2010-02-14

『ミート・ザ・ビート』羽田圭介 を読んで


ミート・ザ・ビートミート・ザ・ビート
(文藝春秋)
羽田圭介


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内容紹介
首都圏から約1時間、地方都市に住まう19歳の主人公。予備校に通いつつ地元の友人たちと遊んでいたある日、ホンダの乗用車「ビート」を譲り受ける。
クルマの改造、新たな出会い、そして恋。疾走する群像小説。
第142回芥川賞候補にもなった新鋭による待望の最新刊

芥川賞候補作品に選ばれた、羽田圭介さんの最新作です。

『走ル』の自転車での疾走感が、今作では車になっている。
主人公は予備校生だが、受験勉強よりも工事現場で交通整理のバイトの方が忙しい感じのお気楽な感じの若者。

そんな主人公が、ホンダのビートに出会い、徐々に車にハマっていく。
まさに青春・車小説、みたいな。

登場人物たちの名前、っていうかあだ名が面白い。
ベイダー、ブヨ、レイラ、ザキさん、ユナ。

地方都市独特の空気の描き方も、上手い、気がする。

ただ、『走ル』で感じさせてくれたあの爽快感が、本作ではちょっとしぼんでしまったかな、と思った。

次回作に期待。

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2010-02-14

『マイルド生活スーパーライト』丹下健太 を読んで


マイルド生活スーパーライトマイルド生活スーパーライト
(河出書房新社)
丹下健太


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内容紹介
あなたとの未来が見えない、と突然彼女にふられた上田は、その理由を知るべく夜の川で友人たちとおかしな実験をするが……
ダメンズ文学の最高傑作がついに誕生! 文藝賞受賞第一作

『青色讃歌』で文藝賞を受賞した丹下健太さんの新作です。

主人公の上田は、風邪をひいた彼女のお見舞いに行くのだが、途中で薬と一緒に買ったコンドームが見つかってしまい、それが原因かどうか分からないがとにかく彼女にフラれてしまう。

そんなダメな感じの上田は、契約社員として働く普通のサラリーマンで、休日には友人や会社の先輩とマージャンをして酒を飲んで、パチンコをして、風俗に行って、
っていうとにかくダメダメな毎日を淡々と送っている。

そんな上田を、「上田は―」と三人称で描きながらも、主格を省略した心情描写によって一人称のような効果を持った独特の文体で綴るところは前作『青色讃歌』と同じで、しっかりと丹下健太作品の世界を感じさせてくれる。

物語中盤で、上田とその友人たちが、深夜の真っ暗な川に入って、葉っぱを上流から流して下流にいる側がそれをキャッチする、という遊びをする場面があるんだけど、
それがとっても面白かった。
最初は、単なるゲームだったことが、次第に上田の人生にとって大切な意味のあることのようになっていき、最後にはみんな真剣になっているその男たちの姿が、なんだかとってもカッコ良かった。
「ただ適当なだけだろ。でもほんとに疲れたな」
上田はそう言ってため息をついた。他の三人も無言でその意見に賛成した。上田はその場に仰向けに寝ころんだ。空には星が出ていた。

とにかく、ダメな男の普通の日常を淡々と描きつつも、彼が何かを見つけだせる可能性を描いた物語で、読み終わったあとには何か爽やかなキラキラしたものを得ることができる、そんな一冊だった。

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2010-02-13

『傷つきやすくなった世界で』石田衣良 を読んで


傷つきやすくなった世界で (日経プレミアシリーズ 2)傷つきやすくなった世界で
(日経プレミアシリーズ)
石田衣良


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内容紹介
格差社会、勝ち組負け組、ネットカフェ難民、少子化、サービス残業、いじめ――時代の風がどんなに冷え込んでも、明日はきっと大丈夫。
若い世代に向け、著者が優しく力強いメッセージを贈る。
「R25」の好評連載「空は、今日も、青いか?」をまとめたエッセイ集。

石田衣良さんのエッセイ集。

これまでに読んだ、『目覚めよと彼の呼ぶ声がする』『空は、今日も、青いか?』と同じく、今作も非常に面白かった。

「R25」の連載(2006年1月〜2008年2月)を一冊にまとめたものなので、若い男性向けの目線で書かれているのだけれど、テーマは実に多彩で、やっぱり石田衣良という人の感性はすごいなと思う。

不景気で、心も体も財布の中身も、みんな元気が無くなっているこの時代を生きる若者たちに、何とかして勇気と希望を与えようとくれる石田衣良という作家のカッコよさがたまらない。

『傷つきやすくなった世界で』日経プレミアシリーズ特設ページ

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2010-02-13

『クラウド・コンピューティング―ウェブ2.0の先にくるもの』西田宗千佳 を読んで


クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの (朝日新書)クラウド・コンピューティング
ウェブ2.0の先にくるもの
(朝日新書)
西田宗千佳

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内容紹介
「世界にコンピュータは、5台あればいい」
プログラムもデータも、すべてをネットの雲で処理する。新しいコンピューティング。
ウェブ2.0をも乗り越え、既存メディアやビジネスの前提を覆す
そのインパクトを、気鋭のITジャーナリストが活写する。
もくじ
はじめに―「世界に5台しかコンピュータがない」世界
第1章 (サービス化)ソフトがネットへ溶けていく
第2章 (ボーダレス化)「iPhone」の革命
第3章 (オンライン化)すべてがネット(雲)の向こうに
第4章 クラウド・コンピューティングという「現象」
第5章 クラウドの課題と未来
付録 クラウドを体験する

本書を通して、私が思ったのは、やっぱり"クラウド"も"Web2.0"と同じ流行り言葉なのかな、ってこと。
2010-02-13

『ばかもの』絲山秋子 を読んで


ばかものばかもの
(新潮社)
絲山秋子


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内容紹介
絶望の果てに響く、短く不器用な、愛の言葉。待望の恋愛長篇。

気ままな大学生と、強気な年上の女。かつての無邪気な恋人たちは、いつしか別れ、気づけばそれぞれに、取り返しのつかない喪失の中にいた。
行き場をなくし、変わり果てた姿で再会した二人の、むき出しの愛。生きること、愛することの、激しい痛み。そして、官能的なまでの喜び――。
待望の恋愛長篇。

久しぶりに絲山秋子さんの小説を読みました。

bakamono.jpg
本作品は映画化もされるだ(2010年春公開予定)。
監督は金子修介、主演は成宮寛貴、内田有紀。こちらも楽しみだ。

主人公のヒデが、物語序盤ではお気楽な大学生ライフを楽しんでいて、
あぁ、そういう何でもない日常を描く感じなのかな、と思いながら読み進めていくと、
徐々にヒデの人生が壊れていき、遂にはアルコール依存症で自分も周りの人間も大きく傷つけてしまい、どうしようもない闇へと落ちていきます。

一人の人間の人生が音を立てて崩れていく、その描写が非常に上手いなと思いました。
楽しかったあの頃にはもう二度と戻れない、失ってからその存在に気づく大切なたくさんのもの・人。

物語の舞台になっているのは、やはり群馬で、もう群馬で小説を書かせたら絲山さんの右に出る人はいないんじゃないかな、と。

物語のラストで、主人公のヒデを救い、またヒデによって自分も救われる女性・額子の存在がとってもイイ。
結局、人は誰かと一緒じゃなきゃ生きられないんだ、みたいなことを感じさせてくれる。



絲山秋子 Official Web Site

絲山秋子『ばかもの』刊行記念対談(佐々木 敦×絲山秋子):新潮社


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