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『レンタル・チルドレン』山田悠介 を読んで[2007-11-20]
『リアル鬼ごっこ(改訂版)』山田悠介 を読んで[2007-08-28]

2007-11-20

『レンタル・チルドレン』山田悠介 を読んで


レンタル・チルドレン (幻冬舎)山田 悠介/td>レンタル・チルドレン
(幻冬舎)
山田 悠介


souiunogaii評価 ハート2つ

あらすじ
子供のレンタルと売買を行う会社P.I.。
そこで泰史は、死んだ息子そっくりの子供の売買を決めた。
しかし1カ月後、子供の体に異変が……。
原因究明に乗り出した泰史が見た、悲愴な真実とは?

『レンタル・チルドレン』というタイトルだけで、そのストーリーの大筋を誰もが予測できてしまうと思う。
そして、実際にその予想の通りに物語りは展開していく。
だが、しかし、ラストには驚きの結末が用意されている。

このスタイルは、前に読んだ『リアル鬼ごっこ』にもよく似ている。
テレビドラマのナレーション(副音声とかの)を、そのまま文章にしたような、一人称と三人称が入り混じった、どこか違和感のある文体。
そうそう、これが山田悠介だよな、と。

表紙に描かれている一人の少年。
彼の瞳、彼の表情、不思議な魔力を持っているように感じる。
読む前と、読み終わった後とでは、まるで別の少年のように見えてくる気がする。

私は小さい子供はあまり好きではない。というかむしろ嫌いだ。
でも、子供の登場する小説や映画は、比較的好きなほうだ。
と、私のような「現実の子供は嫌いだけれど、物語世界の中の子供は好き」などという、リアルとバーチャルとを変に区別して見るというやりかたが、実は危険なのかもしれないな、などと本書を読んで思った。

ストーリーや世界観はかなり違うけれど、でもどこか似ているなと感じたのは、
映画「A.I.」かな。

後半からラストに向けて、急加速していく。そしてゾクッとする結末。
これだから山田悠介はやめられない、な一冊。

【関連】
「リアル鬼ごっこ(改訂版)」山田悠介 を読んで

映画「リアル鬼ごっこ」公式サイト
リアル鬼ごっこ (幻冬舎文庫)山田 悠介リアル鬼ごっこ
(幻冬舎文庫)
山田 悠介

souiunogaii評価 ハート3つ

A.I.出演:ハーレイ・ジョエル・オスメント 監督:スティーブン・スピルバーグ「A.I.」
出演:ハーレイ・ジョエル・オスメント
監督:スティーブン・スピルバーグ

souiunogaii評価 ハート4つ
2007-08-28

『リアル鬼ごっこ(改訂版)』山田悠介 を読んで


リアル鬼ごっこ (幻冬舎文庫)山田 悠介リアル鬼ごっこ
(幻冬舎文庫)
山田 悠介

リアル鬼ごっこ (文芸社)山田 悠介リアル鬼ごっこ
(文芸社)
山田 悠介

souiunogaii評価 


すごく耳に残るこのタイトルだけは知っていながら、読んでみようかなと思っていながら、何となく手に取る機会がなかったのですが、もうすぐ映画が公開されるらしいということでやっと読みました、「リアル鬼ごっこ」。

時は30世紀。ある王国で、王様が前代未聞の通達を発した。
「自分以外の者が<佐藤>を名乗ることを許さない。王国にいる500万人の<佐藤>姓の人々を、“鬼ごっこ方式”で抹殺する」と…… 。
かくして死のゲームの準備が整えられ、狂気に満ちた日々が始まった!期間は7日間、夜11時から12時までの1時間を、主人公・佐藤翼は無事に逃げ切れるのか? そして、“死の鬼ごっこ”の途中で生き別れた妹を救うことはできるのか?
発売以来驚異的な売り上げを記録し続け、各種マスコミでも大きな話題を呼んだ傑作ホラーノベル!
山田ワールド著作一覧

鬼に捕まったら殺される“リアル鬼ごっこ”を国王の命令で国家的に実施されるという、常識では考えられない物語です。
しかし「こんなのありえないよな」という考えは、物語の異常な展開の速さと緊迫感を伝える文章によって、読んでいるその瞬間だけは吹き飛んでしまいます。
(後で冷静に考えれば「あれ?」という場面が多々あるのですが、こういうSF的なものにはそういった文句は言ってはいけませんよね)

小説には「予想外の展開」とか「思いがけないラスト」による面白さも大切だと思います。
でもこの作品には、読者が読みながら予想していく「こうなって欲しい!みたいな希望のラストの形」が叶えられることによる気持ちよさがあると思いました。
自分のの予想した通りの結末になって嬉しい、という単純なものではありません。
“権力によって与えられた不条理で残酷な運命”の下でも、最後まで運命に逆らってやる!という主人公に、物語を読んでいる私からもパワーを贈りたくなるような気持ちになってしまうのです。
だから「不正な権力に打ち勝って欲しい、そして生き残って欲しい!」という“祈り”みたいな感情が沸いてきて、それが叶えられた瞬間の達成感・満足感がとっても気持ちよかったです。

この小説は、単行本(文芸社)と文庫本(幻冬舎)とで文章が大きく違うようです。
文庫本の最後のページには以下には
この作品は2001年12月文芸社より刊行されたものを大幅に加筆、修正したものです。

とあります。

Wikipediaにも
幻冬舎文庫版は、徹底した校訂が行われているため、文芸社版での持ち味が失われてしまっていると評するファンも存在する
と書かれていました。

また、横里隆さん(ダ・ヴィンチ編集長)の解説には

弊誌のインタビューに答えて彼は言っている。
「(本作品を)書き始めたのは、高校を卒業して半年経った頃でした。進路も何も決めていない不安定な状態の中で、何かしよう、想像力を使ってみよう、と思いついたのが小説だったのです」と。
それまで山田は本をほとんど読んだことがなく、まして文章を書くことなどまったくなかったという。
そうして書かれたものが本作品の原本となるのだが、初小説であるが故の荒削りな文体や構成は、当然ながらクオリティの高い著名な文芸作品の域には達していなかっただろう。もし原稿を持ち込んだ先が大手文芸出版社の老練な書籍編集部だったとしたら、

(中略)

実際の持ち込み先が、そうした文芸出版社ではなく自費出版大手の文芸社だった点が彼にとっての岐路となった。そこで編集者の目に留まり、著者と出版社がコストを負担しあって刊行する協力出版の形で世に出ることになったのだ。


「リアル鬼ごっこ」は山田悠介さんのデビュー作だそうです。文章の素人が初小説でこんなに面白いものを書いてしまったことのスゴさに驚きます。
ちょっと癖のある独特の文章だと思いますが、私は嫌いではありません。
山田さんのほかの小説も読んでみたいと思いました。

山田ワールド
文芸社の公式ページ

【追記】
『レンタル・チルドレン』山田悠介 を読んで

映画「リアル鬼ごっこ」公式サイト

リアル鬼ごっこ スタンダード・エディション出演: 石田卓也, 谷村美月 監督: 柴田一成「リアル鬼ごっこ」
スタンダード・エディション
出演:石田卓也, 谷村美月
監督:柴田一成