2009-08-30

絵本『ぶたばあちゃん』マーガレット・ワイルド(文),ロン・ブルックス(絵) を読んで


ぶたばあちゃんぶたばあちゃん
(あすなろ書房)
マーガレット・ワイルド(文),ロン・ブルックス(絵)
今村葦子(訳)

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年老いて死が近づいたことを悟るぶたばあちゃんと、それを見守る孫娘の姿を描いた心あたたまるオーストラリアの絵本。
内容紹介
ぶたばあちゃんと孫むすめは、ふたりが知っている、いちばんいいやりかたで、さよならをいいあいました。
生きることと愛すること、あたえることと受けとること。かがやかしいこの世界の、よろこびをうたいあげた、やさしく、心あたたまる物語です。

本が好き!より献本。

子ども向けの絵本だけれど、大人が読んでもそこから学べることのある良い作品でした。2人で仲良く穏やかに暮らしてきた祖母と孫娘。
あるとき、祖母は自分の死期が近いことを悟り、最期の時を迎える準備を始める。
図書館に本を返し、銀行口座を解約し、……。
孫娘の方も、言葉には出さないけれども、別れの時が迫っていることを感じ取り、2人で過ごせる時間を大切にしようと懸命になっている姿が丁寧に描かれていて、胸が熱くなる。

優しい柔らかな温かい水彩画の絵がとても物語にぴったり合っていて、世界はこんなに美しいんだってことを教えてくれる。



2009-08-29

『はつ恋』ツルゲーネフ を読んで


はつ恋 (新潮文庫)はつ恋
(新潮文庫)
ツルゲーネフ(著),神西清(訳)


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内容紹介
16歳のウラジミールは、別荘で零落した公爵家の年上の令嬢ジナイーダと出会い、初めての恋に気も狂わんばかりの日々を迎えるが、ある夜、ジナイーダのところへ忍んで行く父親の姿を目撃する……。
青春の途上で遭遇した少年の不思議な"はつ恋"のいきさつは、作者自身の一生を支配した血統上の呪いに裏づけられて、不気味な美しさを奏でている。
恋愛小説の古典に数えられる珠玉の名作。

物語の舞台は1833年のロシア。
主人公は16歳の少年ウラジミール。大学入学の準備のために勉強中の彼は、隣りの家に引っ越してきた21歳の女の子ジナイーダと出会い、恋をする。
現代の日本とは、時代も国も違うけれど「少年の初恋」の物語は、やっぱり読んでいると心を揺さぶられるパワーがある。
年上の女の子に恋をしてしまい、自分の気持ちを届けたくてしかたがないのに、それが上手く表現できずに悩む少年の気持ちが、丁寧に大切にきちんと描かれていて、物語が進むにつれて切なさに胸が苦しくなる。
その日は一日じゅう、わたしは堪らないほど浮き浮きと誇らかな気持ちだった。のみならず、ジナイーダのキスの感触も、顔一面にありありと残っていたので、わたしは興奮に身震いしながら彼女の言葉を一つ一つ思い浮かべたり、自分の思いがけない幸福を、胸の底で愛でいつくしんだりしていた。それで、現にそうした新しい感覚の源をなした当の彼女に会うのが、むしろ怖ろしくなって、できることなら会いたくない、と思ったほどであった。もうこの上、何ひとつ運命から求めてはいけない、今こそ『思いっきり、心ゆくまで最後の息をついて、そのまま死んでしまえばいいのだ』と、そんな気持ちがした。

もちろん、恋のライバルとなる男性たちも大勢登場するし、後半では、なんと自分の父親がジナイーダと…、というまさかの展開になっていき、少年ウラジミールの葛藤の様子が強く伝わってきて、何だかたまらなかった。
でも読了後には、言葉では表せない清々しさが残るから不思議だ。
2009-08-22

『「王様のブランチ」のブックガイド200』松田哲夫 を読んで(2)


「王様のブランチ」のブックガイド200 (小学館101新書)「王様のブランチ」のブックガイド200
(小学館101新書)
松田哲夫


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『「王様のブランチ」のブックガイド200』松田哲夫 を読んで(1)

前記事に引き続き、『「王様のブランチ」のブックガイド200』で紹介されている本をざっとならべてみます。
2009-08-22

『「王様のブランチ」のブックガイド200』松田哲夫 を読んで(1)


「王様のブランチ」のブックガイド200 (小学館101新書)「王様のブランチ」のブックガイド200
(小学館101新書)
松田哲夫


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内容紹介
名作200冊! 「ブランチ」発ブックガイド。

現在、書評媒体で最も影響力がある、といわれるTBS系情報番組「王様のブランチ」で13年間にわたって「本のコーナー」を担当してきた編集者・松田哲夫さんが、累計800冊近くに及ぶ紹介本のなかから、200冊をベスト・セレクト。
「本を読みたいけど、何から読んでいいのかわからない」人や、「読み忘れていた作品をこの機会に探したい」人などにも最適な、文庫で入手しやすい作品中心のラインアップです。「泣いた」「笑った」「ドキドキした」「しみじみした」「怖い」「切なくて愛おしい」「青春のときめきを感じた」など、心を揺さぶるジャンルごとのベスト10も多数掲載しました。

学生時代からずっと、TBSの「王様のブランチ」のbookコーナーを、結構楽しみに毎週見ている。
コーナーの中で紹介される本(小説が多い)は、本選びの参考になるし、松田哲夫さんや、優香ちゃんのコメントに力が入っていた本は、書店で見つけるとやっぱり手にとって読みたくなる。

その「王様のブランチ」bookコーナー、実は13年前から続いているそうで、コーナーを担当する松田哲夫さんがこれまでに紹介してきた本は800冊にもなるそうだ。
その松田哲夫さんのブックガイドなんだからもう間違いない、と。

自分が読んだことのある本のコメントを読むときはなんだか嬉しい気持ちなるし、これから読みたい!って気持ちがぐっと強くなる本もたくさん見つかるし、とにかく面白かった。

「王様のブランチ」bookコーナー:TBS
松田哲夫の「王様のブランチ」出版情報ニュース:筑摩書房

【関連記事】
本の虫、太田光がおススメ本を紹介。爆笑問題・太田光の『太田チョイス』:王様のブランチ(TBS)

では、本書で紹介されている本をざっと並べてみます。
2009-08-16

『空に唄う』白岩玄 を読んで


空に唄う空に唄う
(河出書房新社)
白岩玄



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内容紹介
通夜の最中、新米の坊主の前に現れた、死んだはずの女子大生。
2人は、寺で同居することになるが!?
各紙誌絶賛の文藝賞受賞第一作。

主人公の海生は23歳。実家はお寺で、住職の祖父のもとで修行中の若いお坊さん。
ある通夜の晩に、亡くなったはずの女性が海生の前に姿を現す。
彼女の名前は碕沢碧、海生と同い年の23歳。
幽霊である彼女の姿は、何故か海生以外の人には見えない。
そして、2人の不思議な共同生活が始まる…。

作者は『野ブタ。をプロデュース』で文藝賞を受賞した白岩玄さん。
幽霊ものなんだけれど、暗いジメジメした感じや恐怖感はほとんどなく、非常にさわやかで優しさのある物語になっていて、読んでいて気持ちがよくなる。

碕沢さんは幽霊なので、モノに触れなかったり、他の人に見えなかったりで、いろいろ困ったことが起こり、それを海生が一生懸命に何とかしようと頑張る姿が、とってもイイ。
海生の家はお寺なんだけれど、家族の人たちの温かさがいっぱい描かれているところも物語のポイントだし、海生の友人たちも気持ちのいいヤツばかりだ。

本作もまた、映画化かドラマ化されたりしたら、きっと面白いだろうな、と思う。
(そのときは主人公は誰になるんだろう?なんて考えながら読むのも楽しい)
「あの…帰ってくるんですよね?」
心待ち間があったように思えたが、碕沢さんは「ちゃんと帰るよ」とそう言った。

ラストは、やっぱりそうだよな、っていうちょっと切なく、でも爽やかな終わり方で僕は好きだ。

【著者に聞きたい】白岩玄さん 『空に唄う』:MSN産経ニュース
白岩玄氏さん新作『空に唄う』 哀感にじむ淡い恋心:asahi.com
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