2008-03-08

『飛ぶ教室』ケストナー作 丘沢静也訳 を読んで

飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)ケストナー飛ぶ教室
(光文社古典新訳文庫)
ケストナー(作)
丘沢静也(訳)

souiunogaii評価 ハート5つ

良い!私の中での久々のヒット小説だ。
内容紹介
孤独なジョニー、弱虫のウーリ、読書家セバスティアン、正義感の強いマルティン、いつも腹をすかせている腕っぷしの強いマティアス、同じ寄宿舎で生活する5人の少年が友情を育み、信頼を学び、大人たちに見守られながら成長していく感動的な物語。ドイツの国民作家ケストナーの代表作。
作者紹介
エーリッヒ・ケストナー (1899-1974)
ドイツの作家。8歳から80歳までの「子ども」たちに愛され、軽快で、簡潔で、男らしく、ユーモアにみちた作品を書いた。

20世紀のドイツ児童文学の傑作といわれる『飛ぶ教室』。
作者ケストナーはこの小説を子供たちに向けて書いたそうだ。それを私は20代半ばになった今になって初めて読んだのだけれど、いや、もう素晴らしく面白かった。
これは私個人の好みだけれど、やっぱり“少年たちの勇気と友情の物語”っていうのは、読んでいて一番面白い、最高のテーマだよな、と。

舞台はドイツの寄宿制の学校ギムナジウム。10歳で入学する9年制の中高等学校だ。そして季節はクリスマス。
主な登場人物は5年制の5人の少年たち。どいつも一人ひとりにそれぞれ固有の特別な魅力と才能と悩みを持っている。絵が得意、力強い、読書好き、才知に富む、様々だ。
学校の内外で巻き起こるいくつもの問題に立ち向かい、闘う中で、彼らの素晴らしい友情で結ばれた場面を、読者は何度も目撃する。
私は彼らを、文句なしの最高の仲間たちだと思う。

彼らに与えられた環境はバラバラだ。裕福な家の子・貧乏な家の子、親のいない子、勉強が得意な子・不得意な子、体の大きな子・小さな子。
でもそんな違いは全然関係ないのだ。
彼らは互いに信頼しあい、互いの才能を認め尊重し、喜びも悲しみも分かち合うことができる。

もちろん、この物語には大人たちだって出てくる。
学校の教師も舎監も、町の人も、両親も、少年たちが人生に必要ないろいろなことを学ぶ上で、たいせつな要素をいくつも与えてくれる。
大人の私が読んでいても、「ああ、そうだよな」と思うような、胸の奥のほうにズーンと入ってくる教訓的な言葉・話を、大人たちは子供たちに投げかける。

1933年に世に出た小説で、1899年生まれの作者が自信の学生時代のエピソードも基にして書いたという『飛ぶ教室』。
2008年の日本とは、国も時代も違うのだけれど、やっぱり正義とか勇気とか友情とか、そういうものの価値っていうのは共通な部分があるんだな、と。
だからこそ、時代も国も超えて読まれる小説になれるんだと思って、何だかそれって実はすごいことだよな、と感心してしまう。

いろいろダラダラと書いてしまったけれど、文章が上手くまとまらずにイライラしてしまうけれど、何とかしてこの傑作の魅力を伝えたいと思う。
こんな名作に対していろいろ語るのはやめて「とにかく読んで」と言うだけでもいいかなとも思う。
とにかく、この少年たちの物語を読んで、私は本当に楽しくて面白くてとっても良い気持ちになれた。感動したのだ。

やっぱりこれは実際に読んでいただくしかないや。
本当に薦められる小説だと思うから、ぜひ読んでみてほしい。
例えばそう、石田衣良の『4TEEN』が好きな人なら、きっと本作も好きだと思う。

最後に、私が特別にお気に入りの場面の文章を書いておこう。
マルティンとジョニーは黙って、菜園ブロックのあいだをどんどん走った。ギムナジウムの垣根のところで立ちどまり、息をついた。ふたりはなにも言わなかった。けれども垣根を越える前に、がっちり握手をした。
それは、無言の約束をしているようだった。言葉ではまったく言えない約束を。

Das Fliegende Klassenzimmer Erich KästnerDas Fliegende Klassenzimmer
Erich Kästner

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