2007-12-13

『恋愛寫眞 もうひとつの物語』市川拓司 を読んで

恋愛寫眞―もうひとつの物語 (小学館)市川 拓司恋愛寫眞―もうひとつの物語
(小学館)
市川 拓司


souiunogaii評価 ハート4つ

内容紹介
映画『恋愛寫眞』(監督:堤幸彦)との共作で、『いま、会いにゆきます』の著者・市川拓司が新たに書き下ろした「もうひとつの恋愛寫眞」である。
カメラマン志望の大学生・瀬川誠人は、個性的でとても謎めいた女の子・里中静流と知り合う。誠人は女の子にかなりの奥手だったが、静流とは自然にうちとけるようになる。やがて誠人は静流に思いを告げられるが、誠人には好きな人があり、その思いを受け取ることはできなかった。…卒業を待たずに清流は姿を消した。

この小説は2003年の映画「恋愛寫眞 Collage of Our Life」を元にして書かれた作品で、
この小説がさらに映画化されたのが2006年の「ただ、君を愛してる HEAVENLY FOREST」だ。
私は2つの映画がどちらも大好きで、何度も見たのだけれど、この小説は読んだことがなかった。
映画の印象が非常に良かったので、あえて原作を読むことは避けていた気もする。
それが、今回思いがけずこの本を手にする機会を得て、また心境の変化もあって、思い切って読んでみることにしたのだ。

市川拓司の名も、何度も耳にし目にしていたけれど、彼の本を読むのも実はこれがはじめて。
(「いま、会いにゆきます」も映画は大好きだけれど、原作は同じ理由から何となく読んでいない。)

確かに映画「恋愛寫眞」と登場人物名は同じだけれど、もうひとつの物語という通りに、「ただ、君を愛してる」はまったく別の世界の物語だ。
だから両者を比べたり、どっちがより素敵かなんて話は意味の無いこと。
それでも、一方の映画を見終わると、もう一方も頭の片隅に浮かんでくる。
いや、とにかく両方とも大好きな映画なのだ。

それで、この小説についてだけれど、やはり映画を見ていてストーリーも登場人物の姿もセリフも、読む前から頭に入っているので、思いのほかスラスラとあっという間に読めてしまった。
それでも、市川拓司の文章には、何か今までに他の作者の小説には感じたことのない不思議なものが、確かにあった。
カギ括弧の会話文で半分くらいが占められ、地の文では短文を連ねてくるし、改行を多用してくる。
よって、ページには何も文字の書かれていない空白のスペースがたくさん生まれる。
その白い部分からやってくる何かだったのかもしれない。

周りからはちょっと変わってると言われる主人公・瀬川誠人。小説中では「ぼく」と一人称で描かれる。
そして、人よりも少しオリジナルな不思議な雰囲気を放つ少女・里中静流。
その不思議さに隠された謎は、物語のエピローグに用意された、ちょっとしたサプライズで全てが明らかになる。
これも不思議なことだが、何度見ても(そして、おそらく何度読んでも)そこにはやっぱり感動がある、そんな気がする。
「いま、会いにゆきます」同様、クライマックスの表現が信じられないくらい共感を呼ぶし、心にショックを与える。この本も悲しい現実がくるのがわかっていながら、来てほしくない気持ちと、どこか来ないかもという少ない期待にしがみついて、泣きそうになりながら先を読み進める、そんな小説だと思います。

↑のやぎっちょさんの言葉が、この小説にぴったりな表現だと思う。

何だか本の感想と言うよりも、映画の話が多くなってしまったが、とにかく、この小説があったからこそ、あんなにもすばらしい映画が生まれたのだから、作者・市川拓司に感謝だ。
「さよなら」
彼女はそう言ってぼくに背を向け、歩き出した。ぼくもきびすを返し歩き始めたが、7歩目でふと思いついて立ち止まり、バッグからカメラを取り出した。
遠ざかる彼女はやっぱりおそろしく華奢な後ろ姿をしていた。
ファインダー越しに彼女を捕らえ、すばやくピントを合わせてシャッターを押した。
それが856枚のうちの最初の1枚となった。

映画「ただ、君を愛してる」公式サイト
DVD「ただ、君を愛してる」スタンダード・エディション「ただ、君を愛してる」
スタンダード・エディション


souiunogaii評価 ハート5つ

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