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『経済は感情で動く―はじめての行動経済学』マッテオ・モッテルリーニ を読んで[2009-07-19]
『予想通りに不合理』ダン・アリエリー を読んで[2009-05-09]
『お金を貸す人借りる人 カード&ローン儲けのカラクリ』岩田昭男 を読んで[2008-09-13]
『なぜ、エグゼクティブはゴルフをするのか?』パコ・ムーロ を読んで[2008-06-08]
『電子マネーのすべてがわかる本 Suica PASMO Edy ICOCA PiTaPa』竹内一正 を読んで[2008-03-10]

2009-07-19

『経済は感情で動く―はじめての行動経済学』マッテオ・モッテルリーニ を読んで


経済は感情で動く―はじめての行動経済学経済は感情で動く
はじめての行動経済学
(紀伊国屋書店)
マッテオ・モッテルリーニ(著)
泉典子(訳)


souiunogaii評価 

内容紹介
経済学って、こんなに人間的で、面白い学問だったのか。
最新の行動経済学は、経済の主体であるところの人間の行動、その判断と選択に心理学の視点から光を当てる。
そこに見えてきたのは、合理性とは似つかない「人間的な、あまりに人間的な」一面。
クイズ形式で楽しく読み進むうちに、「目からうろこ」、ビジネスでのヒントに溢れ、お金をめぐるあなたの常識を覆す。
もくじ
パート1 日常のなかの非合理

1 頭はこう計算する / 2 矛盾した結論を出す / 3 錯覚、罠、呪い / 4 「先入観」という魔物 / 5 見方によっては得 / 6 どうして損ばかりしているのか / 7 お金についての感覚
パート2 自分自身を知れ
8 リスクの感じ方はこんなに違う / 9 リスクとの駆け引き / 10 知ってるつもり / 11 経験がじゃまをする / 12 投資の心理学 / 13 将来を読む
パート3 判断するのは感情か理性か
14 人が相手の損得ゲーム / 15 怒れるニューロン / 16 心を読むミラーゲーム / 17 理性より感情がものを言う / 18 人間的な、あまりに人間的なわれわれの脳

サブタイトルの「はじめての行動経済学」の通り、いわゆる行動経済学・神経経済学の一般向けの入門書です。

ここ数年の流行なのか、同様の内容の本は何冊か出版されていますが、本書の特徴は、まず読者に簡単な選択をせまる問題を与え、その答えがはたして理論経済学的に合理的といえるものなのか、どうしてそんな選択をしてしまうのか、をじっくり丁寧に解説してくれるところ。

例えば、こんな感じの問いがある。
問12(二者択一)
あなたは次の2つのどちらかを選ぶようにと言われた。
A 賞金は低いがもらえる確率は高い(7000円が80%)
B 賞金は比較的高いがもらえる確率は低い(7万円が10%)
あなたはどちらを選びますか?

ぱっと直感的に出した答えと、確率論的に期待値を計算して出した答えと、どちらが合理的でどちらが人間的なのか。
「なるほどなぁ」と感心する話が展開された後に、各章ごとに「教訓」としてのまとめがある。
話題は幅広く、読みやすく、面白い。

本書を一冊読む通すと、行動経済学の基本要素がおおよそ網羅できるようになっている。キーワードとして登場するのは、以下のものたち。
選考の逆転、保有効果、コンコルドの誤謬、サンクコストの過大視、アンカリング効果、ヒューリスティクス、代表性、利用可能性、少数の法則、平均値への回帰、後知恵、ホモ・エコノミクス、フレーミング効果、損失回避、省略の誤り、後悔回避、プロスペクト理論、ポートフォリオ理論、自信過剰、ピーク・エンドの法則、ゲーム理論、ソマティック・マーカー仮説、時間的な選考の逆転

後半では、最新の脳科学の話にまで触れられている。

こういう本を読んで、頭の上では知ったつもり・分かったつもりになったのに、日常生活でいざ実践する段階になると、やっぱり「あぁまたやってしまった」と失敗・後悔を繰り返してしまう。
人っていうのは、自分のことも他人のこともまだまだ分からないことだらけで、それでもちょっとずつそれが研究によって理論化されてきているのは、とっても面白い。

Homo Economicsの正体 - 書評 - 経済は感情で動く:404 Blog Not Found


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2009-05-09

『予想通りに不合理』ダン・アリエリー を読んで


予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」予想どおりに不合理
行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
(早川書房)
ダン・アリエリー

souiunogaii評価 

とにかく「行動経済学って面白い!」が連発の一冊。
内容紹介
これまでの経済学では、人は合理的に行動するものと考えられてきた。だが、本当にそうだろうか。
本当はおなじ味でも、雰囲気のいいカフェのコーヒーにはファストフード店のコーヒーより高いお金を払っていないだろうか?また、上等の靴下が必要だったのに、一足ぶんおまけされていた安物の靴下を買ってしまったことは?そう、人は不合理な行動をとるものなのだ。
経済行動に大きく影響しているにもかかわらず、これまで無視され誤解されてきた、人の不合理さを研究するのが、行動経済学という新しい分野である。ユニークで愉快な実験によって、人がどのように不合理な行動をとるのかを系統的に予想することが可能になった。「おとり」の選択肢や、価格のプラセボ効果、アンカリングなど、人の理性を惑わす要素を理解するとき、ビジネスや投資、政治の世界でも、驚くほどのチャンスがもたらされるようになったのだ。
行動経済学研究の第一人者がわたしたちを動かすものの正体をおもしろく解説する全米ベストセラー行動経済学入門。

昨年の11月に発売されて結構話題になっていた本なので、読みたい読みたいと思いながらなかなか時間がなかったりで、やっと読むことができました。

とっても面白かったです。非常に楽しめました。
「行動経済学」っていう学問分野についての興味関心が一気にぐっと高まり(深まり)ました。

本書のタイトルにもある"予想通りに"と"不合理"という言葉、この2つがセットになって使われているところに重要な意味がある。
従来の経済学っていうのは、「社会とは、合理的な人間の働きによってつくられている」という前提の上に成り立っているのだけれど、実際には人間の働きには不合理な点が多々あり、しかもそれらにはパターンがある。
っていうことを研究しているのがずばり「行動経済学」なんだそうだ。
わたしたちはふつうの経済理論が想定するより、はるかに合理性を欠いている。そのうえ、わたしたちの不合理な行動はでたらめでも無分別でもない。規則性があって、何度も繰り返してしまうため、予想もできる。だとすれば、ふつうの経済学を修正し、未検証の心理学という状態から抜け出すのが賢明ではないだろうか。これこそまさに、行動経済学という新しい分野であり、…

著者のダン・アリエリーは、行動経済学研究の第一人者と呼ばれる人で、MITをはじめアメリカの名だたる大学・研究機関で実績を積んできたすごい人みたいだ。

Dan Ariely Home Page:MIT (English)

本書の10章にもあるプラセボ研究の成果によって、2008年のイグ・ノーベル賞も受賞しているとか。
もくじ
1章 相対性の真相 なぜあらゆるものは―そうであってはならないものまで―相対的なのか
2章 需要と供給の誤謬
 なぜ真珠の値段は―そしてあらゆるものの値段は―定まっていないのか
3章 ゼロコストのコスト
 なぜ何も払わないのに払いすぎになるのか
4章 社会規範のコスト
 なぜ楽しみでやっていたことが、報酬をもらったとたん楽しくなくなるのか
5章 性的興奮の影響
 なぜ情熱は私たちが思っている以上に熱いのか
6章 先延ばしの問題と自制心
 なぜ自分のしたいことを自分にさせることができないのか
7章 高価な所有意識
 なぜ自分の持っているものを過大評価するのか
8章 扉をあけておく
 なぜ選択の自由のせいで本来の目的からそれてしまうのか
9章 予測の効果
 なぜ心は予測したとおりのものを手に入れるのか
10章 価格の力
 なぜ1セントのアスピリンにできないことが50セントのアスピリンならできるのか
11章 私たちの品性について その1
 なぜわたしたちは不正直なのか、そして、それについてなにができるか
12章 私たちの品性について その2
 なぜ現金を扱うときのほうが正直になるのか
13章 ビールと無料のランチ
 行動経済学とは何か、そして、無料のランチはどこにあるのか

経済学っていうと、なんだか景気とか金融とか政策とかが絡む大規模で難しいものがぱっと思い浮かんでしまうかもしれない。
しかし、本書で扱われているテーマはそんなものをは全然違う。
もっと、簡単で日常生活に深く関係した身近なものばかりだ。
だから読んでいて楽しいし面白いし、「あぁ、そういうのあるある」がたくさん出てくるし、「そうか、こうすればいいんだ」みたいな発見がいくつもあって、とってもイイ。

キーワードを挙げてみると、
おとり、相対性、刷りこみ、恣意の一貫性、アンカリング、無料!の力、市場規範と社会規範、先延ばし、所有意識、予測の効果、不正直、不正、独自性欲求、
などなど。

そして、本書の面白さの一番のポイントは、著者が行った数多くの「実験」だと思う。
著者は他の研究仲間と一緒に、MITやハーバードの学生を対象に、さまざまな「実験」を繰り返し実施して、人間がどんな風に"不合理な"行動をとるのか、その法則性・パターンを探っていく。
仮説を立て、予測が正しいのかを実験によって検証する、そこからまた新たな理論を導く、という流れはまさに研究としてのまっとうな形であり、学問と呼ぶにふさわしいと思う。

本書「予想どおりに不合理」は、行動経済学の入門--でもあるが、それに留まっていない。本書の魅力は、「なぜそうなるのか」を説明するに留まらず、「ならどうするべきか」まで踏み込んでいるところにあるのだから。(中略)
経済学は面白い。役に立つことすらある。しかし感動まですることは、本書に巡り会うまで滅多になかった。この感動を、ぜひあなたも味わってほしい。





予想以上に合理的! - 書評 - 予想どおりに不合理:404 Blog Not Found
人は「予想どおりに不合理」だけど「意外に合理的」でもある、という話:H-Yamaguchi.net


人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く人は意外に合理的
新しい経済学で日常生活を読み解く
(ランダムハウス講談社)
ティム・ハーフォード



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『ヤバい経済学』レヴィット&ダブナー を読んで
2008-09-13

『お金を貸す人借りる人 カード&ローン儲けのカラクリ』岩田昭男 を読んで


お金を貸す人 借りる人 (実業之日本社)カード&ローン儲けのカラクリ岩田昭男お金を貸す人 借りる人
カード&ローン儲けのカラクリ
(実業之日本社)
岩田昭男

souiunogaii評価 ハート2つ

内容紹介
ローンなしでは、「生活が成り立たない時代」になりました。
人生の勝ち負けは、賢くお金を借りて、上手に返す「術」を知っているかどうかで決まるのです。
もくじ
第1章 消費者金融業者の儲けのしくみ
第2章 カード会社の儲けのしくみ
第3章 銀行・その他金融業者の儲けのしくみ
第4章 無担保ローンで得をする
第5章 カード活用で得をする
第6章 住宅ローンで得をする

2008-06-08

『なぜ、エグゼクティブはゴルフをするのか?』パコ・ムーロ を読んで


なぜ、エグゼクティブはゴルフをするのか?なぜ、エグゼクティブはゴルフをするのか?
(ゴマブックス)
パコ・ムーロ(著)
坂東智子(訳)

souiunogaii評価 ハート1つ

もくじ
第1話 進化を拒んだ古代魚と陸に上がったカメ
第2話 こだわりの異なる3人の社長の選択
第3話 1本足になったアリ株式会社の末路
第4話 本当に「使えない」のは車かドライバーか
第5話 有能な社員に新人、ベテランも関係ない
第6話 社長のクローンは働き者ばかり
第7話 なぜ、エグゼクティブはゴルフをするのか?
第8話 「自ら動く新入社員」と「指示待ちベテラン社員」
第9話 1006人のうち、会社の妨げとなるのは6人
第10話 すぐに専門家任せのエグゼクティブたち
第11話 「前世紀のセールスマン」と「21世紀のセールスマン」
第12話 ボロボロのガレー船と3人の船長の航海術
第13話 エグゼクティブは熱気球に乗って仕事をしなさい


見返しに書いてあった、
「この本を手にとったあなたに『おめでとう!』と言いたい。
 なぜなら、60分で
 『人生で成功するための大切なポイント』
 が身につくからである」
という文章が気になって読んでみたこの本。
確かに60分で最後まで読めてしまうくらいの、読みやすい内容だが、うーん、おめでとう!言われるほどのことは私には見つからなかった。
象徴的で寓話的なエピソードと、経営者が決断するときに必要な要素をからめながらの構成は分かりやすいし、それぞれのエピソードも面白いものが多い。
ただ、文章が簡潔で短いからか、何だか深みが無いというか、こじつけ色が強いというか、ただ「ふーん」と感じるだけの本だった気もする。

著者はコンサル会社の会長。
2008-03-10

『電子マネーのすべてがわかる本 Suica PASMO Edy ICOCA PiTaPa』竹内一正 を読んで


電子マネーのすべてがわかる本 (ぱる出版)Suica PASMO Edy ICOCA PiTaPa竹内一正電子マネーのすべてがわかる本
Suica PASMO Edy ICOCA PiTaPa
(ぱる出版)
竹内一正

souiunogaii評価 ハート2つ

もくじ
PART1 電子マネー1.0からの進化
PART2 先を行くSuica、そしてEdy
PART3 PASMOが開く新たな世界と、オートチャージ戦略
PART4 ドコモの巧みで大胆なiD戦略
PART5 コンビニとスーパーはどの電子マネーを選ぶか
PART6 関西私鉄のピタパとJR西日本のイコカ
PART7 おサイフケータイ、そしてJR東海、九州、北海道、四国
PART8 PASMOオートチャージのおトクな選び方

Suica、PASMO、Edy、ICOCA、PiTaPa、iD、クイックペイ、ビザタッチ、ワオン、ナナコ、TOICA、…。
電子マネーってホントにいろんな種類がある。
鉄道会社も流通企業も銀行もクレジット会社も携帯電話会社も、様々な分野の企業がこぞって独自の電子マネーをつくっている。

本書は、消費者の側に立って「どう使えばより便利なのか」「どう使えばより得するのか」を考えた本だ。
個々の電子マネーそれぞれについて、基本機能の説明からはじまり、特徴、他との違い、得する使い方、どういった人におススメなのか、などが図解入りで丁寧に説明されている。

私は普段使っているのはSuicaぐらいで、それも買い物には使わずもっぱら電車に乗るだけだ。電子マネーについての知識は、ほとんど素人だ。
だから、本書を読んで、今さらながら驚いた。
「こんなに便利なものだったのか。えっ、そんなことも可能なの!」
便利なものを知らないということは、知らないうちに損をしていることなんだなあと気づかされる。

特に関心した項目は、PASMOのオートチャージの説明。
どの会社のクレジットカードと組み合わせるのが一番便利なのか、選ぶときのヒントをいろいろ与えてくれる。
ポイントの貯め方・使い方の話は、私には実に目からうろこだった。
4月から入学・就職・引越しで私鉄・地下鉄を利用するようになる人なんかは、新たに定期券を購入するその前に、一度本書を読んでおくと絶対にためになると思う。

NTTドコモのDCMX iDをはじめとした、おサイフケータイの話も、かなり詳しく書いてある。

とにかく、面白くてためになる、お得な情報がいっぱいつまった本で、一度は読んでおくといい本だと思う。人に教えたくなる話がたくさんだ。