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『斜陽』太宰治 を読んで[2008-02-06]
『人間失格』太宰治 を読んで[2007-09-29]

2008-02-06

『斜陽』太宰治 を読んで


斜陽 (新潮文庫)太宰治斜陽
(新潮文庫)
太宰治


souiunogaii評価 ハート3つ

内容紹介
昭和22年に発表され、“斜陽族”という言葉を生んだ太宰文学の代表作。
真の革命のためには、もっと美しい滅亡が必要なのだという悲愴な心情を、没落貴族の家庭を舞台に、最後の貴婦人である母、破滅への衝動を持ちながらも“恋と革命のため”生きようとするかず子、麻薬中毒で破滅してゆく直治、戦後に生きる己れ自身を戯画化した流行作家上原の、四人四様の滅びの姿のうちに描く。

貴族とか宮家とか、私たち一般庶民にはなかなか想像できない種類のプライドを持って生きていた人たちの物語。

別々の道を歩む4人の登場人物それぞれの生き方のどれにも、それぞれに共感する部分と理解に苦しむ部分とがあった。

最後まで貴族としての美しさを失わずにいた母。
自身の身分へのプライドと、人間関係に悩み続け、麻薬に救いを求めた弟の直治。
農家の出身で、貴族を嫌い、都会で自由気ままに生きる男・上原。
貴族としての自分にピリオドを打ち、新しい自分を作り上げようともがき苦しむ主人公かず子。

長年住んだ屋敷を処分し、田舎での地味な生活を強いられ、お金は無くなり、見る間に没落していく様子が、悲しい。痛い。
死んで行く人は美しい。生きるという事。生き残るという事。それは、たいへん醜くて、血の匂いのする、きたならしい事のような気もする。私は、みごもって、穴を掘る蛇の姿を畳の上に思い描いてみた。けれども、私には、あきれめ切れないものがあるのだ。あさましくてもよい。私は生き残って、思う事をしとげるとあめに世間と争って行こう。

善い人も悪い人も、お金持ちも貧乏人も、いろんな人の集まり混ざった世に、生きていくことは、新たな未来が見えなくなると、難しく辛いものに思える。

「自殺とは罪なのか?」なんて考えて重い気持ちになる。
でもそういう気分にさせてくれるのが、太宰治の小説なんだとも思う。
2007-09-29

『人間失格』太宰治 を読んで


人間失格 (集英社文庫)太宰 治人間失格
(集英社文庫)
太宰 治

人間失格 (新潮文庫)太宰 治人間失格
(新潮文庫)
太宰 治

souiunogaii評価 ハート5つ

太宰治の「人間失格」、ついに読んでしまった。
太宰作品を読むのは、中学の国語の教科書に載ってた「走れメロス」、高校の現代文の教科書に載ってた「富嶽百景」以来だ。

恥ずかしながら何も知らなかった私は、タイトルだけ知っていた「人間失格」に対して“難しい小説”というイメージを抱き、勝手に「きっと、ぶ厚い本なんだろう」と想像していた。
けれど、実際に手にした新潮文庫の本文はわずか140ページ弱。とっても薄い本であり、そのことにまず驚いてしまった。

手記という形式で、主人公本人が読者に直接語りかけてくるような文章。
文体は、さすがに現代の言葉とは少し違っていて、慣れるのに10数ページかかった。

物語の舞台は昭和初期の東京。
描かれているのは、一言で言えば、「人生の破滅」。
恥の多い生涯を送って来ました。

対人恐怖症、作り上げたキャラの仮面、アルコール依存症、セックス、登校拒否、ひきこもり、恋人の自殺と自身の自殺未遂、妻のレイプ、そして麻薬中毒。
人間が、恐い。人間が信じられない。

互いにあざむき合って、しかもいずれも不思議に何の傷もつかず、あざむき合っている事にさえ気がついていないみたいな、実にあざやかな、それこそ清く明るくほがらかな不信の例が、人間の生活に充満しているように思われます。

主人公は自らの選択によって人生を破壊してしまったのか。
それとも、それは生まれた環境に作られた、避けられない運命だったのか。

主人公ほど深刻な問題にはならないとしても、似たような悩み、「他人と上手く関われない」という悩みは、21世紀に生きる私たちだって、多かれ少なかれ抱えているものだろう。
自分とは違ったキャラを演じてしまったり、学校や職場の空気になじめなかったり。
ひきこもりとかニートとか。

この小説のポイントは、主人公 葉蔵が何故だか女にとてもモテるところだ。
他人と関わることを恐れ、社会の中で生きることを拒否して、自分は一人で生きるしかないんだと、自分の世界の中に閉じこもって生きることを決めてしまった、そんな男なのだけれど、女にはモテる。
その魅力は一体何だったのだろう。
人間、失格。
もはや、自分は、完全に、人間で無くなりました。

結局、どんなに逃げても「人間が一人で生きるのは不可能」ということなのか。

ちなみに、集英社文庫の表紙が話題になっていましたが、私はやっぱり新潮文庫派。
斜陽 (新潮文庫)太宰 治
斜陽 (新潮文庫)
太宰 治

晩年 (新潮文庫)太宰 治
晩年 (新潮文庫)
太宰 治