2010-08-19

『トーキョー・クロスロード』濱野京子 を読んで

トーキョー・クロスロード (ポプラ文庫ピュアフル)トーキョー・クロスロード
(ポプラ文庫ピュアフル)
濱野京子


souiunogaii評価 

内容紹介<作品によせて・新海 誠>別人に変装して、ダーツにあたった山手線の駅で降りてみる。これが休日の栞の密かな趣味。そこで出会ったかつての同級生、耕也となぜか縁がきれなくて……。
素直になれない二人をジャズ喫茶のバンドマン、一児の母、辛口の秀才、甘えん坊の美少女(すべて高校生!)が支える。
「東京」という街の中ですれ違う人間関係が静かなジャズの音楽にのせて描かれる極上の青春小説!

「トーキョー・クロスロード」を読んだ。
濱野京子という作家の大ファンになった。
すごく良かった。

何ていうか、この作品全体にただよう雰囲気っていうか、世界観みたいなものが、私の大好きな感じで、もうすっかりハマってしまった。

一言で表現するなら、ザ・青春恋愛小説!

主人公は森下栞。高校2年生の女の子。
彼女の趣味は、山手線に乗って見知らぬ駅で下りて、その街を歩いて回り、その景色を写真に撮るというもの。

いわゆるぶらり途中下車の旅的なことを、高校2年の女の子が一人でやっているのだ。
自分のことを誰も知らない街を一人で歩くのが、不思議と心地よい。
私ではない私。だれも知らない私。孤独という名の解放。私が何ものであってもいい。そこで私はあわい喪失感にひたる。それはもしかしたら、自虐的な快感かもしれない。

そんな栞は、ある日、偶然に中学のときの同級生の耕也と出会う。

そこから、二人の物語が動き始める。

お互いにめちゃくちゃ強く意識し合いながらも、その気持ちが本当に「好き」と呼べるものなのかどうか分からない。
そんな非常にビミョーな二人の距離感の描き方が、とっても繊細で上手い。
忘れよう、と思った。でもたぶん、忘れられない。

この物語に輝きを与えてくれているのが、
栞の周りのクラスメートたちの存在。
いつも一緒にお昼を食べる、亜子と美波。
それぞれに全く性格の違うこの3人が、実は深く確かな友情でしっかりとつながっていて、そのことを見せてくれる一つひとつのエピソードが、とても瑞々しくて眩しくて、これぞ青春という感じが、読んでいてたまらなく気持ちいい。

そして、さらに重要なのが、川田さんと青山の2人。
クラスメートなんだけど、2人ともある事情があって、栞より2歳年上。
このちょっぴり大人な彼らの存在が、物語をぐっと深みと広がりを持たせてくれている。
(何と彼女の方は、高校生でありながら結婚して家庭をもっており、さらに可愛い赤ん坊までいる)
「じゃあ」
と、せつなげに笑う。泣きそうな顔だ。私はもう、泣いてなどいない。メガネをかけているから。何も起きなかった。でも、何もなかったわけじゃない。そして、もう二度と会えない。その思いが、絶望的なまでの確信となっていく。

とにかく、栞と耕也の二人の微妙な関係が、もう切なくてしょうがない。

ラストは、ベタと言えばベタな展開なんだけど、でも青春小説なんだから、そういう爽やかな終わり方がやっぱり気持ちがいい。

すごく楽しめた。
すばらしい青春恋愛小説に出会えた。

祝・第25回坪田譲治文学賞受賞!『トーキョー・クロスロード』:ポプラ社


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「トーキョー・クロスロード」濱野 京子★★★☆☆  :藍麦のああなんだかなぁ  2010-08-22
Excerpt: 「トーキョー・クロスロード」濱野 京子 ポプラ文庫ピュアフル ISBN:978-

「トーキョー・クロスロード」 濱野京子   :つきよのみみず  2010-08-23
Excerpt: ♪ただ 一度だけの たわむれだと 知っていたわ♪ ♪もう 逢えないこと 知ってたけど 許したのよ♪ ハイファイセットのフィーリン
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