2008-08-31

『星へ落ちる』金原ひとみ を読んで

星へ落ちる (集英社)金原ひとみ星へ落ちる
(集英社)
金原ひとみ


souiunogaii評価 ハート4つ

内容紹介
一つの恋愛と三人の孤独――

元彼の部屋を出て、「彼」と付き合い始めた「私」。
「彼」が女と浮気をしていると知り、自殺を考える「僕」。
突然去った「彼女」を待ち続ける「俺」。
愛するほど孤独になる、三人の絶望と激情。

また読んでしまいました。金原ひとみさんの小説。
読むたびに思う。このとりつかれるような魔法のような魅力は何なんだと。

ひとりの女性を中心にして、彼女が想いを寄せる男、その男の恋人、さらに彼女の別れた恋人、と、主人公となる人物を順に変えていく、という形の連作。
もくじ
星へ落ちる
僕のスープ
サンドストーム
左の夢

私、彼、僕、俺、と代名詞ばかりが続く。
この小説には、人物の名前が全然出てこない。
そのことが、何かとても不思議な効果を生み出している、気がする。
名前のもつイメージの力みたいなものが、逆に強く感じられる。

ココロもカラダも、とっても疲れている。疲れきっている。
都会に一人で生活する女性を主役にしている、そういうのが、やっぱり確かに金原ひとみワールドを感じさせるんだけど、
本作では他に見られるようなハードなエログロ表現はかなり抑え目になっている。

連作としての面白さっていう点では、
「何てヤバイ男なんだ」って思ってたヤツが、次の物語で視点を変えて描かれると、
とたんに、何てまっすぐで純粋でイイヤツなんだ、と全然別の印象を与える構成になっているのは、さすがによくできているなと思う。

一番良かったのは、「左の愛」かな。
もう主人公の男が、たまらなく切なくて、私は通勤電車の中で読んでいて、
気づいたら目がウルウルしちゃってきて、もう泣きそうになってしまって、
困ってしまった。
それくらいの感動があった。心が震えるっていうのかな。
会いたいどうして触れたい近くにねえどこ今すぐ触れたい触りたいねえ近くにそこに行きたい近くに行きたい近くに感じて少しでも少しでもねえ少しでいい感じたい感じたいよ感じたいそこにいたい近くにいたい触れたい感じたい近くにあと一ミリでいいあと一ミリ近くに!

もう苦しい心の叫びをそのまま一気に言葉にして救いを求めている、
そんな思いが伝わってくる文章が、金原ひとみの魅力だし、だから私はひきつけられる。

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