HOME > 本(小説)川端康成 :このページの記事一覧
『雪国』川端康成 を読んで[2008-02-06]

2008-02-06

『雪国』川端康成 を読んで


雪国 (岩波文庫)川端康成雪国
(岩波文庫)
川端康成


souiunogaii評価 ハート3つ

内容紹介
頑なに無為徒食に生きて来た主人公島村は、半年ぶりに雪深い温泉町を訪ね、芸者になった駒子と再会し、「悲しいほど美しい声」の葉子と出会う。
人の世の哀しさと美しさを描いて日本近代小説屈指の名作に数えられる、川端康成の代表作。

『雪国』を読んだ。作者はノーベル文学賞を受賞した川端康成。
冒頭の一文は、あまりにも有名で、それだけは私も知っていた。
というか、それだけしか知らなかった。
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。
向側の座席から娘が立って来て、島村の前のガラス窓を落とした。雪の冷気が流れこんだ。娘は窓いっぱいに乗り出して、遠くへ叫ぶように、
「駅長さあん、駅長さあん。」

冒頭の一文だけしか知らず、どういう物語なのかは全く知らなかった。

そして、読んでいきいながら、「あぁ、『雪国』ってこういう小説だったんだ」と小さなショックを受けながら、
やはり、実際に読まなくてはダメなんだと思い知らされる。

島村という男と、駒子と葉子という2人の女の物語。
作者自身による「あとがき」によると、駒子にはモデルとなった女性がいるが、島村と葉子とは完全に空想だそうだ。
そして、舞台は越後の湯沢温泉だが、文中ではあえて地名を明らかにはしなかったのだ、ともある。

とにかく、駒子という女性のキャラクターが、ものすごい。
顔などの視覚的なイメージは、文章からは私にはあまりはっきりとは見えてこなかったのだけれど、
彼女の繰り出してくるセリフ・言葉によって、読んでいる(というか彼女の声を聞いている)私の頭の中に、彼女の姿がしっかりと植えつけられた。
もう、なんて女なんだ!と。
わがままで、臆病で、弱さを見せた次の瞬間には強い女になり、自由奔放であり、苦しみに耐える女であり、運命には腹を立てているようで逆らわず。
駒子のキャラクターの強さといったら、ない。

そして、もう一人の女。葉子。
駒子とは違って、島村と言葉を交わすシーンはほとんどない。
どんな人なのかは、ゆっくりじわじわと分かってくる。
ひたすらに濃い駒子のキャラに浮かび上がらされる形で描かれる葉子の美しさ。
2人の女性の対照がまたよくできている。

ラストの天の川の描写にも、心を打たれる。素敵な表現だと思う。

ノーベル賞作家の書いた小説なんて、きっと難解なものだろうと、勝手に想像してしまい読むことを拒否していたことが、今ではなんともったいないことだったのか、と。
『雪国』は、非常に読みやすい小説だった。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。