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『草枕』夏目漱石 を読んで[2008-02-03]
『硝子戸の中』夏目漱石 を読んで[2008-02-02]
『坊っちゃん』夏目漱石 を読んで[2008-01-14]

2008-02-03

『草枕』夏目漱石 を読んで


草枕 (新潮文庫)夏目漱石草枕
(新潮文庫)
夏目漱石


souiunogaii評価 ハート3つ

内容紹介
春の山路を登りつめた青年画家は、やがてとある温泉場で才気あふれる女、那美と出会う。俗塵を離れた山奥の桃源郷を舞台に、絢爛豊富な語彙と多彩な文章を駆使して絵画的感覚美の世界を描き、自然派や西欧文学の現実主義への批判をこめて、その対極に位置する東洋趣味を高唱した、小説家としての漱石初期の名作である。

夏目漱石の『草枕』を読んでみた。
まず一言で感想を書くなら、「正直難しくて分からない部分が多かったな」というところ。
冒頭の文章は、
山路を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。

漢語が多い。あまり目にしたことの無い堅い表現が多い。
大部分を主人公の考えていることの説明で構成されたこの文章を、本の後ろについた注解をたよりにしながら読み進めていくことには、少しエネルギーがいった。

また、主人公の画家が作る数々の漢詩も、私なんかには「うーん…」と考え込んでしまう難解な表現のものが多かった。
(高校のときの国語(漢文)の授業で、昔の中国の五言絶句や七言律詩なんかも習った気がするが、当時はあれも苦手だった)

それでも、詩や書や画といった芸術の話は、部分的にだけれども楽しめた。
特に、目で見て楽しむ芸術というイメージのある絵画の魅力を、またそれを生み出す画家の偉大さを、言葉で、文章で表現し伝えている。

物語の筋も、これといってしっかりした芯があるものではなく、突然始まって突然終わる、という感じなのだけれど、それがまた良い。
何故だか、「さぁ、先を読もう」という気持ちを沸き起こさせてくれる力を持っていた。登場人物たちの不思議さか。

全体を通してテーマになっているのは、「非人情」という概念。
(「不人情」という言葉と区別して使われているのがポイントか)
これについては、正直読みきれなかった。
何となく、どういう考え方なのか、かすかなあやふやなイメージは頭の中に浮かぶ気もするのだけれど、しかし「非人情」を自身の言葉を使って分かりやすく説明しろといわれると、ちょっと答えに困ってしまうのだ。
難しい。

最後に、私がこの『草枕』の全文の中で、特に印象に残った文章をあげておこう。
うまい物も食わねば惜しい。少し食えば飽き足らぬ。存分食えばあとが不愉快だ。

文明はあらゆる限りの手段をつくして、個性を発達せしめたる後、あらゆる限りの方法によってこの個性を踏み付け様とする。

何年かしてから、もう一度この作品に挑戦することを宿題にしておこう。
2008-02-02

『硝子戸の中』夏目漱石 を読んで


硝子戸の中 (新潮文庫)夏目漱石硝子戸の中
(新潮文庫)
夏目漱石


souiunogaii評価 ハート3つ

内容紹介
硝子戸の中から外を見渡しても、霜除けをした芭蕉だの、直立した電信柱だののほか、これといって数えたてるほどのものはほとんど視野に入ってこない――。
宿痾の胃潰瘍に悩みつつ次々と名作を世に送りだしていた漱石が、終日書斎の硝子戸の中に坐し、頭の動くまま気分の変るまま、静かに人生と社会を語った随想集。著者の哲学と人格が深く織りこまれている。

漱石の『硝子戸の中』を、病気で入院しているときに病室のベッドの上に横になりながら読んだ。
エッセイ集、漱石が書斎でふと思ったことをテーマを絞らずに自由に書いたものだ。

胃の病気で床に伏していることが多かったという漱石は、静かに横になっているときにも、昔のこと・今のこと・将来のこと、いろいろなことに思いをはせ、考えていたんだろう。
実に様々なことが書かれている。
子供の頃の思い出、住んでいた家や街のこと、家族やペットの犬のこと、作家としてのいろんな仕事のこと、学生時代の友人のこと、病気のこと、などなど。

当時の作家の家の暮らしはこういう感じだったんだ、と知ることができるのは面白い。

最近の小説家にもブログをやっている人がいるけれど、もしも明治のあの時代にブログが存在していたとして、漱石のブログがあったとしたならば、それもまたきっと面白いだろうな、なんて考えたりもした。
2008-01-14

『坊っちゃん』夏目漱石 を読んで


坊っちゃん (新潮文庫)夏目 漱石坊っちゃん
(新潮文庫)
夏目 漱石


souiunogaii評価 ハート4つ

内容紹介(新潮社)
さあ、きょうからおれも一人前の先生。張り切って着任した中学校だがまわりの教師が何だか変だ。臆病だったり、嘘つきだったり、小うるさかったり、いったい誰がまともなんだい――?
正義感あふれる主人公が、同僚の婚約者を汚い手を使って奪い取ろうとする教頭を徹底的に懲らしめるまでの顛末を痛快に描く。
漱石の作品中、もっとも愛読されている一冊。

夏目漱石の『坊っちゃん』。最初に読んだのは中学生のときだったと思う。
何となく、久しぶりにまた読みたくなって。

約100年前の明治の時代に書かれた中学校教師の物語には、現代の教育現場にも通じるようなエピソードであふれていて、笑ったり起こったりたいへんに面白い。
何度読んでも、やっぱり楽しい。
文体は古くとも、しかしながら少しも色あせることを感じさせないこの名作の持つ力には、あらためて感心する。

主人公を「おれ」として、どこまでも正直でまっすぐな主人公のものの見方・考え方がダイレクトに伝わってくる文章は、読んでいてとにかく気持ちが良い。

同僚の教員たちにはぴったりのあだ名を付けて、生徒にも上司にも体当たりの姿勢でぶつかっていく。
道理に合わないと思ったことは、絶対に認めない。
カッコいいなと思う。

私が今回読んでみて特にドキッとしたのは、いたずらした事実を認めない卑怯な生徒に対する主人公の気持ちが描かれた、次の部分。
おれなんぞは、いくら、いたずらをしたって潔白なものだ。嘘を吐いて罸を逃げる位なら、始めからいたずらなんかやるものか。いたずらだけで罸は御免蒙るなんて下劣な根性がどこの国に流行ると思ってるんだ。金は借りるが、返す事は御免だと云う連中はみんな、こんな奴等が卒業してやる仕事に相違ない。全体中学校へ何しに這入ってるんだ。学校へ這入って、嘘を吐いて、胡魔化して、陰でこせこせ生意気な悪いいたずらをして、そうして大きな面で卒業すれば教育を受けたもんだと癇違いをしていやがる。話せない雑兵だ。

坊っちゃん、元祖ヒーロー教師だ。
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