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『重力ピエロ』伊坂幸太郎 を読んで[2008-05-18]
『夜のピクニック』恩田陸 を読んで[2008-03-06]
『十五少年漂流記』ジュール・ヴェルヌ(作), 波多野完治(訳) を読んで[2008-02-02]
『恋愛寫眞 もうひとつの物語』市川拓司 を読んで[2007-12-13]
『学校のセンセイ』飛鳥井千砂 を読んで[2007-12-07]

2008-05-18

重力ピエロ (新潮文庫) 伊坂幸太郎
重力ピエロ (新潮文庫)
伊坂幸太郎

内容紹介
ルールは越えられる。世界だって変えられる。読書界を圧倒した記念碑的名作。文庫化にあたり改稿。

兄は泉水、2つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは――。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。

伊坂幸太郎さんの小説を初めて読みました。
読み終わって、衝撃を受けたというか、圧倒されたというか、ものすごい感動を覚えました。
「こんなに面白い小説を書く人がいたんだ」と、大げさな言い方ではなく、本当にそう感じたのです。
様々な面で、これまでに読んだことのない種類の小説家だと思います。
出会えてよかった。
伊坂幸太郎さんを勧めてくれたのは、会社の同期なんですが、彼にも心から感謝です。

私がこんなにも面白いと感じたのは、まず時間の不思議さ。
時系列的に順番に進んでいくのではなく、様々な時間軸が並行して走っていて、絶妙なタイミングで、別の時間にすっとジャンプする、その感覚が読んでいてたまらなく楽しかった。
こういう物語の構成のやり方があったんだ、と。
これほどまでに考え抜かれた物語を考えられる伊坂幸太郎さんの素晴らしい才能に、強く感動しました。
この一冊の本で、大ファンになってしまいました。

セリフの調子も、短くリズムの良い感じがとてもいいし、文章全体を見ても、文節のリズム感が最高に心地よくて、大好きです。

ストーリーは、連続放火事件、遺伝子、DNA、兄弟、レイプ、性、癌、死などの数多くの謎のピースが1つずつつながって組み合わさって、最後にパズルが完成する、という最高のミステリーで、それを過去・現在を行き来する素晴らしい時間構成でまとめてくれている、これほど面白いと感じた本を読むのは、本当に久しぶりでした。

「人間の行動のすべては遺伝子が決めるもので、運命は生まれつき決まっているのか?」というスケールの大きな問いかけに、この小説は、血のつながらない兄弟・親子の姿を通して、1つの答えを導かせてくれた気がします。
それは完璧な答えではないけれど、人間として生まれてきたことの意味まで考えたくなるような、ある種の希望を与えてくれる答えでした。
父はさらに春に向かって、こうつづけた。それは、私たち兄弟を救済する最高の台詞だった。

「おまえは俺に似て、嘘が下手だ」

何でもない言葉だ。たわいもないやり取りだったのかもしれない。
けれど、私は動くこともできないでいた。

ラストに近い、この場面を読んだとき、私は感動して、思わず泣いてしまいそうになった。本当だ。

読めてよかった。こんな素敵な小説を書いてくれた伊坂幸太郎に、拍手だ。

『重力ピエロ』の映画化作品が森淳一監督で、2009年春に公開されるそうで、そちらも楽しみです。
主役の泉水を加瀬亮が、春を岡田将生、父は小日向文世、母は鈴木京香だそうです。(アスミック・エース配給)
2008-03-06

夜のピクニック (新潮文庫)恩田陸
夜のピクニック (新潮文庫)
恩田陸

内容紹介
第2回本屋大賞受賞作!ノスタルジーの魔術師が贈る清涼感溢れる名作!!
高校生活のすべてを凝縮したような一夜に起こるささやかな奇跡!!

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために――。
学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。
本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。

恩田陸さんを読むのは実は初めて。
全校生徒が丸一日歩き続けるという学校行事「歩行祭」。
300ページを超えるこの小説は、1日の中の出来事で組み立てられた物語。長い長い1日という感じが伝わってくる。

文章のほとんど(印象では7割くらい)が、主人公の甲田貴子と西脇融の2人それぞれの、心理描写というか頭の中で思っていること・考えていること、心の声で構成されている。
3人称なのに1人称のように感じられる表現は、上手いなと思う。
とにかく、高校3年生の頭の中は、もう考えることでいっぱいだ。
大学受験のこと、将来のこと、友達のこと、親のこと、恋愛のこと、などなど。
また、歩きながらの友達通しでの脈絡の無い他愛の無い会話も読んでいて楽しい。
自分が高校生だった頃の頭の中を思い浮かべてみる。ああそうだったよな。そうそうこんなこと考えてたっけ。なんて、いろんなことを思い出すのも面白い。

朝出発して、夜中もずっと歩き、ゴールは翌朝。丸1日の間友達と並んで歩き続ける「歩行祭」。高校生活3年間の最後のイベントとしては、記憶に残る何とも素敵なものだと思う。
突然、公開のようなものが急速に胸の中に湧いて来る。
もうすぐ終わってしまう。何か大事なものを歩行祭で済ませようとしていたのに、何か特別なものを味わおうとしていたのに、何もしないうちに、あと少しで終わってしまう。
貴子の99パーセントは、とっととこの行事が終わって、家に帰って、お風呂入って、ばったりとベッドに倒れこむことを切望している。しかし、残りの1パーセントは、まだこの行事が終わらないでほしい、もっと続いて欲しいと願っているのだった。

登場する高校生たちのそれぞれのキャラクターの様々で楽しい。そうそういるよなこういうヤツみたいな。
歩きながら彼女たちが目にする風景の描き方もとても良い。
住宅街から海が見えるところまで。夕焼けに、日の出。
それに長時間・長距離の歩行による、心と体の疲労の様子も、主人公の心の声によってかなりリアルに感じ取れる。
本当に大変で辛く苦しいけれど、でもそこでしか体験できないものがある。
これぞ青春物語小説だな、と。

高校生の物語だけど、学校が舞台ではないし、教師の姿は全然出てこない。そのことで不思議な空気が作られている。
そして何より驚くのは、高校生なのにケータイを使う場面が1度も無い、というか彼女たちがケータイを持っていないこと。
この『夜のピクニック』は2002年に連載されていたそうだけれど、その頃は地方の高校それも進学校だと、やっぱりケータイはまだまだ普及していなかったんだなと。
今では完全に必需品になっているものでも、それが無かった時代が確かにあったし、その時はそれで十分だったんだと、変なところに感心したりする。

そしてそして、物語の芯になっているのは、主人公の貴子と融の2人が共通に抱えている誰にも言えない深い悩み。それが何らかの形できっと解決される、という予告やヒントみたいなものが伏線を張るかたちで何ヶ所かに置かれながら、この物語は進んでいく。
そして、歩行祭の終わりが見える頃に用意されている、何ともまた素敵なサプライズ。これが良い。とにかく高校生の青春という感じのラストは、読んでいて気持ちが良くなる。

最後に、私が一番気に入った文章を。
時間の感覚というのは、本当に不思議だ。
あとで振り返ると一瞬なのに、その時はこんなにも長い。1メートル歩くだけでも泣きたくなるのに、あんなに長い距離の移動が全部繋がっていて、同じ1分1秒の連続だったということが信じられない。
それは、ひょっとするとこの1日だけではないのかもしれない。
濃密であっというまだったこの1年や、ついこのあいだ入ったばかりのような気がする高校生活や、もしかして、この先の一生だって、そんな「信じられない」ことの繰り返しなのかもしれない。

本小説は、2006年9月に多部未華子主演で映画化もされている。

映画「夜のピクニック」公式サイト
夜のピクニック (ピクニックパック)出演:多部未華子,石田卓也 監督:長澤雅彦
夜のピクニック (ピクニックパック)
出演:多部未華子,石田卓也 監督:長澤雅彦
2008-02-02

十五少年漂流記 (新潮文庫)ジュール・ヴェルヌ(作), 波多野完治(訳)
十五少年漂流記 (新潮文庫)
ジュール・ヴェルヌ(作), 波多野完治(訳)

内容紹介
しなやかさとしたたかさ、そして仲間。子どもだけの力で、どこまでやれるか。

14歳のゴードンを頭に15人の少年たちだけを乗せたスクーナー船が、ふとしたことから荒海に出てしまった。
大嵐にもまれたすえ、船は、とある岸辺に座礁。島か大陸の一部かもわからないこの土地で、彼らは生きるためにさまざまな工夫を重ね、持ち前の知恵と勇気と好奇心とを使って、スリルに満ちた生活を繰りひろげる……。
“SFの祖”ジュール・ヴェルヌによる冒険小説の完訳決定版。

「十五少年漂流記」というあまりにも有名なタイトルのこの小説、フランス語の原著の題名は「2ヵ年の休暇」だそうだ。

この素晴らしい冒険小説を、今回私は病気で入院中に、病室のベッドの上で読むことになったのだけれど、他にすることも無く退屈していたせいもあって一気に読み通した。
小学生か中学生のときに私は一度この本を読んだことがある気がする。
それでも大人になってから再び飛び込んだその物語の世界は、私をたいへんに楽しませてくれた。

15人の小学生の少年たちが、2年間もの長い期間を、無人島で過ごした。
大人の力を借りることなく自分たちだけで生き延びた。
物語の中ではもちろん、少年たちはそれぞれに知恵と勇気と友情とを精一杯に出し合って、様々なピンチを、困難な問題を、一つひとつクリアしていきながら、この冒険小説を盛り上げてくれる。

この面白さはもう実際に読んで味わうしかない。
私はもうただひたすらに彼らの「生きる力」というか「たくましさ」みたいなものに感心するばかりだった。

と同時に、もしもこのような無人島に漂流みたいな事態が自身の身に起こったとしたら、彼らのように行動できるだろうか、なんて考えたりもした。
もちろん、絶対に無理だろうな。私なんてすぐに飢え死にだ。

だって、野生のウサギや鳥を狩って、殺して、それをさばいて焼いて、食べる、なんてこと出来っこないでしょう。

でもそんな風に考えていると、私たちが例えばマックやケンタッキーで食べる肉だって、スーパーで買うスライスされた肉だって、同じだろう?と。
元をたどっていけば、確かに生きていた牛の命があって、それを殺して、食肉に加工する工場があって、そこで働く人たちがいて、って。
そういう事実を、私はあんまり見ないように(想像しないように)しているなと、そんなことに今さらながらに気づいて、ハッとしたりする。

入院してるときには、平時よりも生とか命とかいうことには多少なりともやはり敏感になって、それでこういうことを考えたりするのかなと思ったりもするが。


また、今回私がヴェルヌの偉大さに感心したのは、この小説がかなり細部まで科学的にそして論理的に描かれているという点だ。
理系頭だからなのか、どうしてもこういうSF小説みたいなものを読んでいると、
「え?ちょっと待って、そこどうなってるの?説明は?」とツッコミを入れてしまいそうになる部分を多く見つけてしまうものなんだけれど、このヴェルヌの作品には、そういうことがほとんど無い。
すごいことだと思う。空想科学の祖、さすが。


私の場合は、今回は「生き物を食べる」ということについて再度じっくり考えてみろ、というメッセージを一番強く感じたんだかれど、その他にも、
子供向けに書かれたこの小説には、そういう人間にとって大切なことを教えようとしているんだなと思える部分がいたるところにあった。

最高の冒険小説。
2007-12-13

恋愛寫眞―もうひとつの物語 (小学館)市川 拓司
恋愛寫眞―もうひとつの物語 (小学館)
市川 拓司

内容紹介
映画『恋愛寫眞』(監督:堤幸彦)との共作で、『いま、会いにゆきます』の著者・市川拓司が新たに書き下ろした「もうひとつの恋愛寫眞」である。
カメラマン志望の大学生・瀬川誠人は、個性的でとても謎めいた女の子・里中静流と知り合う。誠人は女の子にかなりの奥手だったが、静流とは自然にうちとけるようになる。やがて誠人は静流に思いを告げられるが、誠人には好きな人があり、その思いを受け取ることはできなかった。…卒業を待たずに清流は姿を消した。

この小説は2003年の映画「恋愛寫眞 Collage of Our Life」を元にして書かれた作品で、
この小説がさらに映画化されたのが2006年の「ただ、君を愛してる HEAVENLY FOREST」だ。
私は2つの映画がどちらも大好きで、何度も見たのだけれど、この小説は読んだことがなかった。
映画の印象が非常に良かったので、あえて原作を読むことは避けていた気もする。
それが、今回思いがけずこの本を手にする機会を得て、また心境の変化もあって、思い切って読んでみることにしたのだ。

市川拓司の名も、何度も耳にし目にしていたけれど、彼の本を読むのも実はこれがはじめて。
(「いま、会いにゆきます」も映画は大好きだけれど、原作は同じ理由から何となく読んでいない。)

確かに映画「恋愛寫眞」と登場人物名は同じだけれど、もうひとつの物語という通りに、「ただ、君を愛してる」はまったく別の世界の物語だ。
だから両者を比べたり、どっちがより素敵かなんて話は意味の無いこと。
それでも、一方の映画を見終わると、もう一方も頭の片隅に浮かんでくる。
いや、とにかく両方とも大好きな映画なのだ。

それで、この小説についてだけれど、やはり映画を見ていてストーリーも登場人物の姿もセリフも、読む前から頭に入っているので、思いのほかスラスラとあっという間に読めてしまった。
それでも、市川拓司の文章には、何か今までに他の作者の小説には感じたことのない不思議なものが、確かにあった。
カギ括弧の会話文で半分くらいが占められ、地の文では短文を連ねてくるし、改行を多用してくる。
よって、ページには何も文字の書かれていない空白のスペースがたくさん生まれる。
その白い部分からやってくる何かだったのかもしれない。

周りからはちょっと変わってると言われる主人公・瀬川誠人。小説中では「ぼく」と一人称で描かれる。
そして、人よりも少しオリジナルな不思議な雰囲気を放つ少女・里中静流。
その不思議さに隠された謎は、物語のエピローグに用意された、ちょっとしたサプライズで全てが明らかになる。
これも不思議なことだが、何度見ても(そして、おそらく何度読んでも)そこにはやっぱり感動がある、そんな気がする。

何だか本の感想と言うよりも、映画の話が多くなってしまったが、とにかく、この小説があったからこそ、あんなにもすばらしい映画が生まれたのだから、作者・市川拓司に感謝だ。
「さよなら」
彼女はそう言ってぼくに背を向け、歩き出した。ぼくもきびすを返し歩き始めたが、7歩目でふと思いついて立ち止まり、バッグからカメラを取り出した。
遠ざかる彼女はやっぱりおそろしく華奢な後ろ姿をしていた。
ファインダー越しに彼女を捕らえ、すばやくピントを合わせてシャッターを押した。
それが856枚のうちの最初の1枚となった。

映画「ただ、君を愛してる」公式サイト
DVD「ただ、君を愛してる」スタンダード・エディション
DVD「ただ、君を愛してる」スタンダード・エディション
2007-12-07

学校のセンセイ (ポプラ社)飛鳥井 千砂
学校のセンセイ (ポプラ社)
飛鳥井 千砂

とっても良かった。飛鳥井千砂の作品、初めて読んだんだけれど、また私のお気に入りリストに加えようと思う素敵な作家さんに出会えた、そう感じた。
先生ではなくセンセイ。
教師だって、普通の生活をする普通の人なんだな、と。
内容紹介
教師に希望を見いだせない青年と周囲の人間が織りなすやさしい物語。
第18回小説すばる新人賞受賞作家による、受賞後第一作。
センセイって、もっと特別な人がやるものだと思ってたんだ。
とくにやりたいことがなく、気がつけば先生になっていた。
生徒は可愛げがないし、同僚とのつきあいも面倒だ。
それでも、“センセイの日々”は続いていく・・・・・・

物語の舞台は、名古屋。主人公は、桐原一哉、26歳。
埼玉出身で東京の大学を出た後、地元の塾で働き、その後、名古屋市内の私立高校の教師になった男だ。
友人からは「キングオブ面倒くさがり屋」などと呼ばれている。
そんな桐原先生の、「俺、ちょっと変わってみようかな」というストーリー。

学校を舞台にした小説はこれまでに何冊も読んできたけれど、それはほとんど生徒が主役の物語ばっかりだった気がする。
でも、本書『学校のセンセイ』は、文字通り、教師が主役の物語で、しかも教師の仕事にはそれほど情熱はなくて、こういうのは私は読むのは初めてで、それが新鮮だった。(あぁ、教師の目に生徒はこう映るんだ、と)

面倒なことを避けるために、生徒とも同僚教師とも表面的な、当たり障りの無い接し方しかしない。
そんな桐原先生を“俺”と一人称にし、その目から見る世界が描かれる。
心で思っていること、と口で言っていることとが、まるで違っているそのギャップの大きさに、思わず笑ってしまったり、そうだよなと納得したり、おい!と突っ込んだり、そんな風に楽しみながら読める。
こういうのが、私は好きだ。

主人公以外の登場人物たちも、みんな一癖あるが魅力あるヤツらばかり。
男女の生徒たち、同僚教師、先輩教師、高校時代からつながりのある友人たち、隣のアパートにすむ変わった女とその彼氏。
とにかく面白い人たち。
そして主人公は、その周りの人たちとの関わり方を、ちょっとずつ変えていく。
何か大きなきっかけがあって、という訳ではない。
周囲のいろんな人の、いろんな言葉によって、ゆっくりと動かされていく、そんな感じ。

ある夜、少し酔った主人公が語ったことが、印象に残る。
……だから俺、面倒くさがってんのかな
熱くなったり暴走したりして、後から“すいません、あれはなかったことにしてください”って言うのが恥ずかしいっつーか、怖くて全部面倒くさがってんのかも
周りの目を気にせず好き勝手なことやりたいとかさ
うるさいって思われても自分が思うこと主張したり、人に意見したりとか、望まれてなくても人のために何かするとかさ
弱ってるときとか、助けて欲しいときとか、堂々と“助けて”って言ったりとか
今の自分が嫌だから、無理かもしれないけど変わろうとしてみるとか
自分の好きなこととか、好きな人のこと、堂々と好きだって言ったりとか
そういう欲求、俺にもあったんじゃないのかな。でも……

あと、愛知県出身の私が個人的に面白いなと思ったのは、埼玉出身の主人公から見る名古屋の不思議ポイント。
「放課後じゃなくて授業後」とか「家賃はもちろん駐車場込みの値段」とか「名鉄名古屋駅のホームはありえない」とか。
それで、本の最後のページの著者の欄を見ると、
北海道出身、愛知淑徳大学卒業とある。なるほど、納得だ。

まぁ、とにかく良い小説だった。
人が変わっていくのはこういう風なことなんだ、と。
飛鳥井千砂も好きになった。

『はるがいったら』(すばる新人賞受賞作)も読んでみたい。

名鉄名古屋駅 :名古屋鉄道
ナナちゃんコレクション :名鉄百貨店
コメダ珈琲に行こう(シロノワール)
はるがいったら (集英社)飛鳥井 千砂
はるがいったら (集英社)
飛鳥井 千砂