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『うつくしい人』西加奈子 を読んで[2010-01-30]
『あおい』西加奈子 を読んで[2009-03-14]
『しずく』西加奈子 を読んで[2009-02-21]

2010-01-30

『うつくしい人』西加奈子 を読んで


うつくしい人うつくしい人
(幻冬舎)
西加奈子


souiunogaii評価 


内容紹介
会社から逃げ出した女、丁寧な日本語を話す美しいドイツ人旅行者、冴えないバーテンダー。
非日常な瀬戸内海の島のホテルで出会った三人を動かす、圧倒的な日常の奇跡。心に迫る傑作長編!


物語は、会社を辞めた30過ぎの女性が、瀬戸内海のとある島のホテルでゆっくり過ごす数日間を描いたもの。

淡々と、ひたすら何気ない普通の出来事を丁寧にじっくりと描写することで、普段都会にいるときには見えていない大切な何かを思い出させてくれる、そんな作品だと感じた。
夜風が私の顔を、遠慮なく叩いていく。もう一度空を見上げると、やはり星は信じられないほど輝いていて、首に風がマフラーみたいにまつわりついていた。気持ち良かった。何より、どうしよう、やっぱり楽しかった。

読み終わった後、一人でどこかに旅行に行ってみたくなる。

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2009-03-14

『あおい』西加奈子 を読んで


あおい (小学館文庫)西加奈子あおい
(小学館文庫)
西加奈子


souiunogaii評価 

内容紹介
女子文学に愛の一閃を穿つ超新星デビュー作
26才スナック勤務の「あたし」と、おなかに「俺の国」地図を彫っている4才年下のダメ系学生風間くんと、ペット亀の「バタ」のほわほわ脱力気味の同棲生活から一転、あたしはリセットボタンを押すように、気がつけばひとり深夜長野の森にいた。
人っ子一人いない、真っ暗闇の世界のなかで、自分のちっぽけな存在を消そうと幽体離脱を試みたり、すべてと対峙するかのように大の字になって寝っころんだりしていたあたしの目に、ふと飛び込んできたうす青色の野生の花。その瞬間、彼女のなかでなにかが氷解した――。
ゆるゆるなのにギリギリなデイズ。そこで見つけた、ちっぽけな奇蹟。あンたのことが好きすぎるのよ。
今世紀の女子文学に愛の一閃を穿つデビュー作。

「あなたに、話したいことがあります」で始まる冒頭のプロローグ的な数ページが、とっても詩的な文章で、何だか不思議に幸せな気持ちになって、もうそれだけでこの作品に出会えてよかったと思える。

そんな風に感じさせておいて、それに続く本編の文章は打って変わって散文的で、主人公の"あたし"の心に思い浮かんだ言葉をずらずらっと並べました、みたいな淡々としたもので、
「あぁ、西加奈子だなぁ」って、これもまた大好きな感じで、イイ。

って、何を書きたいのか分からなくなっていますが、とにかく面白かったです。ははは(笑)。

主人公の女の子"あたし"と、その彼氏の"カザマ君"と、友達の"みいちゃん"の3人で作られる物語は、淡々と流れていく日常、繰り返し繰り返しの毎日、みたいなことを描きながら、
でもやっぱりその中で「私って生きてる!」ってことを確認できる瞬間があって、そういうのを確認できたときに、人はキラキラ輝けるんだってことを教えてくれる。
あたしは、生きてるんだ。
あたしがここにいることを、自分の体を抱きしめて座り込んでいることを、誰かに気づいてほしかった。何も言ってくれなくていいから、ただ、あたしがここにいることを知ってほしかった。気が違ったみたいに、世界中の人に愛されたいと思った。
あたしは、生きてるんだ。

タイトルの「あおい」に込められた意味が分かる場面では、胸に込み上げるものがあって、目が潤んでしまった。


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2009-02-21

『しずく』西加奈子 を読んで


しずく(光文社)西 加奈子 しずく
(光文社)
西 加奈子


souiunogaii評価 

内容紹介
忘れてた あなたがずっと守ってくれてたこと
10年ぶりぐらいで偶然再会した幼なじみ。なぜか彼女と2人で、ロスへ旅行することに(ランドセル)
会えば殺意を覚える相手、マリ。34歳の私にできた、バツイチだけど素敵な恋人の、7歳の娘だ(木蓮)
私たちは弱くて、かっこ悪くて、情けなくて。それでもきっと、大丈夫――
少し笑えて、結構せつない、「女どうし」を描く6つの物語。
『さくら』『きいろいゾウ』の著者、初の短編集!

西加奈子さんの作品を読むのはこれが初めてですが、もうすっかりはまってしまいました。
こういうの、わたしは大好きです。

短編集ということですが、どの作品もとってもイイ。

「ランドセル」
偶然再開した幼馴染の「私」と「くみちゃん」の2人がロスに旅行に行く話。
関西弁の2人の英語は全然通じない。
2人の間の距離感が絶妙で、2人の間の空気がとってもイイ。

「灰皿」
夫が亡くなり、住んでいた一戸建ての家を、若い女性小説家に貸すことになった私の話。モノローグな感じが上手く使われている。
これも2人の間の空気が面白い。

「木蓮」
バツイチ子持ちの彼に恋をしてしまった私。彼の娘のマリを一日預かることになってしまうが、マリはとんでもなく生意気なガキで。
内心は"子供は嫌いなんだよ"オーラ全開、でも彼に良く思われようと必至にマリに親しく接しようとする私の姿が、非常に面白い。

「影」
恋人を横取りした汚名を着せられて会社を辞めて、南の島に一人旅行に来た私の話。
島で出会った「みさき」は周囲から嘘つき呼ばわりされている嫌われ者で。
やっぱり、これも2人の間に流れている空気の感じがいい。

「しずく」
6作品の中では、わたしはこれが一番好きかな。
同棲している男女は、それぞれメス猫を一匹ずつ飼っていて、その二匹の猫の物語。
猫同士の会話、猫から見る人間の姿、その描き方がもう抜群に上手い。

「シャワーキャップ」
彼と同棲するために引越しを準備している30歳の私の元に、田舎から母親が手伝いに来る。
これも、母娘の間の距離感の面白さがイイ。

6作品とも、それぞれにとっても味のあるものばかり。

この1冊で西加奈子ファンなってしまった。
他の作品もぜひ読んでみようと思う。

作家の読書道 第53回 西加奈子さん:WEB本の雑誌

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