2009-02-14

『高学歴ワーキングプア』水月昭道 を読んで

高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)高学歴ワーキングプア
「フリーター生産工場」としての大学院
(光文社新書)
水月 昭道

souiunogaii評価 

内容紹介
非常勤講師とコンビニのバイトで月収15万円。
正規雇用の可能性ほぼゼロ。

大学院重点化というのは、文科省と東大法学部が知恵を出し合って練りに練った、成長後退期においてなおパイを失わんと執念を燃やす“既得権維持”のための秘策だったのである。
折しも、90年代半ばからの若年労働市場の縮小と重なるという運もあった。就職難で行き場を失った若者を、大学院に釣り上げることなどたやすいことであった。若者への逆風も、ここでは追い風として吹くこととなった。
成長後退期に入った社会が、我が身を守るために斬り捨てた若者たちを、これ幸いとすくい上げ、今度はその背中に「よっこらしょ」とおぶさったのが、大学市場を支配する者たちだった。
もくじ
第1章 高学歴ワーキングプアの生産工程
第2章 なぜか帳尻が合った学生数
第3章 なぜ博士はコンビニ店員になったのか
第4章 大学とそこで働くセンセの実態
第5章 どうする?ノラ博士
第6章 行くべきか、行かざるべきか、大学院
第7章 学校法人に期待すること

本書は、大学院博士課程修了という高学歴を持ちながらも、就職できずにフリーター生活を余儀なくされている大勢の若者たちの問題にスポットを当て、その現状と原因をリアルに語ったもの。
著者の水月昭道さん自身も、人間環境学博士という素晴らしい学歴を持ちながらも、現在は私大の非常勤教員という不安定な身分にある人で、非常に説得力のある内容になっている。

大学4年生のときに、NHKの「クローズアップ現代」で、就職難に苦しむ博士課程修了者たちの問題を取り上げていたのを見た。
当時の私は「大変なんだな。まぁ自分は学部卒で就職だから関係ないや」なんて思っていた覚えがある。
今、「博士号」を取得しても、希望の職に就けない人が急増している。90年代に国が科学振興の一貫として博士課程の学生数を2倍以上に増やしたにもかかわらず、大学でのポストが増えないからだ。欧米では産・学が緊密に連携し、"ドクター"が、最先端の技術開発をひっぱっているのと対照的である。不安定な身分のまま働き、中には40歳になっても年収は400万円、企業への就職もできず、派遣社員として生活している人もいる。

そのとき、研究室の教員(当時准教授)はこの問題について、「私は65歳まで終身雇用ですよ。うらやましいですか(笑)」なんて言っていた。

しかし、今になって思えば、そんなのんきなことを言っていてはダメだったんだ、
と本書を読んでいまさらながらにこの問題の重大さに気づかされた。

博士課程を修了した大勢の人たちが、希望する研究職に就けずに、就職難に苦しんでいる。
20代後半から30代前半までの、いわゆるロストジェネレーションとか呼ばれる、就職氷河期に苦しめられた人たちとも重ねられて、
ある種の自己責任的な問題だと一方的に責められている風潮がある。

しかし、やっぱり、若者自身ではどうしようもない問題だってあるだろう、と。
自力では超えることのできない壁を前にして立ちすくんでいる人に向かって、
ただただ「自分が選んだ道だ」と非難することは、やはりどこか間違っている気がする。

以前、これまたNHKだが「爆笑問題のニッポンの教養」で、『「ニート」って言うな!』著者の本田由紀が太田光と激論を交わしていた。
あの放送では、若者が苦しんでいるのに国・政治・社会がそれを助けないのは問題だ、と主張する本田由紀に対して、太田光が反論していた。
私は本田由紀の考えはあまり好きではないけれど、あの回は珍しく太田光の意見にも納得できなかったので印象に残っている。

「我働くゆえに幸あり?」爆問学問(NHK 2008/3/18)

で、本書によれば、高学歴ワーキングプアがこれほどまでに増加して社会問題になってる原因は、やはり国や大学、そして既得権を守ろうとする人たち、なんだという。
だとすれば、その責任を若者に押し付けるのは、やはりどこかおかしいと感じざるを得ない。

創作童話「博士(はくし)が100にんいるむら」

【報告】学ぶこと、祈ること、信じること―ワークショップ水月昭道「高学歴ワーキングプア」:UTCP(東京大学大学院総合文化研究科「共生のための国際哲学教育研究センター」)

学校ってバカを治療してくれんのか:404 Blog Not Found


この記事へのコメント
コメントを書く
Name:

URL:

Comment:

認証コード:


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。