2010-01-24

『ボーダー&レス』藤代泉 を読んで

ボーダー&レスボーダー&レス
(河出書房新社)
藤代泉


souiunogaii評価 

内容紹介
この世界はどこにだって、見えない溝がある。僕ら二人の間にも……
新入社員の僕が出会った独特な魅力の在日コリアンのソンウ。二人の友情を通して“世界の今”を描く
第46回文藝賞受賞作。

文藝賞受賞作で、芥川賞の候補にもなった作品。

物語は主人公の二人が入社式で出会うところから始まる。
日本人の江口理倫(まさとも)と趙成佑(チョ・ソンウ)。
すぐに親しくなった二人はお互いを"りーりん"、"なりすけ"と呼び合う。

江口の、学生気分が抜けきらないお気楽なサラリーマン一年生の、何とも軽い感じが物語全体を明るく爽やかなものにしている。

でも、本作が扱っているテーマの中心は"在日コリアン"のアイデンティティの問題であり、深く重い。

ある夜、ソンウが江口に言った言葉がとても印象に残る。
「お前はなんなの?語れないの?語らないの?」
すごい力だった。僕は口を開いても声が出なかった。
「向き合えないの?向き合わないの?どっちだよ」
ソンウの詰問する声はどんどん僕をえぐっていった。

でも、江口もソンウもお互いをかけがえのない親友だと認識しあっている。
そんな二人の関係を、何だかとても羨ましく思った。

ああ、そういうことなんだ。


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