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『読むだけで「書く力」が劇的に伸びる本』芦永奈雄 を読んで[2007-11-04]
『科学者が見つけた「人を惹きつける」文章方程式』鎌田浩毅 を読んで[2007-09-17]

2007-11-04

読むだけで「書く力」が劇的に伸びる本 (大和出版)作文指導のプロが教える大人のための文章講座芦永 奈雄
読むだけで「書く力」が劇的に伸びる本 (大和出版)
作文指導のプロが教える大人のための文章講座
芦永 奈雄

いや、この本は決して「読むだけで」効果が出てくるような種のものではない。

もくじ
序章 実は文章を書くことってこんなに愉しい!
 1 「書く力」をつけるには文章術も国語力も必要ない
 2 「書く力」をつけるためのカギは意外なところにあった!
 3 ズバリ、「書けない理由」はここにある!
第1章 大事なのは上手・下手より、「伝わる」ことにある
 1 スラスラ書けるようになるための最大の秘訣
 2 もう表面的な文章術にこだわるのはやめよう
 3 文章を書く前に押さえておくべき最大のポイント
第2章 これならできる!「書く力」がみるみる伸びるこの方法
 1 意外、誰でもスラスラ書けるこの書き方
 2 「ストーリー作文」で、苦手な人も長くおもしろく書ける!
 3 読み手をどんどん惹きつける文章の展開法
 4 一瞬で変わる!文章に迫力が出てくるこの方法
 5 「書く力」が劇的に伸びる3つのポイント
第3章 読むだけで実感!活き活きとした文章の書き方
 1 この狙い目で、書く前に差をつけられる!
 2 文章に味わいを出す――描写を加える
 3 伝えたいことをスパッと伝える――感想を入れる1
 4 文章に奥行を出す――エピソードを入れる1
 5 文章にドラマ性を出す――エピソードを入れる2
 6 伝えたいことを印象深く伝える――感想を入れる2
 7 全体を考えてまとめに入る――仕上げる
 8 文章をどう書くかはあなたしだい
第4章 「自分」を語ることで、もっと「伝わる文章」が書ける!
 1 いっそう「魅力ある文章」が書けるこの方法
 2 あなたは、誰に何を伝えたいのか?
 3 個性を出すのが文章上達の極意
 4 大切なのは絵か?それとも額縁か?
 5 「自分」を語れば「書く力」はどんどんついてくる
第5章 そういうことだったのか!文章上達のために一番大事なこと
 1 土台がなければ力はつかない
 2 あらためて「自分」を見つめ直そう
 3 伝えたいメッセージを綴ることこそ文章の醍醐味
第6章 文章で夢追い人になる!「夢作文」で未来を描こう
 1 いざ、「自分探しの旅へ」!
 2 「夢」をストーリーで思い描いてみよう
 3 「書く」ということほど知的で愉しい経験はない!
 4 夢とは「結果」ではなく「プロセス」
 5 いい文章はあなたの生き方から生まれてくる

後半部の、必要以上に精神論を持ち出してくる点や、本全体から漂ってくる怪しげな自己啓発のニオイなどには、私もアレルギーを感じてしまう。

本書の主題は「文章はテクニックで書くものではない」ということで、それ自体は「なるほど」と思える。
しかし、じゃあ一体どうすればいいんだ?という問いに対して、感覚的な説明や精神論に終始してしまっているのが残念だった。
結局分からないままなんですけど、っていうイライラは残ってしまう。

それでも、読んでおいて損はしないと思う。
私が読んで役に立ったなと思ったのは、第2章と第3章。
ストーリー作文なる方法が提唱されている。それ以外にも細かい手法もいろいろ。

文章を書くときに普段から意識せずにやっていることを、あらためて確認できた気がする。
2007-09-17

科学者が見つけた「人を惹きつける」文章方程式(講談社+α新書)鎌田 浩毅
科学者が見つけた「人を惹きつける」文章方程式
(講談社+α新書)
鎌田 浩毅

本書はいわゆる「文章読本」ですが、著者の鎌田浩毅は小説家ではなく、火山を研究する地質学者です。
鎌田さんは「火山はすごい」という一般向けの火山学の本を書いていますが、そのときに「文章読本」を何冊も読んで、良い文章の勉強をしようとしたそうです。
しかし、
「あまたある『文章読本』で、これが名文だといわれても、しばしば自分にはピンとこない」
「う〜む。これが名文だって!? もののあわれを解さない科学者には、どこが名文か見当もつかない」
ということがあって困ってしまったそうです。
小説家は、自分が名文だと思った文章を集めて、『文章読本』を書く。読者がよく分からないうちに、これは文句なく名文です、と宣言してしまう。
そう言ってしまえば名文となってしまう、という世界なのだ。

そこで著者は、科学者なりの方法で名文を分析しようと試みたのです。
使われた方法はごくごくシンプルなものでした。
文章を、言葉の一つひとつに分解して、整理して、そこから文章全体を見てみる、というものです。
これまでの『文章読本』では、名文の全体を茫洋と見ていた、といってもいい。だから読者にはピンとこなかったのである。
科学者は、部分ごとになにが起きているのか、執拗に調べてゆく。文章でも、使われている言葉に対して、要素に分けて細かく検討する。その次に、全体の成り立ちについて考えるのだ。部分から全体へ、これが本書の基本姿勢である。

科学者の書く「文章読本」というと、どこか無機的で冷たい印象を持ってしまいそうですが、本書においてはそんなことは全くありません。
逆に、「こんなに文学的でしかも論理的で魅力ある文章を書く人が、実は科学者だなんて驚きだ」というくらいに感心してしまいます。

高校時代の現代文の授業は、退屈でつまらないものでした。
でも、本書はそれとは全然違い、非常に楽しめました。
効果的な言葉をたたみかけるように与えることで、読者を催眠状態に導いてゆくのだ。意識しようとしまいと、ここには作者の綿密な計算がある。
名文の技術は、作者が読者にかける催眠術だといってもよい。


本書で、名文として文章が引用されている本を一覧にしておきます。

冷静と情熱のあいだ―Rosso (角川文庫)江國 香織冷静と情熱のあいだ―Rosso (角川文庫) 江國香織
智恵子抄(新潮文庫)高村 光太郎智恵子抄 (新潮文庫) 高村光太郎
斜陽 (新潮文庫) 太宰治斜陽 (新潮文庫) 太宰治
深夜特急1 香港・マカオ (新潮文庫) 沢木 耕太郎深夜特急1 香港・マカオ (新潮文庫) 沢木 耕太郎
あの空は夏の中 (角川文庫) 銀色夏生あの空は夏の中 (角川文庫) 銀色夏生