2008-08-22

『蟹工船・党生活者』小林多喜二 を読んで

蟹工船・党生活者 (新潮文庫)小林多喜二蟹工船・党生活者
(新潮文庫)
小林多喜二


souiunogaii評価 ハート3つ

ワーキングプアなんて言葉が生まれるずっと昔から…
いま再び、プロレタリア文学の代表作。

内容紹介
海軍の保護のもとオホーツク海で操業する蟹工船は、乗員たちに過酷な労働を強いて暴利を貪っていた。“国策”の名によってすべての人権を剥奪された未組織労働者のストライキを扱い、帝国主義日本の一断面を抉る「蟹工船」。
近代的軍需工場の計画的な争議を、地下生活者としての体験を通して描いた「党生活者」。
29歳の若さで虐殺された著者の、日本プロレタリア文学を代表する名作2編。

1929年に発表された、小林多喜二の『蟹工船』。
これが、2008年の今、再びブームになっているそうで、私も読んでみた。
「おい、地獄さ行ぐんだで!」

で始まる、この物語は、東北地方・北海道の最貧困層の人たちを乗せて、極寒の嵐のオホーツク海で、カニ漁をし、船上で缶詰をつくる船の話です。
蟹工船は「工船」(工場船)であって、「航船」ではない。だから航海法は適用されなかった。  (中略)
それに、蟹工船は純然たる「工場」だった。然し工場法の適用もうけていない。それで、これ位都合のいい、勝手に出来るところはなかった。

時代が現在とは全く違うので、この小説が書かれた当時に、これを読んだ人々が何を感じていたのか、私にはわかりません。
しかし、ここに描かれている蟹工船の労働環境のひどさには、強く胸を打たれました。
"生きる"ための労働が"死"の恐怖と隣り合わせにあること、その事実を見て見ぬ振りをする資本家たちの存在。
時代は違い、程度や規模の差こそあれ、私にもこれは現代にそのまま通じる問題のように思えました。

少し前に、日雇い派遣が規制されたり、グッドウィルが廃業したり、日テレやNHKがワーキングプアやネットカフェ難民の問題を取り上げている今、80年前に書かれたこの『蟹工船』が再び読まれていることに、何だか深い意味があるような気がしてなりません。
「よオし、さ、仕事なんてやめるんだ!」
ロープをさっさと片付け始めた。「待ってたんだ!」
そのことが漁夫達の方にも分った。二度、ワアーッと叫んだ。

以前、テレ東の「カンブリア宮殿」で、日本交通の川鍋社長が、従業員のタクシードライバーたちに言っていた言葉を思い出す。
「誇りを持って仕事をして欲しい」
厳しい労働条件の下で必死に働く彼らに、川鍋社長はそう語っていた。
そのときの、社長と従業員の目が、何だか非常に印象的だったのを、覚えている。
日本のタクシーを変えろ! :カンブリア宮殿 2007-05-14

『党生活者』には、
これから何年目かに来る新しい世の中にならない限り(私たちはそのために闘っているのだが)

という文章が出てくる。
共産党員として闘い、プロレタリア文学で世界を変えようとした小林多喜二。
1933年に特高警察に逮捕され、虐殺された彼が書いたこの小説が、時をこえて読み続けられているこの事実に、本当にいろいろなことを考えさせられる。

小林多喜二「蟹工船」突然のブーム ワーキングプアの“連帯感” :(2008-05-14)MSN産経ニュース
「マンガ」化で読者激増!小林多喜二「蟹工船」ブレイクの理由 :(2008-05-31)gooニュース

蟹工船・党生活者 :情報考学 Passion For The Future


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