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『高学歴ワーキングプア』水月昭道 を読んで[2009-02-14]
『嫌いな人がいなくなる!』アンディ中村 を読んで[2009-01-11]
『新幹線ガール』徳渕真利子 を読んで[2008-10-04]
『頭痛のタネは新入社員』前川孝雄 を読んで[2008-08-09]
『日本のロゴ II』 を読んで[2008-07-26]

2009-02-14

『高学歴ワーキングプア』水月昭道 を読んで


高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)高学歴ワーキングプア
「フリーター生産工場」としての大学院
(光文社新書)
水月 昭道

souiunogaii評価 

内容紹介
非常勤講師とコンビニのバイトで月収15万円。
正規雇用の可能性ほぼゼロ。

大学院重点化というのは、文科省と東大法学部が知恵を出し合って練りに練った、成長後退期においてなおパイを失わんと執念を燃やす“既得権維持”のための秘策だったのである。
折しも、90年代半ばからの若年労働市場の縮小と重なるという運もあった。就職難で行き場を失った若者を、大学院に釣り上げることなどたやすいことであった。若者への逆風も、ここでは追い風として吹くこととなった。
成長後退期に入った社会が、我が身を守るために斬り捨てた若者たちを、これ幸いとすくい上げ、今度はその背中に「よっこらしょ」とおぶさったのが、大学市場を支配する者たちだった。
もくじ
第1章 高学歴ワーキングプアの生産工程
第2章 なぜか帳尻が合った学生数
第3章 なぜ博士はコンビニ店員になったのか
第4章 大学とそこで働くセンセの実態
第5章 どうする?ノラ博士
第6章 行くべきか、行かざるべきか、大学院
第7章 学校法人に期待すること

本書は、大学院博士課程修了という高学歴を持ちながらも、就職できずにフリーター生活を余儀なくされている大勢の若者たちの問題にスポットを当て、その現状と原因をリアルに語ったもの。
著者の水月昭道さん自身も、人間環境学博士という素晴らしい学歴を持ちながらも、現在は私大の非常勤教員という不安定な身分にある人で、非常に説得力のある内容になっている。

大学4年生のときに、NHKの「クローズアップ現代」で、就職難に苦しむ博士課程修了者たちの問題を取り上げていたのを見た。
当時の私は「大変なんだな。まぁ自分は学部卒で就職だから関係ないや」なんて思っていた覚えがある。
今、「博士号」を取得しても、希望の職に就けない人が急増している。90年代に国が科学振興の一貫として博士課程の学生数を2倍以上に増やしたにもかかわらず、大学でのポストが増えないからだ。欧米では産・学が緊密に連携し、"ドクター"が、最先端の技術開発をひっぱっているのと対照的である。不安定な身分のまま働き、中には40歳になっても年収は400万円、企業への就職もできず、派遣社員として生活している人もいる。

そのとき、研究室の教員(当時准教授)はこの問題について、「私は65歳まで終身雇用ですよ。うらやましいですか(笑)」なんて言っていた。

しかし、今になって思えば、そんなのんきなことを言っていてはダメだったんだ、
と本書を読んでいまさらながらにこの問題の重大さに気づかされた。

博士課程を修了した大勢の人たちが、希望する研究職に就けずに、就職難に苦しんでいる。
20代後半から30代前半までの、いわゆるロストジェネレーションとか呼ばれる、就職氷河期に苦しめられた人たちとも重ねられて、
ある種の自己責任的な問題だと一方的に責められている風潮がある。

しかし、やっぱり、若者自身ではどうしようもない問題だってあるだろう、と。
自力では超えることのできない壁を前にして立ちすくんでいる人に向かって、
ただただ「自分が選んだ道だ」と非難することは、やはりどこか間違っている気がする。

以前、これまたNHKだが「爆笑問題のニッポンの教養」で、『「ニート」って言うな!』著者の本田由紀が太田光と激論を交わしていた。
あの放送では、若者が苦しんでいるのに国・政治・社会がそれを助けないのは問題だ、と主張する本田由紀に対して、太田光が反論していた。
私は本田由紀の考えはあまり好きではないけれど、あの回は珍しく太田光の意見にも納得できなかったので印象に残っている。

「我働くゆえに幸あり?」爆問学問(NHK 2008/3/18)

で、本書によれば、高学歴ワーキングプアがこれほどまでに増加して社会問題になってる原因は、やはり国や大学、そして既得権を守ろうとする人たち、なんだという。
だとすれば、その責任を若者に押し付けるのは、やはりどこかおかしいと感じざるを得ない。

創作童話「博士(はくし)が100にんいるむら」

【報告】学ぶこと、祈ること、信じること―ワークショップ水月昭道「高学歴ワーキングプア」:UTCP(東京大学大学院総合文化研究科「共生のための国際哲学教育研究センター」)

学校ってバカを治療してくれんのか:404 Blog Not Found
2009-01-11

『嫌いな人がいなくなる!』アンディ中村 を読んで


嫌いな人がいなくなる! (同文舘出版)アンディ中村嫌いな人がいなくなる!
人間関係を変える"お笑い"コミュニケーション術
(同文舘出版)
アンディ中村


souiunogaii評価 ハート2つ

本が好き!より献本頂きました。
もくじ
1章 苦手な人に「見せる」手のしぐさ
2章 苦手な人に「見せる」顔と体のしぐさ
3章 苦手な人の話を聴く 基礎編 劇的に会話が変わるテクニック1
4章 苦手な人の話を聴く 応用編 劇的に会話が変わるテクニック2
5章 苦手な人の心をつかむ! 話し方 劇的に会話が変わるテクニック3
6章 苦手な人を動かす! 話し方 劇的に会話が変わるテクニック4
7章 「苦手な人」の気持ちを知れば、百選して殆うからず

本書の一番最後のページにある、次の言葉に私は胸を打たれました。
目線が違うと、見える物が違う
見える物が違うと、考えることが違う
考えることが違うと、起こす行動が違う
起こす行動が違うと、結果が変わる

一歩一歩、少しずつ少しずつ前へ進み続けることによって、苦手な人があなたを見る目が、きっと変わってくるでしょう。
苦手な人があなたを見る目が変われば、あなたに対する印象が変わってきます。
印象が変わってくれば、あなたに対する言動が変わります。
言動が変われば、苦手な人とあなたのつき合い方も、今までとはまったく違うものになるでしょう。

サラリーマンに限らず、社会で働いていく中では、様々なタイプの人と上手につき合っていかなければいけないわけで。
そうすると、当然「こいつとは合わないな」と思う人とも、どうにかして上手くやっていかざるをえない…。

しかし、これが実に難しい。
だって、ほとんどの場合において、自分がある人物のことを「嫌だな」と感じているときは、そのことが会話の中で、言葉や表情、手や体のしぐさに無意識のうちに現れてしまうから。
そうすると、相手のほうも、やっぱり自分に対しては良い印象を持たず、結果として、同じように自分のことを「嫌だな」と感じさせてしまうから。

本書『嫌いな人がいなくなる!』で提案されている方法は、そんなマイナスな相互作用を断ち切ること、
つまり、自分自身の相手に対する接し方を変えることで、相手側の自分に対するイメージを良くしていき、プラスの相互作用を生み出そうというもの。

そのための具体的なコミュニケーション術として、手や体のしぐさ、表情、聴き方、話し方を、一つひとつ分かりやすく説明してくれている。

著者自身が、サラリーマン生活の中で実践してきたノウハウなので、たいへん説得力のあるものばかりだ。
使えそうだな、なるほど、と思うものはいくつもあったが、特に私が気に入ったのは、
相づちのパターン化、「あいうえお相づち法」というものだ。

【あ】「あ、なるほど」 相手がノウハウを提供してくれた時
【い】「いいですねぇ」 相手をほめる時
【う】「うーーん、さすがですよね」 昔話や武勇伝に対して
【え】「えっ!」 軽く驚くだけで十分
【お】「おぉぉぉ」 相手の自慢話にたいして

この他にも、面白い方法がたくさん紹介されている。

まず、自分から変わっていけば、相手も自分への接し方を変えてくれる。
そうすれば、嫌いな人なんていなくなる。

そんな風にしていければ、ほんとに素敵なことだと思った。

中村節といわれる独特の文章も、読んでいて面白い。

アンディ中村公式ブログ


嫌いな人がいなくなる!
Amazonで購入
書評/ビジネス
2008-10-04

『新幹線ガール』徳渕真利子 を読んで


新幹線ガール新幹線ガール
(メディアファクトリー)
徳渕真利子


souiunogaii評価 ハート4つ

内容紹介
「働く人を励まして話題のベストセラー!」

2006年8月の朝日新聞「天声人語」で紹介された東海道新幹線パーサー・徳渕真利子さんが語る「パーサーという仕事」。アルバイトで始めた仕事なのに、ひたすらワゴンを押すうちに全400人パーサーで売上トップに立った秘密は、「ただひたすらに仕事を愛する」ことだった。JR東海全面協力で、初めて知る「職場としての新幹線」の魅力。

東海道新幹線の車内で、パーサーという仕事をしている、徳渕真利子さんが、自身の仕事について、真面目に一生懸命に語った本です。
もくじ
第1章 東京〜新大阪のお仕事

 天声人語 / ある日の私
第2章 パーサーになる!
 温かい、新幹線の思い出 / 憧れのホテル業界で / 運命の出会い
第3章 驚きの"パーサー心得"
 売り子さんはパーサーへ / 徹底!マナー指導 / ワゴンのルール / 初めてのワゴン / 檄が飛ぶ! / 初めての乗務
第4章 ワゴンの裏側で
 一番人気は自慢の… / 一期一会 / 職業上の悩み
第5章 大好き!新幹線
 のぞみ、ひかり、こだま。 / 新幹線ラブ / お客様には
第6章 フリーターから
 初めての壁 / 先輩たち / 正社員に?
第7章 売上げナンバーワン!
 「なんで私が!?」 / 徳渕流「接客のコツ」 / いま、「働くこと」
あとがき

学校を卒業後、ホテルに就職した彼女は、そこで理想と現実のギャップに直面し、悩み、辞めてしまいます。
その後、アルバイト情報誌で、新幹線パーサー募集の記事を見つけて、面接を受け、研修を受け、彼女は売上1位を達成する正社員パーサーになりました。

この本では、そんな徳渕さんが、天職とも言える仕事と出会い、学び、成長してきたその様子が、自身の言葉で、丁寧に語られています。

1984年生まれの彼女、この本を書いたのは23歳のとき。
今の私と比べてみると、若いときからなんてしっかりした考えを持っている方なんだと、もう感心しきりでした。

文章からは、彼女の明るさと、真面目さと、ひたむきさと、一生懸命さと、仕事に対する前向きさと向上心と、そして、周囲の人たち、先輩やお客様への温かい思いやりの気持ち、そういう、パーサーとして大切なこと、というか誰にとっても大切なことの一つひとつが、ひしひしと伝わってきます。
心の内面まで丁寧に描かれていて、読んでいると、本当に素敵な方だなと、そう感じます。

本書では、彼女が働いている姿を写真でも紹介しています。
そこからも、新幹線が大好きで、パーサーという仕事を愛している徳渕さんを知ることができます。

パーサーという仕事、業務や研修についてもかなり詳しく説明してくれていますので、将来この仕事に就きたいと考えている方には、非常に参考になる一冊だと思いますし、
また、他にも新幹線について「なるほど」と思うことがいくつも紹介されていて、
それを読むのも面白かった。

お客様に「良いサービスをしてもらった。新幹線に乗って良かった」と思っていただくチャンスはいつも一度しかない。そう思うとおのずと、一つひとつの出会いを大切にしようという気持ちが湧いてきます。
私自身が新幹線のことを大好きだからなおのこと、お客様にも新幹線を好きになっていただきたいのです。

とにかく、読んだ後には何とも清清しい気持ちになれる一冊です。
こんな素敵な本を書いてくれた、徳渕さんに感謝。

株式会社ジェイアール東海パッセンジャーズ

朝日新聞「天声人語」で卒業生の活躍が紹介されました:日本外国語専門学校

ローカル線ガールズ (メディアファクトリー)嶋田郁美ローカル線ガールズ
(メディアファクトリー)
嶋田郁美


【関連記事】
『最速への挑戦 新幹線「N700系」開発』読売新聞大阪本社編 を読んで
2008-08-09

『頭痛のタネは新入社員』前川孝雄 を読んで


頭痛のタネは新入社員 (新潮新書)前川孝雄頭痛のタネは新入社員
(新潮新書)
前川孝雄


souiunogaii評価 ハート3つ

内容紹介
えっ!? もう辞める? 「売り手市場」世代との接し方。

ネットと携帯を駆使してシューカツ戦線を勝ち抜き、第一志望の会社に入った――のに、突如機能停止してしまう新入社員たち。彼らはどういう“生き物”なのか? その生態と行動原理を徹底分析。「送信しっぱなしコミュニケーション」、「大人免疫力」の低下、「プラネタリウム型視点」……。全国から聞こえる悲鳴と衝突の実例を挙げながら、それでも一緒に働いていくために上司が仕掛けるべき十二の技を伝授する。

著者の前川孝雄氏は、リクルートで「就職ジャーナル」や「リクナビ」の編集長をされていた方だ。
新入社員と上司との間に起こっている様々な種類の問題を一つひとつその原因から分析し、それを解決するためには、上司は一体どうすればいいのか、を解説した本です。
もくじ
第1章 就職活動と「シューカツ」の違い
第2章 「お客様感覚」を満喫する学生たち
第3章 辞める新入社員、辞められる上司
第4章 若手を読み解く九つの鍵
第5章 一緒に働いていくための十二の技

さすがリクルートで働いていたときに、就職活動中の学生から人事・採用担当の側から、新入社員とそれを育てる上司、ともういろんな立場の人を観察して問題解決を考えてきた方だけあって、
学生がどんな風に就職活動を行い、入社してどういった考えの下に仕事をしていくのか、ということについては、多くの客観的データを交えて細かく分析を加えて、非常に緻密で論理的でかつ分かりやすい文章で、丁寧に説明してくれている。

2008年入社の新入社員である私も、自身のことに照らし合わせてみて、なるほどと思うものがたくさんあった。
非常にリアルに、新人の声を心を把握しているな、と感じた。

そして、上司が若者にどう向き合うべきか、という問題には、著者自身が実践してきたことと、著者がアンケートや研修や講演などで見聞きしてきた、悩める上司たちの声をもとに考え出された、様々な方法を提示している。

本書第5章で紹介されている方法をタイトルだけ記しておけば、
「オリジナル組織図」を描く
幹事もコピーも言いよう
憧れの「ヒーロー・ヒロイン社員」を創る
0.1段でも「階段」を上らせる
「ワークインライフ」発想に触れる
「お前はどうしたいの?」で話させる
二の矢は「それは、何のため?」
「プロフィール付き名簿」の作成
部内で遊びに出る機会を
座席レイアウトに注目
「職場内ぶらぶら散歩」の勧め
上司が仕事を楽しむ、言葉にする

という感じだ。

新入社員として、いろいろ参考になる一冊でした。
2008-07-26

『日本のロゴ II』 を読んで


日本のロゴ 2 (成美堂出版)日本のロゴ 2
(成美堂出版)


souiunogaii評価 ハート2つ

内容紹介
日本や海外のロゴマークを業種やジャンルごとにカテゴリー分けして収録。高級ブランドや乗り物のマーク、大学の校章など更に幅広くロゴマークの由来と変遷を紹介。

こういう本が好きな人って、結構多いんじゃないかな。
私も好きです。
企業、学校、レジャー施設、スポーツチームなどのシンボルマークを集めた本です。
もちろん全ページカラー。
ただ単にロゴを一覧に並べてるだけじゃなくて、その由来とか変遷とか、デザイナーの話とか、企業や商品自体の歴史とか、そういういろんな裏側のことまでしっかり書かれているのがすごいと思う。
読んでて、へぇー、なるほど、がいっぱいだ。
昔懐かしい商品のロゴ・パッケージなんかが見られるのもいい。
そうそう、こんなのあったよね、みたいに楽しめる。
もくじ
デザイン変遷
文房具のロゴ
学校の校章
レジャースポット
乗物のロゴ
服飾のロゴ
老舗の商紋
政令指定都市の市章
雑誌の表紙タイトル
スポーツチームのロゴ
(Vリーグ、日本のプロ野球、Xリーグ、bjリーグ、Jリーグ、MLB)
デザイナーインタビュー
(永井一正、佐野研二郎)

スポーツのロゴマークが充実した『日本のロゴ』の2作目:日経トレンディネット(2008-06-23)
日本のロゴ (成美堂出版)日本のロゴ
(成美堂出版)