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『ぼくだけの☆アイドル』新堂冬樹 を読んで[2008-06-28]
『デブになってしまった男の話』鈴木剛介 を読んで[2008-03-09]
『小僧の神様・城の崎にて』志賀直哉 を読んで[2008-02-02]
『新訳 星の王子さま』倉橋由美子/訳 サン=テグジュペリ/作 を読んで[2007-09-16]

2008-06-28

ぼくだけの☆アイドル (光文社)新堂 冬樹
ぼくだけの☆アイドル (光文社)
新堂 冬樹

内容紹介
27歳、彼女なし。情けないヤツだけど、だんだん可愛く見えてくる。

みーちゅんは、ぼくのもの。でも、それは二人だけの秘密なんだ――。
度胸も行動力もないけれど、わりとまじめで一生懸命、かなり夢見がちな27歳・あきおくんに訪れる、絶好のチャンスと最悪のピンチ。
めざせ、第二の『電車男』! 
絶対に無理だとわかっていても、アイドルに真剣に想いをよせたって、いいじゃない。
ファンタジック・ニート青春小説。

2007年に永井大主演でドラマ化もされた小説です。

主人公は、昆虫ショップで働くオタクな青年、あきお。
アイドルのみーちゅんが脳内彼女、極度の妄想癖と虚言癖あり。
真面目でいいやつなんだけど、行動がすべて裏目に出て、現実世界ではなかなか報われない。
そんな彼の前に突然に現れた桜子という可愛い少女。
二人の間に訪れるとんでもなサプライズ的結末が面白い。

物語は、ほとんど主人公あきおの脳内のセリフを中心に構成されてていて、彼の気持ちがダイレクトに伝わってきて、無意識にいつのまにか彼の世界に入り込んでしまっていた。

彼の周りを取り囲む人物たちも、くせのあるヤツばかりで、面白い。
自己中心の塊の店長。要領のいい後輩。そして九州なまりの強い母親。
楽しい人たちばかりだ。

そして何より、桜子があきおをからかう場面での、彼の脳内の描写が、抜群に楽しい。
「や、やめろよ……やめろってっ」
僕は、桜子の手から逃れ、蚊でも追い払うように頬をはたいた。
いら立ちが、その行為に表れていた。
桜子にたいするいら立ちだけではなく、「お子ちゃま」扱いされることに心地好さを感じている自分に、よりいっそう、いら立ちを感じる自分がいた。
2008-03-09

デブになってしまった男の話 (求龍堂)鈴木剛介
デブになってしまった男の話 (求龍堂)
鈴木剛介

内容紹介
モテモテのイケメンから、ある理由で101キロの見事なデブになってしまった大介。初めて味わうコンプレックスの重みに悩みながら、愛とは、優しさとは、本当の自分自身とは何かを真剣に考えてゆく。そんな中、彼に訪れた運命の出会いとは…。作者の実体験を元にした、切なくも元気をくれるラブストーリーをぜひご賞味下さい。

あっさりしていてスラスラ読める文章。非常に素直で分かりやすいストーリー。
物語の展開はとってもベタで、読みながら容易にラストが想像できてしまい、実際に想像通りの終わり方をしてくれる。

朝起きたら、自分の姿が変わっていて驚き嘆き悲しむ、という設定はカフカの『変身』なんかにも似ていて、面白い。
そこに至る経緯も、主人公の心の変化の様子も、それを読者に無理なく伝えるために作者がいろいろ工夫して努力して文章を書いたということが、多くの部分から読み取れる。
たまにはこういう小説もいいかな。
2008-02-02

小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫)志賀直哉
小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫)
志賀直哉

内容紹介
円熟期の作品から厳選された短編集。
交通事故の予後療養に赴いた折の実際の出来事を清澄な目で凝視した「城の崎にて」等18編。

志賀直哉の短編集だ。
「城の崎にて」は確か高校の国語(現代文)の教科書に載っていたのを読んだことがあったけれど、他の志賀作品は今回初めて読んだ。

いや、どれも面白かったのだけれど、やはり「小僧の神様」がたいへん良いなと思った。
この作品によって志賀は“小説の神様”と呼ばれるようになったというが、それも納得できる。素晴らしくよくできた小説だ。

短編集ということで、いろいろな小説があるのだけれど、そのどれにも共通しているのは、「自由気ままに書いている感」と「その情景がありありと目に浮かぶような描写」か。
小説というよりも、自身の身に起きたことを題材にしたエッセイ風な作品が多い気がする。
また、町の風景、食べ物、家の中の様子など、もちろん明治の時代のものなんか実際には目することはできないのだけれど、それでもそのシーンが頭の中にはっきりと浮かんでくる、まさに見える感じがするのだ。
細かい部分まで丁寧に正確に観察され表現されている文章だ。

入院中に病室のベッドの上で、この本を読んだのだけれど、退屈している中で、これを読んでいる間は、タイムスリップしたような気持ちになって、とても楽しい時間だった。
2007-09-16

新訳 星の王子さま (宝島社)アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(作), 倉橋 由美子(訳)
新訳 星の王子さま (宝島社)
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(作), 倉橋 由美子(訳)

「星の王子さま」というあまりにも有名なタイトルはずいぶん昔から知っていながら、23歳の私は今までに一度もこの物語を読んだことがありませんでした。

もちろん興味がなかったというわけではありません。むしろ、頭の片隅には、ひっそりとでも確かに「星の王子さま」をいつか読もうという気持ちはあったはずです。
でも、どこかで「あれって挿絵のある童話でしょ」という思い込みが邪魔をしていたのかもしれません。

そんな私ですが、思い切って今日、ついにこの本を手にとって一気に読んでみたのです。
大人になってから初めて読むことになったことは、逆に良かったのかもしれない、そんな風な感想を持ちました。
世の中には、「童話」と称して大人が子供向きにかいた不思議な作品がありますが、これはその種の童話ではありません。そのことは作者も最初に断っているとおりで、子供のように見える王子さまが主人公だとしても、だから子供向きのお話だということにはならず、これはあくまでも大人が読むための小説(そもそも小説とは大人の読み物です)なのです。私はそのつもりで読んで、そのつもりで訳しています。
(中略)
ただし、本来は「子供にはわからない」大人向きの小説である以上、誤解や勝手な思いこみに陥る危険は依然としてあります。やはり大人になってからもう一度本気で読んでいただきたい本です。
訳者あとがき より

「大人」と「子供」とでは、ものの見方が変化していることを知っている、そういう年齢になってから読むことでこそ、得られるものがある、そういう本だったんだと知りました。

あまりにも有名な物語なので、内容についていろいろ語ることはやめておきます。
10年後、20年後(あるいはもっと先)私の価値観や考え方は、今の私が持っているものとは変わっているんだろうと思います。その頃になったら、また「星の王子さま」を読み返してみたいです。
そして大人は誰も、それがどんなに大切なことか、けっしてわからないだろう。

とにかく、私は「星の王子さま」という物語のファンになりました。
「大切なものは目には見えないんだよ……」


星の王子さま公式ホームページ
星の王子さま―オリジナル版 (岩波書店) 内藤 濯(訳)
星の王子さま―オリジナル版 (岩波書店)
内藤 濯(訳)

星の王子さま(集英社) 池沢 夏樹(訳)
星の王子さま(集英社)
池沢 夏樹(訳)

星の王子さま(平凡社)稲垣 直樹 (訳)
星の王子さま(平凡社)
稲垣 直樹(訳)

Le Petit Prince(Harcourt Childrens Books)  Antoine de Saint-Exupery
Le Petit Prince(Harcourt Childrens Books)
Antoine de Saint-Exupery