2010-08-22

『あたしはビー玉』山崎ナオコーラ を読んで

あたしはビー玉あたしはビー玉
(幻冬舎)
山崎ナオコーラ


souiunogaii評価 

山崎ナオコーラの新世界、青春ラブファンタジー小説!
内容紹介
あたしはビー玉。高校二年生の男の子に片想いしてしまった。気難しい男の子は大好きだけど……。可愛がられるだけじゃ、満足できない!「新しい女の子」の生き方を探る、バカ可愛い高校小説!!

まず、この表紙を見て「えーっ!?」と思って、何だか読むのを少し躊躇しそうになったのだけれど、でも大好きな山崎ナオコーラさんの作品だから絶対に面白いはずだ、そう思って読み始めた。
そしたら、やっぱり山崎ナオコーラさんはスゴイ!
期待通り、いや期待していたそれ以上にもっとずっと楽しませてくれた。
面白かった!

主人公は高校2年生の清順、16歳の男の子。
物語は、彼が大事にしていたビー玉がある日突然しゃべりだすところから始まる。
ビー玉が女の子の人格を持ち、清順に恋をして、彼にだけ聞こえる声で話しかけるのだ。
何とも不思議な非現実なこの出来事を、あくまでも平凡な日常世界の中で起こる出来事として描き、そこに全然違和感を感じさせないのは、山崎ナオコーラ節とも呼べる独特の温度の文体の持つ力だと思う。

ビー玉は清順に対して「好きだ」というアピールを強くぶつけるんだけど、当の清順の方は、バイトをしているハンバーガーショップの先輩のお姉さん・竹中さんに恋をする。
「清順が、他の女の子を、好きになったら、あたしは溶けて、死ぬのかな……」
水からときどき顔を出して、息継ぎをしながら人魚姫みたいなことを言うと、
「なんだそれ?脅迫?めんどくせー。こええなー。女は怖い」
と清順が、さも嫌そうに、あたしを見た。こういうことを言うと愛されないんだな、とあたしは学習した。

ビー玉は、フライドポテトや炭酸飲料が好物で、時には感情を表に出して赤くなったり、涙を流したり、一つひとつの仕草がとっても可愛い。

若い人たちに読んで欲しい、という思いを込めて綴りました。
高校生たちが活躍する、ラブコメディのような物語なのですが、
私が今まで書いた小説の中では、原稿量としては意外と一番多いのです(『人のセックスを笑うな』が102枚で、この本は一応、300枚くらいなので)。
読みどころとしては、会話文の艶っぽさか。
室生犀星「蜜のあわれ」へのオマージュがあります。
清順、ビー玉、チクチュー、岡本たちがなんやかんやして、物語の山を作ります。

そして、清順は、高校の文化祭で、クラスの仲間の岡本と紺野と3人でバンドを組んで演奏する計画を立てる。
さらに岡本まで竹中さんに恋をしてしまい……。
と、家族や友達の描き方はまさに青春恋愛小説な感じで爽やかで気持ちい。

これまで読んだ山崎ナオコーラ作品は、女性が主人公の話が多かった気がして、だから高校生の男の子が主人公の小説というのが新鮮で、新たな山崎ワールドが始まったな、そんな気がした。

ラストは、ファンタジー小説ならではの素敵で綺麗で夢のある終わり方で、とにかくイイ感じの物語だった。

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