![]() | (河出書房新社) 丹下健太 ![]() souiunogaii評価 |
内容紹介
あなたとの未来が見えない、と突然彼女にふられた上田は、その理由を知るべく夜の川で友人たちとおかしな実験をするが……
ダメンズ文学の最高傑作がついに誕生! 文藝賞受賞第一作
『青色讃歌』で文藝賞を受賞した丹下健太さんの新作です。
主人公の上田は、風邪をひいた彼女のお見舞いに行くのだが、途中で薬と一緒に買ったコンドームが見つかってしまい、それが原因かどうか分からないがとにかく彼女にフラれてしまう。
そんなダメな感じの上田は、契約社員として働く普通のサラリーマンで、休日には友人や会社の先輩とマージャンをして酒を飲んで、パチンコをして、風俗に行って、
っていうとにかくダメダメな毎日を淡々と送っている。
そんな上田を、「上田は―」と三人称で描きながらも、主格を省略した心情描写によって一人称のような効果を持った独特の文体で綴るところは前作『青色讃歌』と同じで、しっかりと丹下健太作品の世界を感じさせてくれる。
物語中盤で、上田とその友人たちが、深夜の真っ暗な川に入って、葉っぱを上流から流して下流にいる側がそれをキャッチする、という遊びをする場面があるんだけど、
それがとっても面白かった。
最初は、単なるゲームだったことが、次第に上田の人生にとって大切な意味のあることのようになっていき、最後にはみんな真剣になっているその男たちの姿が、なんだかとってもカッコ良かった。
「ただ適当なだけだろ。でもほんとに疲れたな」
上田はそう言ってため息をついた。他の三人も無言でその意見に賛成した。上田はその場に仰向けに寝ころんだ。空には星が出ていた。
とにかく、ダメな男の普通の日常を淡々と描きつつも、彼が何かを見つけだせる可能性を描いた物語で、読み終わったあとには何か爽やかなキラキラしたものを得ることができる、そんな一冊だった。
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