HOME > 本(小説)湊かなえ :このページの記事一覧
『往復書簡』湊かなえ を読んで[2011-04-17]
『告白』湊かなえ を読んで[2010-05-30]
『少女』湊かなえ を読んで[2010-01-24]

2011-04-17

『往復書簡』湊かなえ を読んで


往復書簡往復書簡
(幻冬舎)
湊かなえ


souiunogaii評価 

内容紹介
手紙だからつける嘘。手紙だから許せる罪。手紙だからできる告白。
過去の残酷な事件の真相が、手紙のやりとりによって明かされていく。
衝撃の結末と温かい感動。書簡形式の連作ミステリ。
もくじ
十年後の卒業文集
二十年後の宿題
十五年後の補修


ミステリー短編3部作。
どれも、手紙のやりとりで、過去の事件の真相が明かされていく、というスタイルの物語。
手紙ならではの、書いてから相手に届くまでの時間差。
そして、書いてあることが真実なのか、嘘、なのか。
最後の最後で、事件の真相を「告白」する手紙が来て、すべてが明らかになる、
そしてちょっとしたサプライズが待っている、というのは、いかにも湊かなえらしい作風。

私が特に、やられた、と思ったのは最後の「十五年後の補修」かな。
最後の「十五年後の補習」にやられました。最後感動的涙の嵐に溺れて放心状態!久々に感動モノだったなぁ。この短編だけの本だったら間違いなく★5つでした。それぐらい良かった。
"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!

そうそう、万里子と純一の、お互いへの愛情が詰まった手紙、そしてあの感動的なラスト。
やっぱり湊かなえ、すごいです。


手紙で交わす「告白」 湊かなえさん新作『往復書簡』 :asahi.com (2010/10/14)

【関連記事】
『告白』湊かなえ を読んで
『少女』湊かなえ を読んで
2010-05-30

『告白』湊かなえ を読んで


告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)告白
(双葉文庫)
湊かなえ


souiunogaii評価 

内容紹介
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」
我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。
衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞のベストセラーが遂に文庫化!
<特別収録>中島哲也監督インタビュー

もくじ
第1章 聖職者
第2章 殉教者
第3章 慈愛者
第4章 求道者
第5章 信奉者
第6章 伝道者



話題作だし、文庫化されたし、映画化もされるし、ってことでやっと読んでみました。
湊かなえさんは以前、『少女』を読んで、ミステリー作品としての面白さやラストの衝撃のすごさで気になっていた作家さんなのですが、
この『告白』については、感想を書くのがとても難しい。

単純に「面白かった」と言うのにはとても勇気がいる作品だと思う。

これは羽田圭介の『黒冷水』を読んだ時の感覚によく似ている。
『黒冷水』羽田圭介 を読んで

とにかく、人間のエゴというか、登場人物の誰もがみな自分のことしか考えられなくなっていて、一体なにが正義で何が悪なのかも分からなくなりそうな恐怖があった。

たしかに、『告白』のストーリーには救いは存在しない。4歳の幼女殺害の犯人は中学生、彼らに復讐するのは担任である教師。それぞれの「告白」は、どれも独善的で不条理だ。読むのがいたたまれなくなる人もいるだろう。
それゆえに、『告白』が起こした波紋は尋常ではなかった。特にラストへの反応は様々だった。
「近来まれにみる傑作」「大切な人を失ったら、私も同じことをする」と評価・共感する読者が大勢いる一方で、「これまで読んだ中で最悪の読後感」と、賛否両論が今もなお吹き荒れている。
『ダ・ヴィンチ』5月号より

確かに、賛否両論があるのは当然のことだし、ところどころに「中学生でそれはあり得ないだろ」とか「この展開は都合よすぎるだろ」と感じられる部分もあるし、
ミステリー作品としての完成度から言えば、『少女』の方が高いと思う。

しかし、そういういろんなことを抜きにして、この『告白』という物語には、言葉では表せない不思議な魅力がある気がする。
実際、私は本書を手にして、終わりまで一気に読んでしまった。
これほど短時間で一冊の小説を読んだことは今までにない。
読者に次のページを読まずにはいられなくする、そういうすごい力がこの作品にはある。それは間違いない。

面白い!と語るには非常に勇気がいる作品だけれども、それでもやっぱり面白いと言わずにいられない。

巻末の中島監督の次の言葉がとても印象的だった。
本作は全編モノローグで構成されていますから、一見、全員が自分の真情を吐露しているように見えます。しかし、彼らが真実を話している保証なんかどこにもない。そのあたり、湊さんは決定的なことをまったく書いていないんです。

これを読んで思わずハッとした。そうか、結局はそういうことかと。
とにかく、いろいろな意味で、作者・湊かなえの挑戦は大成功だったのだと思う。

私は松たか子も中島監督も好きなので、映画の方も楽しみだ。

映画「告白」
映画「告白」公式サイト



【関連記事】
『少女』湊かなえ を読んで

2010-01-24

『少女』湊かなえ を読んで


少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)少女
(ハヤカワ・ミステリワールド)
湊かなえ


souiunogaii評価 

内容紹介
高2の夏休み前、由紀と敦子は転入生の紫織から衝撃的な話を聞く。
彼女はかつて親友の自殺を目にしたというのだ。その告白に魅せられた二人の胸にある思いが浮かぶ。――「人が死ぬ瞬間を見たい」。
由紀は病院のボランティアに行き、重病の少年の死を、敦子は老人ホームで手伝いをし、入居者の死を目撃しようとする。
少女たちの無垢な好奇心から始まった夏が、複雑な因果の果てにむかえた衝撃の結末とは?

湊かなえさんの作品は初めて読みましたが、本作ですっかりファンになってしまいました。
ミステリー的なストーリーの作りがすごく良くできているのはもちろんなんですが、
それ以上に、物語の世界全体から滲んでくる何とも言えないダークな感じがたまらないです。
こんな小説を、これまでに私は読んだことがありません。
湊かなえ、素晴らしい才能を持った人に出会えて、とっても嬉しい気持ちでいっぱいです。

物語の主人公は高校生の女の子二人、由紀と敦子。
昔はもっと仲良しだったのに、ある出来事のせいで今の二人の間の関係はちょっとぎこちない。
一人称での語り手を、由紀と敦子の二人で交互に入れ替えながら物語は進んでいきます。
途中に散りばめられたたくさんの伏線が徐々につながり始め、それぞれに進んでいた二人の物語が少しずつリンクしてくると、どんどん面白くなってきて、夢中になって読み進めました。

登場人物が高校生ということで、青春を感じさせる爽やかな場面もあるんですが、
やはり"人の死"をテーマにしているため、全体的に黒いダークな空気に満ちた作りになっています。
あんたがそれほど不幸だと言うなら、わたしとあんたの人生をそっくりそのまま入れ替えてあげる。それに抵抗があるうちは、あんたはまだ、世界一不幸ってわけじゃない。

"因果応報"っていう言葉が作品中に何度も使われているんだけれど、一つひとつの出来事がつながって、事実が明らかにされていくその描き方は本当に見事だ。

冒頭の部分になる遺書の意味が、ラストになって初めて分かる、その瞬間の衝撃はすごかった。

とにかく湊かなえさん、気になる作家リストにまた一人追加です。

【関連記事】
『告白』湊かなえ を読んで

映画「告白」公式サイト

告白告白
(双葉社)
湊かなえ



×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。