2009-05-24

『カモメになったペンギン』ジョン・コッター を読んで


カモメになったペンギンカモメになったペンギン
(ダイヤモンド社)
ジョン・P・コッタ―(著)
藤原和博(訳)


souiunogaii評価 

内容紹介
組織を変革し、成功に導くためのリーダーシップが、ペンギンのコロニーを舞台とした物語で分かりやすく示される。
リーダーシップの権威であるジョン・コッタ―が、自身の提唱する「組織変革を成功させる8段階のプロセス」を幅広い層に、わかりやすく示したビジネス寓話。組織変革のプロセス、それを成し遂げるためのリーダーシップのエッセンスが、ペンギンのコロニーを舞台とした物語に凝縮されている。

著者のジョン・コッターは、ハーバード・ビジネススクールの教授で、
『企業変革力』を書いた有名な人だそうです。

本書は、その彼が提唱する「8段階の変革プロセス」について、寓話のモチーフにしてわかりやすく語ったものです。
南極の氷山で暮らすペンギンの群れに危機が訪れます。
生き残るために彼らは「組織の変革」を必要とされるのです。
ペンギンたちが実行した8段階の変革プロセス
1. 危機意識を高める
2. 推進チームをつくる
3. ビジョンと戦略を立てる
4. ビジョンを周知する
5. メンバーが行動しやすい環境を整える
6. 短期的な成果を生む
7. さらなる変革を進める
8. 新しいやり方を文化として根付かせる

プロセスを説明するためのエピソードの一つひとつが、どれも示唆に富むものばかりで、読んでいてとても多くの気づきを得られます。

Our Iceburg Is Melting (English)

Our Iceberg is MeltingOur Iceberg is Melting
John Kotter





2009-05-17

映画「ハゲタカ」が面白そうだ!


ハゲタカ
映画「ハゲタカ」公式サイト

6月6日(土)に公開の映画「ハゲタカ」が面白そうだ。
2007年にNHKで放送されたドラマ版の続編みたいだれど、主なキャストもスタッフもそのままだし、期待大です。

主演の大森「やり切った」 映画ハゲタカ完成:YOMIURI ONLINE(2009/05/12)

迫力ある独特の空気感の満ちた映像に、カッコいい音楽が合わさり、さらに実力ある役者たちの演技によって作りだされる、あの「ハゲタカ」ワールドの続きが見られるなんて、とっても嬉しく待ち遠しいです。

とにかく私、ドラマ「ハゲタカ」が大好きなんです。
大森南朋、柴田恭兵、松田龍平ら俳優陣はみんなカッコよかったけれど、
それに負けずに女優・栗山千明ちゃんもとってもカッコよかった
佐藤直紀の音楽も、大友啓史の演出も最高だった。

映画ではどんな世界を見せてくれるのか、非常に楽しみです。

ハゲタカ DVD-BOXドラマ「ハゲタカ」
DVD-BOX
TV版ハゲタカ「日本を買い叩け!」編TV版ハゲタカ
「日本を買い叩け!」編
(主婦と生活社)

ハゲタカ オリジナル・サウンドトラックドラマ「ハゲタカ」
オリジナル・サウンドトラック




NHKドラマ「ハゲタカ」
ドラマ「ハゲタカ」公式サイト:NHK

NHKドラマ「ハゲタカ」がやっぱり面白い
2009-05-16

『あなたがここにいて欲しい』中村航 を読んで


あなたがここにいて欲しいあなたがここにいて欲しい
Wish You Were Hiere
(祥伝社)
中村航


souiunogaii評価 

内容紹介
懐かしいあの日々、温かな友情、ゆっくりと育む恋――
僕は、守り続けなきゃならない
『100回泣くこと』の中村航が贈る、静かで優しい物語
もくじ
あなたがここにいて欲しい
男子五編 (and one extra episode)
ハミングライフ


中村航の『あなたがここにいて欲しい』です。
この本、表紙絵や装丁の感じがとっても素敵な感じで、物語の雰囲気ともぴったり合っていて、すごく好きです。

デザイニングスタジオ・ジェニアロイドblog
空色トロイメン 宮尾和孝公式サイト

まず表題作の「あたながここにいて欲しい」ですが、
主人公は、『夏休み』に登場していた、あのカメラの分解が趣味の吉田くん。
幼稚園児時代からはじまり、小学生、中学生、高校生、大学生と進む彼の成長物語です。
吉田くんの持つ、独特の感性、オリジナルな輝きみたいなものに、何だかとっても魅力的なものを感じる。
あぁ、いいな、って。
こ、これがゾウか、と、痺れるように吉田くんは思っていた。一頭だけいるゾウは、幼稚園児に換算すると五十園児分くらいの質感を放っていた。
(中略)
電力に換算すると、三百ギガワットくらいだろうか。それは園児のやわらか頭に、春の電撃が落ちたような衝撃だった。

『夏休み』で、愛する舞子さんのために戦った、あの強い意志・信念を持った吉田くんという人間は、こういう風にして作られてきたんだ、って。

幼なじみの親友である又野君というのが、結構重要なキャラとして登場するんだけれど、その又野君の描き方、吉田くんとの関係の描き方が、非常に上手い。
中村航の他の作品でも感じることだけれど、「真にたいせつなこと」を「きちんと分かること」がどういうことで、それがどれだけ重要なことなのかを教えてくれる、
そんな力が、この物語にはある。
中村航の紡ぎだす言葉の、一つひとつが、そういう力を生み出している。
守れるものの総量は、とても限られている。電柱を背にうずくまり、吉田くんは思った。呼吸を整え、電柱にもたれかかる。
だからこれからは、大切なものを自分からまもりにいかなければならなかった。好きな人に告白したりとかそんなことは、当たり前にやらなきゃならない。キスとかそういうことも、さりげなくこなさなきゃならない。そしてまっとうな文明を守るのだ。


次の、「男子五編」は、著者である中村航の自伝とも受け取れる作品。
主人公の「僕」が、小中高、大学、と進み、就職し、そして会社を辞めて小説を書き始めるまでの物語。
これは、中村航自身のストーリーかもしれない。
探し続ければ、美徳などいくつでも見つかる。ならば、と男は考える。いや、違う。考えるんじゃない、感じるんだ!(Don't think. Feel!) "礼儀"、"仲良し"に続くもの、それは……。
――もうひとつを探し続けること。

世界三大美徳を追い求め続ける、中村航の物語。素敵だ。

最後の「ハミングライフ」も、爽やかなラブストーリーだ。
木のウロに入れた絵手紙と、一匹のノラ猫を通じて、「私」は「小川君」とメッセージを交換し合う。
一組の素敵なカップルが誕生するまでの、とっても爽やかな物語。

bk1の、みーちゃんさんの書評がとっても良かったので紹介しておきます。
心温まる、思わず微笑んでしまう恋愛小説として、イチオシです。中村航のベストというだけではなく、恋愛小説というジャンルのなかでもトップレベル。読み終わって、よかったね、と言いたくなります:オンライン書店bk1

ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)ライ麦畑でつかまえて
(白水Uブックス)
J.D.サリンジャー(著), 野崎孝(訳)
夏休み (河出文庫)夏休み
(河出文庫)
中村航


souiunogaii評価 


【関連記事】
『100回泣くこと』中村航 を読んで
『ぐるぐるまわるすべり台』中村航 を読んで
『リレキショ』中村航 を読んで
『夏休み』中村航 を読んで
『僕の好きな人が、よく眠れますように』中村航 を読んで
『絶対、最強の恋のうた』中村航 を読んで
2009-05-13

『黒部の太陽[新装版]』木本正次 を読んで


黒部の太陽[新装版](新潮社)木本正次黒部の太陽[新装版]
(新潮社)
木本正次


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内容紹介
昭和30年代、前人未到の難工事を成し遂げた男たちの魂の記録!

「このトンネルをぶち抜かなければ黒四ダムはできない!」
毎秒600リットル以上の水を噴出する破砕帯の脅威!それでも男たちは、日本の電力不足を救うために掘った。
かつてこれほど熱かったニッポン、その世紀の大事業を描く実録小説の傑作が新装版で登場!

先日フジテレビで放送されたスペシャルドラマを見て、何だかすごく胸が熱くなって、ぜひこの奇跡の物語についてもっと詳しく知りたい!
そう思った。
で、ドラマの原作である本書『黒部の太陽』を読んだ。
すごかった。
感動した。
ノンフィクション小説独特の、建設機器や過酷な自然条件、時代背景などの客観的な説明文と、
登場人物である大町トンネル建設スタッフの方たちの丁寧な心情描写とのバランスは絶妙だし、
ドラマを先に見ているせいもあって、物語の世界にぐっとひきこまれてしまった。

この奇跡的な物語が、昭和の日本で達成された事実であることには、もうその凄さに言葉が出ない。

映画「アルマゲドン」で彗星に穴を掘ったブルース・ウィルスもかっこよかったけれど、
大破砕帯に打ち勝ち見事にアルプスの山をぶち抜いたトンネルを掘った彼らのカッコよさは、それ以上かもしれない。
もくじ
1 神話への出発
2 三正面作戦
3 市民の中で
4 アルプスの横穴
5 地の果てへ
6 作廊、東谷前線
7 白い大敵
8 死生一瞬
9 二つの破砕帯
10 一本の鋲
11 一枚の紙も黒四へ!
12 光あまねき陰に
13 神話の中、人は流れる

黒部の太陽
「黒部の太陽」:フジテレビ

黒部ダム
黒部ダムオフィシャルサイト:関西電力

笹島建設
笹島建設

熊谷組

最後に、非常に印象に残った、関西電力の太田垣社長の言葉を。
「危いって君、みんなそこで仕事してくれてるんじゃないか。仕事をいいつけた僕が、行かないという法はないよ」
「金は幾らでも使ってくれ。機械は世界中で一番いいのを使ってくれ。すべては僕が責任を持つ。君たちは何も心配せずに、ただトンネルの貫通だけに全力を尽くしてくれ」


【関連記事】
写真集『ダム』萩原雅紀 を見て
2009-05-09

『予想通りに不合理』ダン・アリエリー を読んで


予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」予想どおりに不合理
行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
(早川書房)
ダン・アリエリー

souiunogaii評価 

とにかく「行動経済学って面白い!」が連発の一冊。
内容紹介
これまでの経済学では、人は合理的に行動するものと考えられてきた。だが、本当にそうだろうか。
本当はおなじ味でも、雰囲気のいいカフェのコーヒーにはファストフード店のコーヒーより高いお金を払っていないだろうか?また、上等の靴下が必要だったのに、一足ぶんおまけされていた安物の靴下を買ってしまったことは?そう、人は不合理な行動をとるものなのだ。
経済行動に大きく影響しているにもかかわらず、これまで無視され誤解されてきた、人の不合理さを研究するのが、行動経済学という新しい分野である。ユニークで愉快な実験によって、人がどのように不合理な行動をとるのかを系統的に予想することが可能になった。「おとり」の選択肢や、価格のプラセボ効果、アンカリングなど、人の理性を惑わす要素を理解するとき、ビジネスや投資、政治の世界でも、驚くほどのチャンスがもたらされるようになったのだ。
行動経済学研究の第一人者がわたしたちを動かすものの正体をおもしろく解説する全米ベストセラー行動経済学入門。

昨年の11月に発売されて結構話題になっていた本なので、読みたい読みたいと思いながらなかなか時間がなかったりで、やっと読むことができました。

とっても面白かったです。非常に楽しめました。
「行動経済学」っていう学問分野についての興味関心が一気にぐっと高まり(深まり)ました。

本書のタイトルにもある"予想通りに"と"不合理"という言葉、この2つがセットになって使われているところに重要な意味がある。
従来の経済学っていうのは、「社会とは、合理的な人間の働きによってつくられている」という前提の上に成り立っているのだけれど、実際には人間の働きには不合理な点が多々あり、しかもそれらにはパターンがある。
っていうことを研究しているのがずばり「行動経済学」なんだそうだ。
わたしたちはふつうの経済理論が想定するより、はるかに合理性を欠いている。そのうえ、わたしたちの不合理な行動はでたらめでも無分別でもない。規則性があって、何度も繰り返してしまうため、予想もできる。だとすれば、ふつうの経済学を修正し、未検証の心理学という状態から抜け出すのが賢明ではないだろうか。これこそまさに、行動経済学という新しい分野であり、…

著者のダン・アリエリーは、行動経済学研究の第一人者と呼ばれる人で、MITをはじめアメリカの名だたる大学・研究機関で実績を積んできたすごい人みたいだ。

Dan Ariely Home Page:MIT (English)

本書の10章にもあるプラセボ研究の成果によって、2008年のイグ・ノーベル賞も受賞しているとか。
もくじ
1章 相対性の真相 なぜあらゆるものは―そうであってはならないものまで―相対的なのか
2章 需要と供給の誤謬
 なぜ真珠の値段は―そしてあらゆるものの値段は―定まっていないのか
3章 ゼロコストのコスト
 なぜ何も払わないのに払いすぎになるのか
4章 社会規範のコスト
 なぜ楽しみでやっていたことが、報酬をもらったとたん楽しくなくなるのか
5章 性的興奮の影響
 なぜ情熱は私たちが思っている以上に熱いのか
6章 先延ばしの問題と自制心
 なぜ自分のしたいことを自分にさせることができないのか
7章 高価な所有意識
 なぜ自分の持っているものを過大評価するのか
8章 扉をあけておく
 なぜ選択の自由のせいで本来の目的からそれてしまうのか
9章 予測の効果
 なぜ心は予測したとおりのものを手に入れるのか
10章 価格の力
 なぜ1セントのアスピリンにできないことが50セントのアスピリンならできるのか
11章 私たちの品性について その1
 なぜわたしたちは不正直なのか、そして、それについてなにができるか
12章 私たちの品性について その2
 なぜ現金を扱うときのほうが正直になるのか
13章 ビールと無料のランチ
 行動経済学とは何か、そして、無料のランチはどこにあるのか

経済学っていうと、なんだか景気とか金融とか政策とかが絡む大規模で難しいものがぱっと思い浮かんでしまうかもしれない。
しかし、本書で扱われているテーマはそんなものをは全然違う。
もっと、簡単で日常生活に深く関係した身近なものばかりだ。
だから読んでいて楽しいし面白いし、「あぁ、そういうのあるある」がたくさん出てくるし、「そうか、こうすればいいんだ」みたいな発見がいくつもあって、とってもイイ。

キーワードを挙げてみると、
おとり、相対性、刷りこみ、恣意の一貫性、アンカリング、無料!の力、市場規範と社会規範、先延ばし、所有意識、予測の効果、不正直、不正、独自性欲求、
などなど。

そして、本書の面白さの一番のポイントは、著者が行った数多くの「実験」だと思う。
著者は他の研究仲間と一緒に、MITやハーバードの学生を対象に、さまざまな「実験」を繰り返し実施して、人間がどんな風に"不合理な"行動をとるのか、その法則性・パターンを探っていく。
仮説を立て、予測が正しいのかを実験によって検証する、そこからまた新たな理論を導く、という流れはまさに研究としてのまっとうな形であり、学問と呼ぶにふさわしいと思う。

本書「予想どおりに不合理」は、行動経済学の入門--でもあるが、それに留まっていない。本書の魅力は、「なぜそうなるのか」を説明するに留まらず、「ならどうするべきか」まで踏み込んでいるところにあるのだから。(中略)
経済学は面白い。役に立つことすらある。しかし感動まですることは、本書に巡り会うまで滅多になかった。この感動を、ぜひあなたも味わってほしい。





予想以上に合理的! - 書評 - 予想どおりに不合理:404 Blog Not Found
人は「予想どおりに不合理」だけど「意外に合理的」でもある、という話:H-Yamaguchi.net


人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く人は意外に合理的
新しい経済学で日常生活を読み解く
(ランダムハウス講談社)
ティム・ハーフォード



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