2009-01-10

『すばる望遠鏡の宇宙 ハワイからの挑戦』海部宣男 を読んで

すばる望遠鏡の宇宙 (岩波新書カラー版)ハワイからの挑戦海部宣男すばる望遠鏡の宇宙
ハワイからの挑戦
(岩波新書カラー版)
海部宣男

souiunogaii評価 ハート4つ

内容紹介
巨大望遠鏡時代のトップランナー、すばる望遠鏡。豊かなハワイの自然の中で、その建設のリーダーとして深く関わってきた著者が、すばるによって初めて明らかになってきた銀河の果てと太陽系外惑星の姿を迫力あるカラー写真とともに描きだす。すばる望遠鏡建設の苦心・喜びを交えて語る宇宙写文集。
もくじ
第1章 未知への航海―宇宙へ船出したすばる望遠鏡―
第2章 宇宙に咲く花―すばるが観た宇宙の美しさ、不思議さ―
第3章 極限に挑む―技術の限界を追ったすばる望遠鏡―
第4章 マウナケアは星の天国である―ハワイ島の自然と人々と宇宙―
第5章 ビッグ・バンに迫る―この世界はどのようにして始まったか―
第6章 ひろがる太陽系―身近な宇宙にも新発見が満ちている―
第7章 太陽系外の惑星と生命―科学の夢はどこまで―

本書「すばる望遠鏡の宇宙」は、天体望遠鏡の設置環境としては世界一ともいえるマウナ・ケア山頂にある、世界最大級(一枚鏡の反射望遠鏡としてはつい最近まで世界最大だった)すばる望遠鏡を、それを作ったチームを率いたその人自ら一冊の本にまとめたものである。そんな本がスゴ本でないとしたら、何をスゴ本と呼べばいいのか。

私が本書を読んで感じた感想も、まさに↑にあるものと同じだ。

すばる望遠鏡プロジェクトといえば、以前に読んだ『宇宙の果てまで』(小平桂一 著)が非常に面白くて、感動もした。
本書は、その小平さんの後にプロジェクトリーダーを引き継いだ海部さんが書いたものだ。
『宇宙の果てまで』の方は、特に望遠鏡の計画〜建設、完成までの苦難を、その中心にいた人物を中心に描いた、感動の物語であった。
そして、こちらの『すばる望遠鏡の宇宙』の方は、建設の話ももちろん丁寧に描きつつも、さらに観測機器の開発や、それによって得られた成果に特にスポットを当てている。
2冊通して読めば、すばる望遠鏡が何のために必要で、どのように造られ、実際にどう使われているか、を当事者の目線で知ることができる。
科学好き、宇宙好きには、たまらない。

そして、何と言っても本書の見所は、すばるが観た宇宙の写真。
全ページカラーの本書には、すばるが観測した宇宙の銀河や星々の写真が多数収録されている。
それらを見ているだけも、十分に楽しめる。
本当に綺麗なのだ。

さらに、ハワイ・マウナケア山の風景や、望遠鏡建設時の写真もたくさん。日本通運の巨大トレーラーがすばるの8.2m, 20tのガラスの主鏡を運ぶ場面の写真などは、そのシーンを想像することができ、圧倒される。
すごい。

三菱電機、大成建設、富士通、キヤノン、川鉄鉄構、日立造船、日本津運、などの日本のメーカーの技術力の優秀さと、その重要さをあらためて感じる。

もちろん、天文学者としての海部さんが、すばる望遠鏡の観測成果やその意義を解説してくれている部分も、たいへん興味深い。
やや専門用語が多く、難しい内容もあるが、それまでは見ることのできなかった世界を見ることができるようになり、それによって新事実が浮かんでくる未来を想像すると、何だかワクワクしてくる。

それでも宇宙における生命の観測は、21世紀の科学の大きなテーマである。宇宙の生命の中に私たちが自分自身を位置づけたとき、「生命とは・人間とは何か」という古くからの問いにも、大きな転換が訪れるかもしれない。そのとき夜空の星は、きっとちがった姿で輝いて見えることだろう。
すばる望遠鏡が、そういう問いを問い続けるための一里塚になれるとよい。


冬は寒くて辛いけど、明るい星がおおくて、夜空を眺めるのが楽しみな季節だ。
会社から帰ってきて、自宅への道をあるきながら夜空を眺めると、オリオン座なんかが綺麗に輝いていて、何だかいいなと思う。
宇宙の果てまで  (ハヤカワ文庫NF)すばる大望遠鏡プロジェクト20年の軌跡小平桂一宇宙の果てまで
すばる大望遠鏡プロジェクト20年の軌跡
(ハヤカワ文庫NF)
小平桂一

souiunogaii評価 ハート5つ

link_bannerJ_l.jpg
すばる望遠鏡のホームページ

【関連記事】
『東京大学マグナム望遠鏡物語』吉井譲 を読んで


この記事へのコメント
コメントを書く
Name:

URL:

Comment:

認証コード:


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。