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『小説・秒速5センチメートル』新海誠 を読んで[2010-10-16]
『あられもない祈り』島本理生 を読んで[2010-07-17]
『19分間(上・下)』ジョディ・ピコ― を読んで[2010-03-07]
『空に唄う』白岩玄 を読んで[2009-08-16]
映画「ブラインドネス」の原作『白の闇』ジョゼ・サラマーゴ を読んで[2009-01-24]

2010-10-16

『小説・秒速5センチメートル』新海誠 を読んで


小説・秒速5センチメートル (ダ・ヴィンチブックス)小説・秒速5センチメートル
(ダ・ヴィンチブックス)
新海誠


souiunogaii評価 


内容紹介
どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか。

◆話題になったアニメーション作品の小説版。◆監督自らが小説化。◆映画では描かれなかったエピソード、ストーリー、登場人物たちの思い、などが緻密に書かれており、映画を観た人は必読。◆新海監督の初小説。◆掲載写真もすべて新海監督によるもの。◆切なくて上質な恋愛小説。◆村上春樹を髣髴とさせる恋愛小説。


仕事から帰って、疲れているけれど何だか眠れない夜に、よく「秒速5センチメートル」のDVDを観る。
これを観ると、不思議に明日からも頑張ろう。そういう気持ちになれる。

今回読んだのは、その小説版。

・桜花抄
・コスモナウト
・秒速5センチメートル

どのエピソードも、とっても好きなんだけど、特にコスモナウトが大好きで、いつか舞台となっている種子島に行ってみたいと強く思う。

――でもまあ仕方がない。結局は、誰とだっていつまでも一緒に居られるわけではないのだ。人はこうやって、喪失に慣れていかなければならないのだ。

僕は今までだって、そうやってなんとかやってきたのだ。


第3話の秒速5センチメートルでは、主人公の遠野くんが、高校卒業と、どんな大学生活を送り、社会人となってどんな思いで仕事をし、恋愛をしてきたのかが、映画ではあまり描かれなかった部分まで細かく綴られていて、小説を読んだあとに再度映画の方を見ると、また違った発見があって嬉しかった。

読めば読むほど、見れば見るほど、大好きになる作品の一つだ。

「秒速5センチメートル」公式サイト
Other voices -遠い声- 新海誠公式サイト

Comix Wave FILMS 作品ページ

秒速5センチメートル [Blu-ray]秒速5センチメートル [Blu-ray]


souiunogaii評価 
2010-07-17

『あられもない祈り』島本理生 を読んで


あられもない祈りあられもない祈り
(河出書房新社)
島本理生


souiunogaii評価 

内容紹介
〈あなた〉と〈私〉……名前すら必要としない二人の、密室のような恋――山本文緒・行定勲・西加奈子・青山七恵さん絶賛の至上の恋愛小説。読売新聞、毎日新聞でも話題になった島本理生の新境地!


献本企画「あられもない祈り」島本理生:ブクログ
島本理生 Official Website
【書評】『あられもない祈り』島本理生著:MSN産経ニュース

島本理生さんの作品を読むのは初めて。

うーん…、正直言ってあまり好きではないかな。
文章のスタイルとか、人物の描き方とか、物語全体の雰囲気とか、あんまりグッとくる部分が無かった。
私が男性だから理解できないのかもしれないけれど、そしてこの作品は女性向けに書かれたものだからなのかもしれないけれど、島本さんの他の作品を読んでみたいという気持ちが生まれてこなかった。

何ていうか、人物の顔が見えない気がした。
唐突に、もっと絶望しろ、という一言が蘇っていた。
まだ何百個という言い残しを抱いたあなたを残して、私は席を立った。

主人公の女性も、その周りの男性も、家族も、一つひとつのエピソードに温度が感じられなった。
冷たくも温かくもない気がした。

うーん。
2010-03-07

『19分間(上・下)』ジョディ・ピコ― を読んで



19分間 上 (イソラ文庫)19分間(上)
ジョディ・ピコ―
(早川書房)


souiunogaii評価 
19分間 下 (イソラ文庫)19分間(下)
ジョディ・ピコ―
(早川書房)


本が好き!より献本。
内容紹介
〈親子の絆や友情を描く衝撃の感動作〉高校での銃乱射事件の真実とは?『私の中のあなた』の著者の新たな傑作

スターリングは平穏な町だった――3月のある日、高校で銃乱射事件が起こり、多数の生徒の未来が損なわれるまでは。
校内で人気の女子生徒ジョージーは、目の前で恋人を殺され、事件が起きていた19分間の記憶を失う。犯人は、幼少時にはジョージーと親友だった同級生のピーター。なぜ彼は凶行におよんだのか? どうしてジョージーは銃を向けられながらも射殺されなかったのか?
町中が悲嘆に沈むなか、裁判がはじまり、事件の背景が明らかになってゆく。
ベストセラー『私の中のあなた』の著者が、友人や恋人、家族の絆を描く感動作。

もくじ
第1部

2007年3月6日 / 17年まえ / 数時間後 / 12年まえ / 翌日 / 6年まえ / 10日後 / 1年まえ / 1ヶ月後 / 1か月まえ
第2部
5ヶ月後 / その日 午前6時30分 / 5ヶ月後 / その日 午前10時16分 / 5ヶ月後 / 2008年3月6日

上下巻を合わせて900ページを超える長編小説。
作者は、『私の中のあなた』が映画化された、アメリカのベストセラー作家のジョディ・ピコ―。

とある高校で起こった銃乱射事件、犯人として逮捕されたのはいじめられっ子の少年ピーターだった。
この物語のベースになっているのは、1999年のアメリカのコロンバイン高校の事件で、作者のジョディ・ピコ―が事件の膨大な資料を調べて、徹底した取材を行ったことが、あとがきでも書かれている。
タイトルの「19分間」というのは、銃が乱射されていた時間の長さ。

ピーターはどうして同級生たちを撃たなければならなかったのか。

もくじを見れば分かるように、物語は事件の後と前の10数年間を、交互に描きながら、主人公であるピーターとジョージ―の二人がどんな人生を歩んできたのかを、丁寧に丁寧に綴られている。

ミステリー作品なので、事件の真実が徐々に明かされていくその作りは非常に巧みにできていて、900ページは全然長くなかった。
登場人物はやや多めで、主人公たちの同級生(事件の被害者)たち、主人公の家族、警察、弁護士、検事、裁判官、・・・とさまざまな人々が出てくる。
一人称になる人物を次々に巧みに入れ替えながら語られる手法は、最初は少しとっつきにくい印象もあったが、読み進めていく内に、それが事件の全体像を映し出すための唯一最良の手法であると感じてくる。

後半の裁判シーンは、とってもその場面の空気をリアルに感じられ、登場人物たちの心理描写が非常に濃くて、読み応えのある素晴らしいものだった。
世界がスローモーションでまわりはじめ、自分の骨の動きや心の震えを感じられるようになる一瞬があるのを知っている?その後の人生でどんな経験をしようと、この1分間の出来事は細部にいたるまで永遠に忘れないとその瞬間に思うのを。

物語のクライマックスで、誰も予想できなかったサプライズが用意されていて、もう涙がこみ上げてきて、たまらなかった。


19分間 上下巻
  • ジョディー・ピコー/翻訳:川副 智子
  • 早川書房
  • 945円
Amazonで購入
書評/ミステリ・サスペンス



2009-08-16

『空に唄う』白岩玄 を読んで


空に唄う空に唄う
(河出書房新社)
白岩玄



souiunogaii評価 

内容紹介
通夜の最中、新米の坊主の前に現れた、死んだはずの女子大生。
2人は、寺で同居することになるが!?
各紙誌絶賛の文藝賞受賞第一作。

主人公の海生は23歳。実家はお寺で、住職の祖父のもとで修行中の若いお坊さん。
ある通夜の晩に、亡くなったはずの女性が海生の前に姿を現す。
彼女の名前は碕沢碧、海生と同い年の23歳。
幽霊である彼女の姿は、何故か海生以外の人には見えない。
そして、2人の不思議な共同生活が始まる…。

作者は『野ブタ。をプロデュース』で文藝賞を受賞した白岩玄さん。
幽霊ものなんだけれど、暗いジメジメした感じや恐怖感はほとんどなく、非常にさわやかで優しさのある物語になっていて、読んでいて気持ちがよくなる。

碕沢さんは幽霊なので、モノに触れなかったり、他の人に見えなかったりで、いろいろ困ったことが起こり、それを海生が一生懸命に何とかしようと頑張る姿が、とってもイイ。
海生の家はお寺なんだけれど、家族の人たちの温かさがいっぱい描かれているところも物語のポイントだし、海生の友人たちも気持ちのいいヤツばかりだ。

本作もまた、映画化かドラマ化されたりしたら、きっと面白いだろうな、と思う。
(そのときは主人公は誰になるんだろう?なんて考えながら読むのも楽しい)
「あの…帰ってくるんですよね?」
心待ち間があったように思えたが、碕沢さんは「ちゃんと帰るよ」とそう言った。

ラストは、やっぱりそうだよな、っていうちょっと切なく、でも爽やかな終わり方で僕は好きだ。

【著者に聞きたい】白岩玄さん 『空に唄う』:MSN産経ニュース
白岩玄氏さん新作『空に唄う』 哀感にじむ淡い恋心:asahi.com
2009-01-24

映画「ブラインドネス」の原作『白の闇』ジョゼ・サラマーゴ を読んで


白の闇 (新装版)ジョゼ・サラマーゴ(著), 雨沢泰(訳)白の闇 (新装版)
(NHK出版)
ジョゼ・サラマーゴ(著), 雨沢泰(訳)


souiunogaii評価 ハート5つ

感動しました。
とにかく読んで!この圧倒的な世界観を感じて欲しい。

内容紹介
1998年ノーベル文学賞受賞サラマーゴの最高傑作
わたしたちすべての目が見えなくなったら?

視界がまっ白になる病気。原因不明のまま、伝染病のように感染は広がってゆく。
政府はかつての精神病院を収容所にして、患者の隔離をはじめる。
そこでは、秩序が崩壊し、人間の本性がむきだしになってゆく。
阿鼻叫喚の世界。
やがて国中が目の見えなくなる病気に侵されて……。
圧倒的な空想力で描かれる現代の寓話。

2008年に映画「ブラインドネス」(フェルナンド・メイレレス監督)が公開されましたが、その原作小説が、この『白の闇』です。

物語を生み出したジョゼ・サラマーゴはポルトガルの作家で、この『白の闇』の成功がきっかけとなり、1998年ノーベル文学賞を受賞しています。
授章理由は「想像力、あわれみ、アイロニーに支えられた寓話によって、われわれがとらえにくい現実を描いた」です。

映画「ブランドネス」
映画「ブラインドネス」公式サイト

物語は、映画の予告編を観てもらえば分るように、原因不明の伝染病によって、すべての人が失明してしまう、というものです。

350ページ以上もある、大作です。
登場人物たちは名前を一切持たず、また会話文と地の文とを区別しない独特の文体、論理的かつ情緒的な描写、それらは私が今までにまったく読んだことのないスタイルで、
もうとにかく「すごい」と思うばかりでした。

読みながら、世界とは何か、生きるとは何か、人間とは、文明とは、心とは、と様々なことを深く深く考えさせられました。
しかし、同時に「早く先を読みたい、もっと」と感じさせるストーリーの強さもあります。

"人間"というものが持っている、最も汚い、醜い部分と、最も美しく、尊い部分を、これほどまでに印象的に描いた作品を、私は他に知りません。

こんな素晴らしい作品に出会えたこの事実に、とても感謝せずにはいられません。

とにかく、読んでください。
大げさかもしれませんが、この物語を知らずにいることは、何か大きな損失である気がしてなりません。

フェルナンド・メイレレスが見た白の闇:excite.ism
Blindness (Harvest Book)Jose Saramago (著), Giovanni Pontiero(訳)Blindness
(Harvest Book)
Jose Saramago (著), Giovanni Pontiero(訳)

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