2009-04-18

『ぐるぐるまわるすべり台』中村航 を読んで

ぐるぐるまわるすべり台 (文春文庫)ぐるぐるまわるすべり台
(文春文庫)
中村航


souiunogaii評価 

内容紹介
中村 航『始まりの三部作』完結編
僕は大学を辞め、塾講師をする傍ら、バンドのメンバーを募集した。
〈熱くてクール、馬鹿でクレバー。最高にして最低なメンバーを大募集〉
そんなうたい文句に集まったロックな面々。
ボーカル志望の中浜に自らの分身を見た瞬間、僕の中で新たな物語が始まった。
カップリング作「月に吠える」も収録。
Look out! 新しい夏の王よ、飛び立て!
Get on up! 遠い音楽は確かにそこにあった。
解説・桜井秀俊(真心ブラザーズ)

中村航の始まりの三部作3rd『ぐるぐるまわるすべり台』です。
キャンパスという言葉の語感の良さは異常だと思う。

書き出しからもう「あぁ、中村航を読んでる!」って強く確かな実感があって、やっぱり中村航が紡ぎ出すフレーズが大好きだとあらためて思います。

主人公の大学を退学するシーンから物語は始まる。
彼は塾の講師のバイトをしながら、バンドのメンバー募集サイトにメッセージを投稿する。
そこから、新たな出会いが生まれて、世界が動き出す。
物事が始まる瞬間、スタートするときの感じを、中村航にしか書けない天才的な表現で丁寧に描いていく。

大学の木嶋教授、塾の榎本教室長、不登校で塾の個別指導に通う中学生のヨシモク、
そしてバンドのメンバーの、尾崎さん、チバさん、てつろーさん、中浜さん。
彼ら一人ひとりに、主人公と出会うまでの物語があって、出会ってからの物語があって。
過去・現在・未来、みたいな。
僕は僕の物語であったかもしれない物語を語った。完結したのか、それとも始まったのか、遠い音楽は確かにそこにあった。一周回ったんだ、と僕は思った。一周回ったスタート地点は、かつて僕がいた場所とは違う。始めたこと、始めなかったこと、聞いたこと、語れなかったこと。一周回ったんだ、と僕は思った。ぐるぐるまわるすべり台に乗って僕らは回る。下に着いたらまた上に昇る。屋上では何回目かのへルター・スケルターが鳴り響いていた。


続くサイドストーリーの『月に吠える』は、千葉と哲郎が、バンドに参加するまでの物語。
写真現像用の機械を製造する工場のラインで、派遣社員として働く哲郎は、QCサークル活動をしながら、他の部署で働く千葉と出会い、新しい世界に物語を作り出していく。
(公式サイトのProfileによれば著者の中村航は大学卒業後にF写真光機で数年間働いていたらしい。)
周囲の人間と自分とを区別し、間に見えない壁を築いていた哲郎が、少しずつ変わっていく姿が、とってもイイ。
今この瞬間から旗を掲げよう、と哲郎は思った。


これで中村航の始まりの三部作を全て読み終えました。
にゅいーん。

中村航公式サイト

対談『ぐるすべ』も実はパラレルなんです(中村航×長嶋有):文藝春秋 自著を語る

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