2009-09-19

『ゆれる』西川美和 を読んで

ゆれる (ポプラ文庫)ゆれる
(ポプラ文庫)
西川美和


souiunogaii評価 

内容紹介
故郷である田舎町を嫌って都会に出た奔放な弟・猛と、家業を継いで町に残った実直な兄・稔。
対照的な生き方をしてきた二人の関係が、幼なじみだった智恵子の死をきっかけに揺らぎはじめる・・・。
映画史に永く刻まれる傑作を監督自らが小説化。
第20回三島由紀夫賞候補作。

映画『ゆれる』を、西川美和監督が自ら小説化したものです。
この作品、映画の方も個人的にけっこう好きで、非常に完成度の高いものなんですが、
小説の方もまたとても良くできてると思いました。
西川美和監督の素晴らしい才能を感じます。

東京でカメラマンとして自由に働く弟と、実家のガソリンスタンドを継いだ静かな兄。
対照的な兄弟が、吊り橋で起こった事件をめぐって悩み苦しむ。
兄弟、家族の間の深い闇の部分を丁寧に描いた物語です。
登場人物一人一人のモノローグ形式での文体は、映画を見た後で読んだ私には、一人一人の心の奥底が非常にリアルに感じられて、その迫力に圧倒されてしまいました。
ああ、この子は、人殺しの弟になりたくないんだ、と。
たったそれだけのことだよ。

よくある映画のノベライズ本とは全く違います。
それぞれにオリジナルな描き方があって、同じ物語なのにそれぞれ別の味わいがあって、とても楽しめます。

筑摩書房の松田哲夫さんも、著書の中でこんな風にコメントされています。
まさに映画では絶対に描けない世界をここでは表しています。映画を見て、小説を読むと、それぞれが補い合って、さらに奥深い世界が見えてくるという楽しみもあります。驚くべき才能ですね。


最後の、弟が兄に向って「兄ちゃん、うちに帰ろうよ!」と叫ぶ場面では、映画のラストシーンが目に浮かんできて、目に涙を浮かべてしまいした。


映画『ゆれる』公式サイト

ゆれる [DVD]ゆれる
監督:西川美和
出演:オダギリジョー, 香川照之, 真木よう子


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