![]() | (河出文庫) 中村航 ![]() souiunogaii評価 |
内容紹介
話したいことがいっぱいあるんだ。
永遠と一瞬が交差する夏。
『もうすぐ完全に日が暮れる。そうしたら夏休みは終わりだ』
吉田くんの家出をきっかけに突然訪れた、二組のカップルの危機。
彼のプチ家出を理由に、僕らの妻ユキと舞子さんから「果たし状」が届いて!?
なつかしくて新しい、とびきりの夏のおはなし。
『絶対、最強の恋のうた』と『僕の好きな人が、よく眠れますように』とを読んですっかりはまってしまった中村航ワールド。
その、"始まりの三部作2nd"ともいわれる『夏休み』を読みました。
やっぱりイイ。すごくイイ。
言葉の一つひとつから伝わってくる、キラキラしていて、あったかくて、
それは正に「しあわせです!」って表現がぴったりな感じです。
ずっとずっとこのままこの物語を読んでいたい、残りのページが減っていくのが何だか切なくて、そんな風に思わせてくれる。
中村航独特の、日常世界にあるかけがえのないものの描き方は、やはり素晴らしい。
物語の登場人物は、主人公の僕と、その妻のユキ。
そしてユキの友人の舞子さんと、その夫の吉田くん。
2組の若い夫婦、男女4人の織り成す本当に素敵なストーリー。
例えばユキにAまたはBという選択肢があったとする。ユキの希望や意志といったものは既にAを選んでいたのだとする。そういうときにする賭けにこそ意味があるのよ、とユキは言う。
――Bにもフェアに機会を与えるの。その上で勝って得た選択には新たな価値が宿るじゃない。
男女間の愛と、男同士の友情、その2つのバランスが絶妙。
特に、主人公の僕と、後輩キャラの吉田くんとの関係が、とてもよくできている。
後の『絶対、最強の恋のうた』にも通じるものが感じられる。
さらに、中村航作品と言えば、魅力的な脇役たちの存在も欠かせない。
ユキの母親、レンタカー店の工藤さん。実にGOODだ。
また、本作では食べ物の描写も、すごくすごく上手い。
俺丼、炊き込みご飯、俺うどん、親子丼、ホットプレスサンド、アメリカンドッグ、温泉饅頭、旅館の夕食、お茶、コーヒー、ビール。
食べ物からではなくて、それを食べてる人物から伝わってくる美味しさ。
吉田くんが、PENTAXのMEというフィルム一眼レフカメラに愛着をもっているというのも、写真が趣味の私にはポイントが高い。
そしてそして、他の中村航作品にも見られるおなじみのフレーズももちろん登場する。
「肉にキープなし」
世界三大美徳のひとつ、仲良し。
中村航の『夏休み』、私は土です。
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