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『小僧の神様・城の崎にて』志賀直哉 を読んで[2008-02-02]

2008-02-02

『小僧の神様・城の崎にて』志賀直哉 を読んで


小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫)志賀直哉小僧の神様・城の崎にて
(新潮文庫)
志賀直哉

souiunogaii評価 ハート3つ

内容紹介
円熟期の作品から厳選された短編集。
交通事故の予後療養に赴いた折の実際の出来事を清澄な目で凝視した「城の崎にて」等18編。

志賀直哉の短編集だ。
「城の崎にて」は確か高校の国語(現代文)の教科書に載っていたのを読んだことがあったけれど、他の志賀作品は今回初めて読んだ。

いや、どれも面白かったのだけれど、やはり「小僧の神様」がたいへん良いなと思った。
この作品によって志賀は“小説の神様”と呼ばれるようになったというが、それも納得できる。素晴らしくよくできた小説だ。

短編集ということで、いろいろな小説があるのだけれど、そのどれにも共通しているのは、「自由気ままに書いている感」と「その情景がありありと目に浮かぶような描写」か。
小説というよりも、自身の身に起きたことを題材にしたエッセイ風な作品が多い気がする。
また、町の風景、食べ物、家の中の様子など、もちろん明治の時代のものなんか実際には目することはできないのだけれど、それでもそのシーンが頭の中にはっきりと浮かんでくる、まさに見える感じがするのだ。
細かい部分まで丁寧に正確に観察され表現されている文章だ。

入院中に病室のベッドの上で、この本を読んだのだけれど、退屈している中で、これを読んでいる間は、タイムスリップしたような気持ちになって、とても楽しい時間だった。