HOME > 本(小説)ヘミングウェイ :このページの記事一覧
『老人と海』ヘミングウェイ を読んで[2007-12-21]

2007-12-21

『老人と海』ヘミングウェイ を読んで


老人と海ヘミングウェイ(作), 福田 恆存(訳)老人と海
(新潮文庫)
ヘミングウェイ(作)
福田 恆存(訳)

souiunogaii評価 ハート4つ

内容紹介
キューバの老漁夫サンチャゴは、長い不漁にもめげず、小舟に乗り、たった一人で出漁する。残りわずかな餌に想像を絶する巨大なカジキマグロがかかった。4日にわたる死闘ののち老人は勝ったが、帰途サメに襲われ、舟にくくりつけた獲物はみるみる食いちぎられてゆく……。
徹底した外面描写を用い、大魚を相手に雄々しく闘う老人の姿を通して自然の厳粛さと人間の勇気を謳う名作。

中学生のときに読んで、大きなショックを受けたヘミングウェイの『老人と海』。
あれから10年たった今、もう一度この作品を読み返してみたくなった。

そのきっかけは、最近テレビで「乱獲による漁業資源の枯渇」みたいなニュースを見て、アメリカ人の老いた元漁師が、魚の獲れなくなった寂しい港を背にして「昔は良かった」なんて語っているのを見たから。
それを見て、小説の主人公サンチャゴの姿が連想されて、そうだまたあの小説を読もう、と思ったのだ。
誰にも助けを求めることができないはるか遠い沖の海で、たった一人で綱一本で巨大カジキマグロと闘い、何匹ものサメと闘った、あの勇敢で偉大で孤独な漁師に、もう一度会いたいと思った。

ほとんど主人公サンチャゴ一人で展開されていく物語。
舟の各部分、漁の道具類、舟の上から老人が見た光景、魚の姿、そして老人の手や足といったひとつひとつの部位など、ありとあらゆることが細部まできっちりと描き上げられたその文章には力がこもってる。
まるで手にとって見るかのようにその質感まで伝わってくるような気までする。

そして、物語世界をぐっと広げているのは、老人の頭の中の動き・考えていることの描写。
これもまたきっちりと丁寧に描いてある。
老人の思ったことは、すべて声になって私に聞こえてくる。
老人は海の上で魚と対峙しながら、ひたすらいろいろなことに考えを巡らせる。
昔を思い出す。
良いことを想像し、次の瞬間には悪いことを想像する。
自問自答を繰り返す。魚を殺し自分が生きるということ、命のこと。
いいことは長続きしないものだ、とかれは思った。これが夢だったらよかったのに、いまとなってはそう思う、魚なんか釣れない方がよかった。そしてひとりベッドで新聞紙の上に寝ころがっていたほうがずっとましだった。

読み終わった後には、やっぱり胸にぐっとくるものがあった。
THE OLDMAN AND THE SEA (講談社英語文庫)HEMINGWAYTHE OLDMAN AND THE SEA
(講談社英語文庫)
HEMINGWAY
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。