2007-09-30

ブログ開設から2ヶ月がたって


このブログ「そういうのがいいな、わたしは。」を始めてから、2ヶ月がたちました。
9月に読んだ本は20冊。

ということで、9月のアクセス状況です。
・アクセス総数:1223
・ユニークアクセス総数:957
となりました。

記事別のアクセス数の順位は、
1位:生物学者・長沼 毅を「プロフェッショナル 仕事の流儀」NHK で見て。
2位:「あらすじで楽しむ 世界名作劇場」日テレ を見て。
3位:「ライフ」いじめを衝撃的に描いたドラマ がついに最終話。
4位:「スーパーコンピューターを20万円で創る」伊藤智義 を読んで。

今後もこのブログでは、私が読んだ本の感想を中心に続けていこうとおもいます。


2007-09-30

『変身・断食芸人』カフカ作 山下肇, 山下萬里訳 を読んで


変身・断食芸人 (岩波文庫)カフカ(作) 山下肇, 山下萬里(訳)変身・断食芸人
(岩波文庫)
カフカ(作)
山下肇, 山下萬里(訳)

souiunogaii評価 ハート4つ

カフカの「変身」を初めて読んだのは、高校生のとき、現代文の教科書でだった。
でも教科書に載っていたのは、冒頭の部分だけだったので、正確には読んだとはいえない。

授業の内容は、よく覚えていないけれど、確か「山月記」と比べながらの話だったと思う。
当時の私は、つまらない授業だと感じていて、「変身」の全文を読もうという気も起こらなかった。
それから数年がたってしまったけれど、やっと全文を読むことができた。

たった100ページの短編小説。それは次の一文から始まる。
グレゴール・ザムザはある朝、なにやら胸騒ぐ夢がつづいて目が覚めると、ベッドの中の自分が一匹のばかでかい毒虫に変わっていることに気がついた。

朝起きたら、自分はイモムシに変身していた!なんて、信じられない異常な緊急事態が発生しているのにもかかわらず、当の本人グレゴールの不思議なまでの冷静さが、私には面白くてたまらなかった。
イモムシになっているのに、会社に行こうと電車の時刻を気にしたり。
「いやいや、そんなこと考えてる場合じゃないよ!」と言いたくなってしまう。

グレゴールの家族に対する姿勢、家族たちのグレゴールへの接し方、その両方が、月日がたつにつれて変わっていく様子が、上手く描かれている。
この家族の態度の変化こそが、この物語のテーマにもなっているんだと思う。

家族とは何だろう?といろいろ考えさせられる。
どんなに困難な状況に追い込まれても、家族全員が一緒に暮らし続けることが大切なのか。

迷惑だと感じたり。いなくなってほしいと感じたり。
人はどんな気持ちで、家族の一人を見捨ててしまうのか。

現代社会でも、血のつながった家族を殺してしまうなんて事件があったりする。
介護疲れ、家庭内暴力、ひきこもり。

イモムシの声になってしまったグレゴールの言葉は、もう人間には理解できない。
そのことが、物語を悲しくさせていく。
気持ちが伝わらない、自分の意思を分かってもらえない。
そのことがどんなに辛いことなのかを、ひしひしと感じた。

しかし、イヌやネコなどのペットだって、言葉は通じなくても人間と分かり合えることがあるという。
でもグレゴールはよりにもよって醜いイモムシだ。
外見の大切さをあらためて感じる。
同じ変身でも、ジブリの「紅の豚」なんかは、言葉も通じて外見もそれほど悪くない。そういう場合には周囲の人間の対応のしかたはまったく違ったものになる。
彼は家族たちのことを、感動と愛情をこめて回想した。自分は消えていなくなるべきだ、

どうしてイモムシに変身してしまったのか、その原因は何だったのだろう…。

私が読んだのは、岩波文庫で2004年に出た改訳版で、古い言葉が現代のものに置き換えられている。(例えば、巴丹杏→アーモンド)

本書には、おまけ的に、「断食芸人」という20ページ弱の短編がついている。
これも、一言で言えば、周囲に理解されない悲しさに苦しむ主人公の物語だ。

【追記】
『カフカ短篇集』池内紀(編訳) を読んで
変身/掟の前で 他2編 (光文社古典新訳文庫)カフカ(作), 丘沢 静也(訳)
変身/掟の前で 他2編 (光文社古典新訳文庫)
カフカ(作), 丘沢 静也(訳)

変身 (新潮文庫)カフカ (作), 高橋 義孝(訳)
変身 (新潮文庫)
カフカ (作), 高橋 義孝(訳)

異邦人 (新潮文庫)カミュ(作), 窪田 啓作(訳)
異邦人 (新潮文庫)
カミュ(作), 窪田 啓作(訳)
2007-09-30

『熱い書評から親しむ感動の名著』 を読んで


熱い書評から親しむ感動の名著bk1with熱い書評プロジェクト熱い書評から親しむ感動の名著
(すばる舎)
bk1with熱い書評プロジェクト

souiunogaii評価 ハート3つ

bk1のサイトには毎日数十本の書評が届くそうです。
私も、自分が読んだ本について、他の人はどんな感想を持っているんだろう、と思って、bk1の書評はよく読みます。
bk1の書評ポータルは、「どの本を読もう」「この本は面白そう」と、本を選ぶときの参考にもします。
bk1with熱い書評プロジェクト
オンライン書店bk1で、文芸書に書評を投稿されている方々を中心に、本書をつくるためのプロジェクトとして結成。
今回は“本当に自分の好きな作品を熱い思い入れたっぷりに紹介してもらう”というコンセプトで、学生・会社員・主婦・ライターなどさまざまな経歴・職業をもつ執筆者66人が集まり、書き下ろしの書評を披露する。
書評内容の充実ぶりと検索の利便性において高い評価を得てきたオンライン書店bk1だが、さらに「書評ポータル」というコーナーを設け、これまでに投稿された書評10万本以上を統括している。

あらすじを書くだけではない。本文の内容を要約してまとめるだけではない。単なる感想というのでもない。
書評とは、こういうものだよな、と本書を読んで思った。
原著にあたりたくなる熱い書評を、本への熱気が“爽やかな風”に変わる瞬間を、どうぞおたのしみください。

本書を読んで、私が「読んでみたい」と感じた本を、自分用のメモとして書いておく。
門 (新潮文庫)夏目 漱石
門 (新潮文庫)
夏目 漱石

青が散る (上) (文春文庫)宮本 輝
青が散る (上) (文春文庫)
宮本 輝

どこにでもある場所とどこにもいない私 (文藝春秋)村上 龍
どこにでもある場所とどこにもいない私 (文藝春秋)
村上 龍

いつか王子駅で (新潮文庫)堀江 敏幸
いつか王子駅で (新潮文庫)
堀江 敏幸

図書館の神様 (マガジンハウス)瀬尾 まいこ
図書館の神様 (マガジンハウス)
瀬尾 まいこ

定年ゴジラ (講談社文庫)重松 清
定年ゴジラ (講談社文庫)
重松 清

オンライン書店bk1
bk1書評ポータル
2007-09-29

『人間失格』太宰治 を読んで


人間失格 (集英社文庫)太宰 治人間失格
(集英社文庫)
太宰 治

太宰治の「人間失格」、ついに読んでしまった。
太宰作品を読むのは、中学の国語の教科書に載ってた「走れメロス」、高校の現代文の教科書に載ってた「富嶽百景」以来だ。

恥ずかしながら何も知らなかった私は、タイトルだけ知っていた「人間失格」に対して“難しい小説”というイメージを抱き、勝手に「きっと、ぶ厚い本なんだろう」と想像していた。
けれど、実際に手にした新潮文庫の本文はわずか140ページ弱。とっても薄い本であり、そのことにまず驚いてしまった。

手記という形式で、主人公本人が読者に直接語りかけてくるような文章。
文体は、さすがに現代の言葉とは少し違っていて、慣れるのに10数ページかかった。

物語の舞台は昭和初期の東京。
描かれているのは、一言で言えば、「人生の破滅」。
恥の多い生涯を送って来ました。

対人恐怖症、作り上げたキャラの仮面、アルコール依存症、セックス、登校拒否、ひきこもり、恋人の自殺と自身の自殺未遂、妻のレイプ、そして麻薬中毒。
人間が、恐い。人間が信じられない。

互いにあざむき合って、しかもいずれも不思議に何の傷もつかず、あざむき合っている事にさえ気がついていないみたいな、実にあざやかな、それこそ清く明るくほがらかな不信の例が、人間の生活に充満しているように思われます。

主人公は自らの選択によって人生を破壊してしまったのか。
それとも、それは生まれた環境に作られた、避けられない運命だったのか。

主人公ほど深刻な問題にはならないとしても、似たような悩み、「他人と上手く関われない」という悩みは、21世紀に生きる私たちだって、多かれ少なかれ抱えているものだろう。
自分とは違ったキャラを演じてしまったり、学校や職場の空気になじめなかったり。
ひきこもりとかニートとか。

この小説のポイントは、主人公 葉蔵が何故だか女にとてもモテるところだ。
他人と関わることを恐れ、社会の中で生きることを拒否して、自分は一人で生きるしかないんだと、自分の世界の中に閉じこもって生きることを決めてしまった、そんな男なのだけれど、女にはモテる。
その魅力は一体何だったのだろう。
人間、失格。
もはや、自分は、完全に、人間で無くなりました。

結局、どんなに逃げても「人間が一人で生きるのは不可能」ということなのか。

ちなみに、集英社文庫の表紙が話題になっていましたが、私はやっぱり新潮文庫派。
2007-09-28

『ワーキング・ホリデー』坂木司 を読んで


ワーキング・ホリデー (文藝春秋)坂木 司ワーキング・ホリデー
(文藝春秋)
坂木 司


souiunogaii評価 ハート4つ

読んでて、とっても気持ちの良くなる爽やかな小説でした。
読み終わったあとの、何とも言えない爽快感が、良い。
夏休みに見る映画にも似た、こういう感じの気持ちよさ、大好きです。
内容紹介
夏のある日、ホストクラブで働く元ヤン・沖田大和のもとに、突然、息子と名乗る小学五年生の進がやってきた! 息子の教育上ホストはよろしくない、と大和は昼間の仕事である宅配便のドライバーへ転身するのだったが……。正義感溢れ、喧嘩っ早くて義理人情に篤い大和。家事にたけて口うるさい、おばちゃんのような中身の進。仕事や仲間を通して、二人は絆を深めてゆくが、進の夏休みも終わりに近づいて……

見知らぬ少年が突然に目の前に現われて、一緒に暮らし始めて、二度と忘れられない最高の夏休みを過ごす。
戸惑いが喜びに変わっていく。

家事が得意で主夫みたいな言葉を繰り出す小学生の進と、元ヤンキーでちょっと乱暴だけれども自分の正義と信念を堂々と持っている、父親の大和。
父親と息子の何ともいえず絶妙な距離感が、たまらなく良い。
「自分のスタイルを貫くこと。どんなに他人から笑われようが、自分の信じた道をゆくこと。それがカッコ良さを生み出すんだ。わかったか?」
「うーん……わかるようなわからないような……」
半信半疑の態度に業を煮やした俺は、おっさんから貰ったタオルをぎゅっと頭に巻いて見せる。
「どうだ。カッコ悪いか?」

元ヤンキーで、前職はホストの男が、一転して宅配便の配達員になる。その働く姿が、もうとにかくカッコいい。
重い荷物をもって階段をのぼって、雨の中を濡れながら走って。
宅配便の配達員への見方が、この小説を読んで少し変わったような気もする。
今まではあまり感じていなかった「ありがとう」「ごくろうさま」の気持ちが、意識できるようになったというか。
もうすぐ郵便が民間会社になるそうだけれど、あらためて“届けてくれる人”の存在に感謝しなきゃと思った。

ほとんどが登場人物のセリフと、主人公ヤマトの心の声で構成されている文章。
よけいな情景描写や説明文はとことん省かれている。
そのことが、場面を目に浮かべさせる不思議な臨場感を生み出していて、読む人をどんどん物語の中に引き込んでいく。
上手い文章だなと思う。
(あと、食事のシーンが多いんですが、これが本当に美味しそう。)

数々の出来事の後に、やがて訪れる夏休みの終わり。

いまの楽しい日々は永遠には続かないけれど、でも楽しいことはこれからも次々にやってくる。

「あんな父親だったらいいな」なんて、子供の頃はしょっちゅう考えたりした。
そんな、理想の父親像のひとつが、ヤマトなのかもしれない。
「二度と大和さん、なんて呼ぶなよ」
首の後ろに、汗じゃない湿り気がじわじわしみ込んできた。畜生。俺も鼻水が垂れそうだぜ。
「お前が嫌だって言ったって、俺は一生お前の親父なんだからよ」
「……うん!」

カッコいい男になるためのヒントがいっぱい詰まった、素敵な親子の物語です。
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