2010-05-30

『告白』湊かなえ を読んで

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)告白
(双葉文庫)
湊かなえ


souiunogaii評価 

内容紹介
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」
我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。
衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞のベストセラーが遂に文庫化!
<特別収録>中島哲也監督インタビュー

もくじ
第1章 聖職者
第2章 殉教者
第3章 慈愛者
第4章 求道者
第5章 信奉者
第6章 伝道者



話題作だし、文庫化されたし、映画化もされるし、ってことでやっと読んでみました。
湊かなえさんは以前、『少女』を読んで、ミステリー作品としての面白さやラストの衝撃のすごさで気になっていた作家さんなのですが、
この『告白』については、感想を書くのがとても難しい。

単純に「面白かった」と言うのにはとても勇気がいる作品だと思う。

これは羽田圭介の『黒冷水』を読んだ時の感覚によく似ている。
『黒冷水』羽田圭介 を読んで

とにかく、人間のエゴというか、登場人物の誰もがみな自分のことしか考えられなくなっていて、一体なにが正義で何が悪なのかも分からなくなりそうな恐怖があった。

たしかに、『告白』のストーリーには救いは存在しない。4歳の幼女殺害の犯人は中学生、彼らに復讐するのは担任である教師。それぞれの「告白」は、どれも独善的で不条理だ。読むのがいたたまれなくなる人もいるだろう。
それゆえに、『告白』が起こした波紋は尋常ではなかった。特にラストへの反応は様々だった。
「近来まれにみる傑作」「大切な人を失ったら、私も同じことをする」と評価・共感する読者が大勢いる一方で、「これまで読んだ中で最悪の読後感」と、賛否両論が今もなお吹き荒れている。
『ダ・ヴィンチ』5月号より

確かに、賛否両論があるのは当然のことだし、ところどころに「中学生でそれはあり得ないだろ」とか「この展開は都合よすぎるだろ」と感じられる部分もあるし、
ミステリー作品としての完成度から言えば、『少女』の方が高いと思う。

しかし、そういういろんなことを抜きにして、この『告白』という物語には、言葉では表せない不思議な魅力がある気がする。
実際、私は本書を手にして、終わりまで一気に読んでしまった。
これほど短時間で一冊の小説を読んだことは今までにない。
読者に次のページを読まずにはいられなくする、そういうすごい力がこの作品にはある。それは間違いない。

面白い!と語るには非常に勇気がいる作品だけれども、それでもやっぱり面白いと言わずにいられない。

巻末の中島監督の次の言葉がとても印象的だった。
本作は全編モノローグで構成されていますから、一見、全員が自分の真情を吐露しているように見えます。しかし、彼らが真実を話している保証なんかどこにもない。そのあたり、湊さんは決定的なことをまったく書いていないんです。

これを読んで思わずハッとした。そうか、結局はそういうことかと。
とにかく、いろいろな意味で、作者・湊かなえの挑戦は大成功だったのだと思う。

私は松たか子も中島監督も好きなので、映画の方も楽しみだ。

映画「告白」
映画「告白」公式サイト

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松たか子

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