2009-03-16

『長い終わりが始まる』山崎ナオコーラ を読んで

長い終わりが始まる長い終わりが始まる
(講談社)
山崎ナオコーラ


souiunogaii評価 

内容紹介
サークルとは、世界のことだ!
大学4年生の小笠原は、マンドリンサークルに入っている。
未来になんて興味がなく、就職活動よりも人間関係よりも、趣味のマンドリンに命をかけている。そして、とても好きな人がいる。
いつまでも流れていく時間を描いた青春文学

山崎ナオコーラさんの作品を読むのはこれが初めて。
(「人のセックスを笑うな」は、映画は観ました)

主人公は、小笠原。大学4年生、23歳、女。
普通、大学4年生といえば、就活→卒論で一年間が過ぎるっていうのが一般的なんだろうけど、
彼女(小笠原)の場合は違う。
4年になった今も、大学生活の中心はマンドリン(弦楽器)のサークルの活動。

で、誰よりも一生懸命に練習に励み、音楽に対して真剣に取り組んでいるのに、
グループ内の「和」を重視するサークル仲間との関係は、なんだかぎこちない。
人間関係に不器用な女の子なのだ。
みんなという言葉は、小笠原にとってはいつも、自分を取り囲む厚い壁のように感じられた。

そんな小笠原が、想いを寄せるのが、サークルで指揮者を務める同学年の田中。
この田中という男の子もまた、周囲の仲間との"いかにも大学のサークル的な"コミュニケーションをあまり得意とはしないタイプ。

そんな2人の、微妙な距離感の付き合いが、とっても爽やかに描かれている。
「オレ、性格悪いよ」
田中がぽつりと言った。
「性格は悪くてもいい。性格がいい人よりも、頭がいい人が好き」
小笠原は言ってみた。

全体に漂う、大学生のサークル特有の何ともいえない、仲間同士の間の余裕のある緊張感みたいな空気の感じが、上手いなと思う。
高校生みたいな未成年とは違うし、みんな成人している大人なんだけれど、それでも入学した年が1年違うだけで、先輩・後輩の関係ができて、同学年同士の間でもオーケストラ内のポジションを巡っての微妙なバランスの関係があって、みたいな。

文章も、三人称なんだけれど、でも極めて一人称に近いものを感じさせる不思議な感覚が面白い。

渋谷の大学の4年生の一年を、独特の感性で綴った小説。


微炭酸ホームページ(山崎ナオコーラが書いています)

人のセックスを笑うな (河出文庫)人のセックスを笑うな
(河出文庫)
山崎ナオコーラ




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