![]() | Wish You Were Hiere (祥伝社) 中村航 ![]() souiunogaii評価 |
内容紹介
懐かしいあの日々、温かな友情、ゆっくりと育む恋――
僕は、守り続けなきゃならない
『100回泣くこと』の中村航が贈る、静かで優しい物語
もくじ
あなたがここにいて欲しい
男子五編 (and one extra episode)
ハミングライフ
中村航の『あなたがここにいて欲しい』です。
この本、表紙絵や装丁の感じがとっても素敵な感じで、物語の雰囲気ともぴったり合っていて、すごく好きです。
まず表題作の「あたながここにいて欲しい」ですが、
主人公は、『夏休み』に登場していた、あのカメラの分解が趣味の吉田くん。
幼稚園児時代からはじまり、小学生、中学生、高校生、大学生と進む彼の成長物語です。
吉田くんの持つ、独特の感性、オリジナルな輝きみたいなものに、何だかとっても魅力的なものを感じる。
あぁ、いいな、って。
こ、これがゾウか、と、痺れるように吉田くんは思っていた。一頭だけいるゾウは、幼稚園児に換算すると五十園児分くらいの質感を放っていた。
(中略)
電力に換算すると、三百ギガワットくらいだろうか。それは園児のやわらか頭に、春の電撃が落ちたような衝撃だった。
『夏休み』で、愛する舞子さんのために戦った、あの強い意志・信念を持った吉田くんという人間は、こういう風にして作られてきたんだ、って。
幼なじみの親友である又野君というのが、結構重要なキャラとして登場するんだけれど、その又野君の描き方、吉田くんとの関係の描き方が、非常に上手い。
中村航の他の作品でも感じることだけれど、「真にたいせつなこと」を「きちんと分かること」がどういうことで、それがどれだけ重要なことなのかを教えてくれる、
そんな力が、この物語にはある。
中村航の紡ぎだす言葉の、一つひとつが、そういう力を生み出している。
守れるものの総量は、とても限られている。電柱を背にうずくまり、吉田くんは思った。呼吸を整え、電柱にもたれかかる。
だからこれからは、大切なものを自分からまもりにいかなければならなかった。好きな人に告白したりとかそんなことは、当たり前にやらなきゃならない。キスとかそういうことも、さりげなくこなさなきゃならない。そしてまっとうな文明を守るのだ。
次の、「男子五編」は、著者である中村航の自伝とも受け取れる作品。
主人公の「僕」が、小中高、大学、と進み、就職し、そして会社を辞めて小説を書き始めるまでの物語。
これは、中村航自身のストーリーかもしれない。
探し続ければ、美徳などいくつでも見つかる。ならば、と男は考える。いや、違う。考えるんじゃない、感じるんだ!(Don't think. Feel!) "礼儀"、"仲良し"に続くもの、それは……。
――もうひとつを探し続けること。
世界三大美徳を追い求め続ける、中村航の物語。素敵だ。
最後の「ハミングライフ」も、爽やかなラブストーリーだ。
木のウロに入れた絵手紙と、一匹のノラ猫を通じて、「私」は「小川君」とメッセージを交換し合う。
一組の素敵なカップルが誕生するまでの、とっても爽やかな物語。
bk1の、みーちゃんさんの書評がとっても良かったので紹介しておきます。
![]() | (白水Uブックス) J.D.サリンジャー(著), 野崎孝(訳) ![]() | |
![]() | (河出文庫) 中村航 ![]() souiunogaii評価 |
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