![]() | (河出文庫) 中村 航 ![]() souiunogaii評価 |
内容紹介
全選考委員絶賛の第39回文藝賞受賞作
僕は“姉さん”に拾われて、“半沢良”になった――
深夜のガソリンスタンドに届いた一通のフシギな招待状=ラブレターがもたらす、
ひそやかな世界の変化。
『目印になる木を探して。祈るような気持ちで』
中村航の始まりの3部作1stの『リレキショ』を読みました。
あぁ、中村航ワールドは、確かにここから広がっていったんだ、
なんて感じながら、とても気持ちよく読みました。
ありふれた日常の何でもないようなことにも、一つひとつにはやっぱり物語が隠されていて、そういう大切なものを、丁寧に丁寧に選び抜かれた言葉を使って描くことで、
世界をキラキラと輝かせて見せてくれる。
そんな不思議なパワーを持った素敵な文章を生み出してくれる、中村航という作家の魅力を感じる。
だから私は、中村航作品が大好きだ。
主人公は「僕」(半沢良)。
彼がガソリンスタンドの深夜アルバイトを始めるところから、物語はスタートする。
僕は「姉さん」と二人暮らし。
そこに時々遊びにやってくるのは、姉さんの友人の「山崎さん」。
僕に仕事を教えてくれるのガソリンスタンドの先輩は「加藤さん」。
そして、僕の働く姿を遠くから双眼鏡で見ている、受験生の「ウルシバラ」。
そんな、僕とその周りの人たちと展開されていく物語には、それぞれに別々の時間が流れていて、僕の世界に対する見方は、ちょっとずつ変化していく。
物語のスタートとゴールは、あえて余分な説明が省かれていて、
この後はどうなるんだろう、ここに至るまではどういう流れがあったんだろう、
みたいな感じがあって、はっきり書かれていないけれど、そこにはきっとこんな物語がつづいている、っていうのがきちんと伝わってくる。
それは期待と好奇心に満ちあふれ、あらゆる可能性を秘めた生命体のように思えた。またそれは、ひとつの小宇宙のように完結していた。そんな紙だった。
――大切なのは意志と勇気。それさえあれば大抵のことは上手くいくのよ。
そう言って励まされ、そして書いた僕のリレキショだった。
僕はその紙を丁寧に三つに折り曲げ、地球儀がデザインされた封筒に入れた。そして、かもめのシールで封をした。
何かを託すような気持ちだった。
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