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『爆笑問題のニッポンの教養-タイムマシンは宇宙の扉を開く』爆笑問題+佐藤勝彦 を読んで[2008-03-09]
『爆笑問題のニッポンの教養―教授が造ったスーパーカー』爆笑問題+清水浩 を読んで[2007-12-16]
『最速への挑戦 新幹線「N700系」開発』読売新聞大阪本社編 を読んで[2007-11-27]
『ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ ハイテク海洋動物学への招待』佐藤克文 を読んで[2007-11-03]
『ダーウィン 世界を揺るがした進化の革命』(オックスフォード科学の肖像) を読んで[2007-10-30]

2008-03-09

爆笑問題のニッポンの教養 (講談社)タイムマシンは宇宙の扉を開く 佐藤勝彦(宇宙物理学), 爆笑問題
爆笑問題のニッポンの教養 (講談社)
タイムマシンは宇宙の扉を開く
佐藤勝彦(宇宙物理学), 爆笑問題

NHKの「爆笑問題のニッポンの教養」って番組がある。
私はこれが大好きで、ほぼ欠かさずに毎週見ている。どんな内容の番組なのかは、私が説明するよりも番組のホームページを見てもらったほうがより伝わると思うので、そちらをご覧ください。

爆笑問題のニッポンの教養 :NHK
もくじ
はじめに 爆問学問のすすめ 太田光
プロローグ 初めての本郷
第1章 タイムマシンって、作れるんですか?
第2章 宇宙はどんどん膨張している
第3章 宇宙のはじまりって、いつですか?
第4章 「時間」っていったい何ですか?
第5章 人類の未来は明るいですか?
あとがきにかえて 感想 爆笑問題

本書は、宇宙物理学の佐藤勝彦教授がゲストの回のもので、太田光との対談の様子の内容が記されている。
もちろんテレビで放送されたものも見ているのだけれど、こうして文章化されたものを読んでみると、再度強く感心させられたことがある。

それは、佐藤教授の話し方の素晴らしさ。おだやかで、丁寧で、上品で、緻密で、もちろん論理的で、非常に感じが良いのだ。
この番組には数多くの大学教授がこれまで登場してるけれど、これだけ綺麗な日本語を使う人って、あんまりいないんじゃないかな。
(私が教わった物理の教授たちにも、あんな風に話せる人はいなかった)
佐藤教授は、太田光が何か言う度に、「そうなんですね」とか「おっしゃる通りですね」とか「まさにそうなんです」という返事を即座にしてくる。
(もちろん太田さんの言うことに不同意の場合を除いてだが)
そのことによって、太田さんと佐藤氏の会話はテンポ良くスムーズに流れていく。

もちろん、太田さんの考えと佐藤氏の考えが異なる話題だって出てくる。
こここそ、一番面白い場面でもある。
おおざっぱに言ってしまえば、物理学者である佐藤氏の
「我々は自然にあるものを認識はできるけれども、世界の運動を決める基本原理を人間が石で生み出すことはできない」
「客観世界においては、現実世界が支配しているんですよ」

という考えがあって、その一方で、漫才師で心の自由・可能性を信じる太田さんの
「もしかしたら人間が、その法則を生み出すことができるんじゃないか」
「イマジンだって、現実に対抗できるんですよ」
「もしかしたら、観察者じゃなくて創造者に人間はなり得るんじゃないか」

という考えと衝突する場面だ。
1度テレビで見ているということもあるが、文章から興奮している2人の、熱を持った対話の様子が伝わってくる。
“現実vs頭の中”というのは、この番組「爆笑問題のニッポンの教養」でもしばしば扱われる、それでいて毎回答えがはっきり出ない、実に奥深い問題だなと思う。

本来のテーマである理論天文学や最新の理論物理学についても、もちろんしっかりと語られている。その内容は、ちょっと難しいのでこれは実際に読んでもらう他にない。

夢のある話も出てきた。
「もしタイムマシンがあったら、先生はどこに行きたいですか?」
という質問だ。
佐藤勝彦教授の答えは「ビッグバンの瞬間を見たいですね」
太田さんの答えは「明治維新の頃を見てみたいな。坂本竜馬に会ってみたいね」
なるほど、納得だ。

私だったら、タイムマシンに乗ってどこに何を見に行こうかな、なんて想像していると、やっぱりワクワクしてくる。

最後に佐藤教授の言葉を。
何かをよく知れば、物事全部が分かるようになるというのは、嘘。よく知れば知るほど、必ず新たな知らないことが出てくるということを知るんですね。

【関連】
『爆笑問題のニッポンの教養―教授が造ったスーパーカー』爆笑問題+清水浩 を読んで

「タイムマシンは宇宙の扉を開く」2007年9月14日放送 :爆笑問題のニッポンの教養
爆笑問題のニッポンの教養 :講談社BOOK倶楽部

メディアミックスの新たな手本-書評-爆笑問題のニッポンの教養 :404 Blog Not Found
ホーキング、宇宙のすべてを語る (ランダムハウス講談社)スティーヴン・ホーキング, レナード・ムロディナウ(著), 佐藤 勝彦(訳)
ホーキング、宇宙のすべてを語る (ランダムハウス講談社)
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アインシュタインが考えた宇宙 (実業之日本社)進化する相対性理論と最新宇宙学佐藤勝彦
アインシュタインが考えた宇宙 (実業之日本社)
進化する相対性理論と最新宇宙学
佐藤勝彦
2007-12-16

爆笑問題のニッポンの教養教授が造ったスーパーカー爆笑問題,清水浩(環境工学)
爆笑問題のニッポンの教養
教授が造ったスーパーカー
爆笑問題,清水浩(環境工学)

好きで見ているテレビ番組の一つにNHK「爆笑問題のニッポンの教養」があるのだけど、その番組がシリーズ本として新書になったのがこれ。
番組はずっと見ているけれど、本の方を読むのはこれが1冊目。
放送内容である、爆笑問題の2人と大学教授との対談の様子をそのまま文章にしたものなんだけど、本として読むのと、映像として見るのとでは、やはりどこか違った味わいがある。

あれ、田中ってこんなにたくさん発言してたっけ?とか。
放送内容を思い出すような写真がけっこう多く載せられているの良い。
何より、放送時にはさらっと流されてしまったけれど、「え、それって何?」みたいな言葉(太田さんがチラッと言った昔の漫才コンビとか、昔のテレビ番組とか映画とか、その他人名とか)なんかに関する知識を、脚注でちゃんと説明されているのが嬉しいし、面白い。
もくじ
はじめに 爆問学問のすすめ 太田光
プロローグ サーキット付きの研究室
第1章 未来の車は湘南ナンバー
第2章 未体験ゾーンへ!いよいよ試乗だ
第3章 プロジェクトリーダーは元銀行副頭取
第4章 好きなことを仕事にしましょう
第5章 温暖化対策も楽しさ重視で
あとがきにかえて 感想 爆笑問題

で、今回読んだ「スーパーカー」はどんな内容かというと、ゲストは慶応大環境情報学部の清水浩教授。
時速370キロというF1マシンよりも速く走ることができる加速力を持ち、そしてデザインが文句なしにカッコイイ、かつ乗り心地も良い。という素晴らしい電気自動車を作った方だ。

この清水教授、とっても面白い方で、太田の鋭いツッコミにも動揺することなく巧みな返しをしてくる。

そして、電気自動車が、従来のガソリンエンジン車と違っていかに優れているか、そしてそれはどんな工夫によって達成されたのかを、まったくの素人にも理解できる言葉だけを使って分かりやすく語ってくれる。熱意を持って。

そして、もうひとりのゲストの吉田教授も途中から登場してくる。
この人は、旧 住友銀行の副頭取を務めた後、大学教授になって、清水教授とチームを組み、必要な資金を集め、ベンチャー企業を起こし、完成した最高の電気自動車を何とかして市場に広めようとする努力をしている。信念を持って。

さらに詳しい内容は、番組HPの方を見てもらえるといいと思うが、とにかく面白い話ばかりだ。
「教授が造ったスーパーカー」2007年7月6日放送 :爆笑問題のニッポンの教養

でも、この「爆笑問題のニッポンの教養」はとってもいい番組だと思う。
私は太田光のファンという理由も多少はあるけれど、それ以上に、これほどにいろんな分野の大学教授の話を、こんなにも分かりやすく、楽しく、魅力的に、聞ける機会は他にはそうそう無いのではないか。

ぜひとも、NHKには長く放送を続けてもらいたいものだ。
シリーズ本なので、今回読んだ本の他にも、既に何冊も出ている。それらもぜひ読みたい。

爆笑問題のニッポンの教養 :NHK

爆笑問題のニッポンの教養 :講談社BOOK倶楽部

メディアミックスの新たな手本 - 書評 - 爆笑問題のニッポンの教養 :404 Blog Not Found
爆笑問題のニッポンの教養タイムマシンは宇宙の扉を開く佐藤 勝彦(宇宙物理学)
爆笑問題のニッポンの教養
タイムマシンは宇宙の扉を開く
佐藤 勝彦(宇宙物理学)

爆笑問題のニッポンの教養人間は動物である。ただし……山岸 俊男(社会心理学)
爆笑問題のニッポンの教養
人間は動物である。ただし……
山岸 俊男(社会心理学)


【追記】
『爆笑問題のニッポンの教養-タイムマシンは宇宙の扉を開く』爆笑問題+佐藤勝彦 を読んで
2007-11-27

最速への挑戦―新幹線「N700系」開発 (東方出版)読売新聞大阪本社
最速への挑戦―新幹線「N700系」開発 (東方出版)
読売新聞大阪本社

JR東海・JR西日本が共同で開発を進めてきた最速の次世代新幹線車両N700系。
その開発の大詰めを追う、読売新聞大阪本社版の連載(2004年1月〜05年3月)と、2000年に大阪府内版で連載された「新幹線物語」をまとめる。
新幹線の開発に情熱を傾けた鉄道技術者たちの熱い思い、現場の苦闘を、多くのカラー図版と共に綴る

今年2007年、N700系という新しい新幹線車輌がデビューした。
速度はもちろん、乗り心地・快適さにおいても、これまでで最高の新幹線に仕上がっているという。ある意味での「完成形」だ。
もくじ
I 最速への挑戦 新幹線「N700系」開発
第1章 技術者たちの挑戦
第2章 こだわりの技術
第3章 先行試作車
番外編

II 新幹線物語
第1章 夢に向かって
第2章 進化する車両
第3章 高速鉄道の未来

本書には、そのN700系の開発の物語が、主として技術者たちにスポットを当てて描かれている。
東海道の線路にはカーブが多い。そこを減速せずに走行するための数々の新技術。
高速化に伴う騒音問題・振動問題を解決するための試行錯誤の連続。
そして、高速化・省エネ化のための徹底した軽量化。

最先端のモノつくり技術の話が、簡潔明快な文章でとにかく「分かりやすく」読めるのは、本書が新聞の連載記事を元に作られたものだからか。

JR東海、JR西日本、日本車両、日立製作所、川崎重工、三菱電機。
限界を超える高いレベルが要求される世界で、それぞれの技術者たちの、苦しみながらも「何とかして実現させてやるんだ」という、その姿が、たまらなく輝いている。カッコいい。

革命と言われた300系を作ったJR東海、世界最高速の500系を作ったJR西日本。
N700系では共同開発という形を選んだ2社の、鉄道会社としての性格の違いなんかも説明されているが、これもまた興味深い。

本書に書かれているのは、N700系のことだけにとどまらない。
0系、100系、300系、500系、700系と続く東海道・山陽新幹線の歴史。
現場からトップまで、様々な立場のJR職員たちの思い。
リニア計画を含む、将来の新幹線への展望。
さらには、ヨーロッパ・東アジア諸国など海外の高速鉄道の話も。

私が小学生のときに、300系がデビューした。
「この新幹線は、何てカッコいいんだ!」と興奮したのを今でも覚えている。
「大人になったら、この新幹線の運転士になりたい」などと思ったりした。
まさに、あこがれの超特急だった。
その300系や500系が、N700系の投入に伴って東海道新幹線から徐々に引退していくというニュースを聞いたときには、あらためて時代の流れとテクノロジーの進化を思い知った。

スピード、快適、利便性の向上は、まさに「すごい」の一言。
次は、料金でも「すごい」と思える改革を、JRに期待したい。

n700.jpg
新しい新幹線N700系スペシャルサイト :JR東海
新幹線ガール (メディアファクトリー)徳渕 真利子
新幹線ガール (メディアファクトリー)
徳渕 真利子
2007-11-03

ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ(光文社新書)ハイテク海洋動物学への招待佐藤 克文
ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ (光文社新書)
ハイテク海洋動物学への招待
佐藤 克文

著者の佐藤氏は、ウミガメ、ペンギン、アザラシなどを相手にする海洋生物学者だ。
内容紹介
ペンギン、アザラシ、ウミガメなどの水生動物は、海の中でどのように活動しているのだろうか?
その生態は、直接観察できないため謎が多かった。
だが、今や日本発のハイテク機器「データロガー」を動物に取り付けることによって、本来の生息環境化で、己の生存をかけてきびきびと動き回る動物たちの姿が解明されつつある。
この分野では、教科書を書き換えるような新発見が相次いでおり、「バイオロギングサイエンス」という新しい学問が誕生した。
いま、生物研究のフロンティアは水の中にある。

本書の表紙を開いてページをめくっていくと、まず最初に目に飛び込んでくるのは、何枚ものペンギン、アザラシのカラー写真だ。
この写真を見て、読んでみよう、と思った。
写真も良いが、もちろん本文の方もすばらしく面白かった。

南極という特別な環境の下で、動物という思い通りにはならない相手を前にして、困難を一つひとつ順に解決しながら研究を進めていく、学問の最前線で活躍する科学者の奮闘する姿が、鮮明に目に浮かんでくる。
彼らの興奮、感動がめいっぱいに伝わってくる。
もくじ
はじめに
1章 カメが定温動物でトリが変温動物?
2章 浮かび上がるペンギンと落ちていくアザラシ
3章 研究を支えるハイテクとローテク
4章 アザラシは何のために潜るのか?
5章 ペンギンの潜水行動を左右するもの
6章 ペンギンはなぜ一列になって歩くのか?
7章 教科書のウソとホント
あとがき

新たに明らかになってきた、ペンギン、アザラシ、ウミガメの生態の秘密。
それは最先端の研究成果なのだけれど、高校生程度の知識で十分に読めるように、非常に平易に明解に書かれている。

そして、本書が特別な本であるのは、ただ単に分かりやすいというだけでなく、面白い、という点にある。
最先端の研究の意義を一般の人に伝えたい!という著者の情熱が、文章全体からあふれ出している。
本書は確かに科学の本であるが、冒険小説を読むようなドキドキ・ワクワクを感じずにはいられない。

南極での実際の研究の様子が、読者自身にまるでその現場にいるかのような感覚を与えるほどに、生き生きと描かれている。
私自身は、ペンギンに触ったこともなければ、もちろん南極に行ったこのもない。
しかし本書を読むことで、それらを疑似体験できた気さえしてくる。

著者が行っているのは、データロガーと呼ばれる小型の計測機器やカメラを、直接動物たちの体に取り付けて、体温・泳ぐ速さ・潜る深さ・巣中の映像などを記録・分析するという研究だ。
機器自体は日本の電子技術が造ったハイテクなものなのだが、現場でのそれの使われ方は何ともローテクなのが面白い。
対象となる動物を見つけたら、体を押さえつけて、機器を接着剤やテープで固定し、白髪染めで目印をつけ、海に放す。
そして、再び陸に上がってくるのときを、何日も待ち続ける。

最先端の研究ということで、やることなすこと全てが初挑戦のことばかり。
「すべてのことが手探りであった。」

ウミガメを見つけるために、夜の砂浜を研究道具を持って歩き回っては、知らない人に怪しまれ注意される。
体重300kgのアザラシの周りをぐるぐる回りながら、必死に袋をかぶせておとなしくさせる。
目標のペンギンを探し出すために、無線アンテナを持って氷の上をスノーモービルで走り回る。
南極でのトイレは、氷の地面に穴を開けただけのもの。

海洋生物学の最前線の現場は、興奮と感激と驚愕の連続の毎日のようだ。

海外の学者たちとの共同研究の話もたくさん紹介されている。

日本とフランスとアメリカの文化の違いというか、会議の進め方、食事の風景、自然への姿勢などが国によって様々であることも、いろいろ書かれていて面白い。

今まで世界中の研究者たちが抱えてきた多くの謎が、少しずつ解き明かされてきている。
そんな中から、中学高校の理科の教科書を書き換えるような新発見が次々に生まれている。
これまでの科学の歴史を見る限り、具体的目標を掲げて行われる研究が、当初の予定に沿った成果を収めることはごくまれである。研究者一人一人が、純粋に自分の興味の赴くままに突き進んだ先に行き着いた発見が、結果的に予想外の分野で大きく役に立つといった例が非常に多い。
バイオロギング研究も、将来予想外の何かに役立ったりするのだろうか。
絶対に役に立たないとは言い切れまい。しかし、そんなことを陰で期待しながら研究を進めていくのは不純である。何かの役に立てようなどといった下心を持たず、おもしろい研究を突き進めていくのが、科学者として真摯な態度なのだと思う。

南極を研究の舞台にしてきた著者が、かつて南極点を目指した偉大な探険家スコットへのあこがれを書いているのもまた、かっこいいなと思う。

本書の最後の章は、次の文章で締めくくられている。
「求む男女。ケータイ圏外。わずかな報酬。極貧。失敗の日々。絶えざるプレッシャー。就職の保証なし。ただし、成功の暁には、知的興奮を得る」

海洋研究所 佐藤克文ホームページ
東京大学海洋研究所 国際沿岸海洋研究センター
日本バイオロギング研究会
国立極地研究所

書評 - ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ :404 Blog Not Found
世界最悪の旅―スコット南極探検隊(中公文庫BIBLIO)アプスレイ・チェリー・ガラード(著), 加納一郎(訳)
世界最悪の旅―スコット南極探検隊 (中公文庫BIBLIO)
アプスレイ・チェリー・ガラード(著), 加納一郎(訳)

「皇帝ペンギン」DVD プレミアム・エディション監督:リュック・ジャケ
「皇帝ペンギン」DVD プレミアム・エディション
監督:リュック・ジャケ
2007-10-30

ダーウィン―世界を揺るがした進化の革命 (オックスフォード科学の肖像)レベッカ・ステフォフ(著), オーウェン・ギンガリッチ(編), 西田 美緒子(訳)
ダーウィン―世界を揺るがした進化の革命
(オックスフォード科学の肖像)
レベッカ・ステフォフ(著), オーウェン・ギンガリッチ(編), 西田美緒子(訳)

本書『ダーウィン 世界を揺るがした進化の革命』は、次の文章で始まる。
1835年9月15日、小さな船が帆いっぱいに太平洋の風をはらみ、南米の西岸沖およそ1000キロに浮かぶ島をめざして波しぶきをあげていた。船の名はビーグル号。赤道をまたいで点在する島々が、目前に迫っている。
このビーグル号に乗船していた若き科学者チャールズ・ダーウィンは、ゆくてにあらわれるのを今か今かと待ちわびていた。

科学者の物語を読むのが好きな私は、この冒頭の部分を読んだだけでもうワクワクしてきてしまう。

あまりに偉大な博物学者ダーウィンの一生を描いた物語。
もくじ
第1章 進化論の原点
第2章 飽くなき探求者
第3章 ビーグル号の航海
第4章 理論の誕生
第5章 「悪魔の牧師」
第6章 ダーウィンの遺産

19世紀のイギリスという時代背景を丁寧に説明しながら、ダーウィンがどんな少年・青年時代を過ごし、いかにして博物学にのめりこんでいったのかが、時系列の順を追って語られていく。

裕福な家庭に生まれ、十分な援助をしてくれる父親がいて、学びたいと望めばそのための環境がすぐに手に入る。
そして何より、自然・生き物に対しての興味や好奇心が人よりも強くて、観察というものが大好き。
そんな青年だったダーウィンが、学者となり、やがては世界をあっと驚かせる発見をすることになる。

(この科学者に対して、この表現が適切化どうか分からないが)
ダーウィンという人物が、あの時代に生まれたことは、神様が定めた運命だったのではないかと思えてくる。
実に恵まれた幸せな人生を送った科学者だと思うのだ。

ビーグル号による5年間にも渡る世界一周航海。ガラパゴス諸島で出会ったゾウガメ、イグアナ、フィンチなどの様々な動植物たち。
この冒険旅行の中でダーウィンの身の周りに起こった数々の出来事についても、結構細かいところまで詳しく書いてあって、この章を読むだけでも、たいへんに面白い。

後半では、いよいよ『種の起源』がどのようにして書かれたのか、当時の社会の中で進化論を発表するということが一体どういうことだったのか、という話になっていく。
ダーウィンの考えに影響を与えた科学者たちも多く登場する。
地質学のライエル、植物学のヘンズローとフッカー、経済学のマルサス。

「神の天地創世」の物語を語り「人間は最後に創られた特別な存在」と信じる人たちに、
「人間も動物の仲間で、実は祖先はサルと一緒です」と教える、その勇気が生まれる源になったものとは。

聖書の「生命は神が創った」という説を信じる教会からは反発されることを予想し、自身の学説を世に出すタイミングをうかがいながら、まだ完全には出来上がってはいなかった理論のパズルのピースを一つひとつ組み立てていく。
そうしながら、反論される要素を消していく。
そしてついに、それは一冊の本にまとめられる。

『種の起源』出版までのダーウィンと彼を取り巻く人たちのドラマが、実に面白い読み物になっている。
科学の新しい思想は往々して強い抵抗に会うことをダーウィンは知っていた。人々は慣れ親しんだ考え方に、頑固にしがみつくからだ。彼は『種の起源』への反感について、「これまでの反感の大半は、太陽がじっと動かず、地球がそのまわりをまわっていると最初に言われたときの反感と同じだ」という手紙を牧師である友人に書いている。16世紀のはじめに地球が太陽のまわりをまわっていると証明して天文学に革命をおこしたコペルニクスの説のように、自分の考えもいつかは広まっていくだろうと信じていた。

人々のそれまでの世界観・価値観をがらりと変えてしまう。
旧来の考えを守る人たちからは批判され罵倒され弾圧されるかもしれない。
それでも人類の未来にとって、科学にとって、大きな進歩だと信じて、自らの進む道を変えずに前に出て行く。

ダーウィン、かっこいい人だ。
種の起原(上) (岩波文庫)ダーウィン(著), 八杉 龍一(訳)
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ダーウィン(著), 八杉 龍一(訳)

ダーウィン(伝記 世界を変えた人々 13) (偕成社)アンナ スプロウル (著), 乾 侑美子(訳)
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The Origin of SpeciesCharles Darwin
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Charles Darwin

Voyage of the BeagleCharles Darwin
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Charles DarwinAnd the Evolution Revolution (Oxford Portraits in Science)Rebecca Stefoff
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