のポイントは、主人公 葉蔵が何故だか女にとてもモテるところだ。
他人と関わることを恐れ、社会の中で生きることを拒否して、自分は一人で生きるしかないんだと、自分の世界の中に閉じこもって生きることを決めてしまった、そんな男なのだけれど、女にはモテる。
その魅力は一体何だったのだろう。
人間、失格。
もはや、自分は、完全に、人間で無くなりました。

結局、どんなに逃げても「人間が一人で生きるのは不可能」ということなのか。

ちなみに、集英社文庫の表紙が話題になっていましたが、私はやっぱり新潮文庫派。


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