
DSJ―消える街― (宝島社)
ふかわ りょう

内容紹介
メンズファッション誌・smartで約1年間連載されたふかわりょう初小説が、書き下ろしの完結編を加え単行本化!
物語の舞台はどこにでもあるような平凡な街。その街から、ある日を境に少しずつ何かが消えていく……。
魅力的な登場人物、テンポのよい会話、そして不思議な余韻と後を引くストーリー展開に、連載時にもハマる人続出!!
一話完結だった連載『消える街』に加え、連載で明かされなかった「街からモノが消された理由」、そして「消した正体」がついに明かされる、書き下ろしの『DSJ』を収録。
芸人ふかわりょうの小説デビュー作である。
最初は、「え、ふかわりょうって小説も書くの?」と驚き、ほぼ興味本位100%でこの本を手に取ったのだけれど、読み終わってまた驚いた。
ふかわりょうにこんな才能があったとは、まったく感心するばかりだ。
作者が芸人であることを忘れて、新人作家の作品として読んで十分に楽しめるものに仕上がっている。これはすごい。
『DSJ―消える街―』というタイトルからも想像できるかもしれないが、内容は現代SF小説だ。
オムニバス的に描かれたいくつもの物語を、パズルのピースのようにつなぎ合わせていき、最後に用意されているひとつのゴールにたどりつく。
そういう構成を、第1章と第2章とで2回繰り返すのが面白い。
第1章で物語りは一旦は結末を迎えつつも、多くの謎を残している。
それを第2章で全て解き明かしていく。
主人公が誰なのか、読みはじめでははっきりと分からないほど、登場人物は多い。
そして文章の90%以上は会話文で書かれている。
会話文だけなのに、人物のキャラクターをそれぞれしっかりと描き上げ、情景までも表現している。
こういうあたりは、やはり日頃しゃべることが主な表現方法である芸人ふかわりょうならではの書き方なのかもしれない。
「おじさんって学生?」
「そう、おじさんじゃないけど」
「大学生?」
「うん」
「え、どこどこ?」
「東京大学」
その言葉を聞いたとたん、彼女の目の色が変わった。
「えっ?東京大学って、あの東京大学?!」
「そうだけど」
「東京の大学とかっていう寒いやつじゃなくて、ほんとに東京大学?!」
「そんなに驚く?」
「おじさん、すごいじゃん!アタマいいんじゃん!」
「おじさんじゃないんだけど……」
照れを隠すように、彼はコーヒーを飲んだ。
「私そういう人待ってたの!なんかそんな気はしてたんだ、貧弱な感じがさ。ねぇ、家庭教師やってよ!」
200ページもある小説だけれど、ほぼ一息であっという間に読み終えてしまった。
とにかく面白かった。
ふかわりょうのファンの人はもちろん、そうでない人もきっと楽しめると思う。
ぜひ、一読をおススメしたい一冊。
次回作にも期待したい。












