2007-11-15

『ヤバい経済学』レヴィット&ダブナー を読んで

ヤバい経済学[増補改訂版] (東洋経済新報社)悪ガキ教授が世の裏側を探検するスティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー(著), 望月衛(訳)ヤバい経済学[増補改訂版]
悪ガキ教授が世の裏側を探検する
(東洋経済新報社)
スティーヴン・D・レヴィット
スティーヴン・J・ダブナー(著)
望月衛(訳)

souiunogaii評価 ハート4つ

若手経済学者のホープが、日常生活から裏社会まで、ユニークな分析で通念をひっくり返します。アメリカに経済学ブームを巻き起こした新しい経済学の書、待望の翻訳。

本書は2人の著者レヴィットとダブナーの共同作業によって作られた。

レヴィットはシカゴ大学の経済学者。
2年に1度、40歳未満の最も優れた経済学者に与えられるジョン・ベイツ・クラーク・メダルを受賞した「アメリカで最も聡明な若手経済学者」だ。

ダブナーはジャーナリスト。ニューヨーク・タイムズに記事を書き、これまでに『さまよえる魂』『ヒーロー好きの告解』が全米ベストセラーになったそうだ。

そんな、2人の才能ある人が書いた本なら、面白くないわけがないと、読む前から期待に胸がふくらむ。

そして、実際に、本書『ヤバい経済学』は、面白さでは私がこれまでに出会った社会科学の本の中でもトップ3に入るくらいに、素晴らしいものだった。

“ヤバい経済学=Freakonomics”というタイトルが示す通り、その内容は他の一般の経済学の本とはまるで違っている。
こういう経済学もあったんだ!という感じだ。

一つの特徴は、扱っている題材もテーマも、非常に幅広く、一貫性が無いということ。そして、それらが私たちの生活している現実社会に実際にある「?」から生まれたものであること。
注意したいのは、経済学を分かりやすく説明するために、(手段として)身近な例を使っているのではない、という点だ。
そうではなくて、社会の中から著者が見つけた「?」を一つひとつ解明していくこと、そのものが著者レヴィットの研究の目的であり、本書のテーマであり、本書を特別に面白い本にしている理由なのだ。

通念を疑い、そこに誰も考えつかなかった新しい理屈を発見していく。
従来、正しいと信じられてきた理論を、「本当にそうなの?」とデータを丹念に冷静に分析しなおしてみる。すると、立派な学者や専門家が語ってきた理論は、実際にはデタラメだったりする。
そして、「マジかよ!」と思うような真実が浮かび上がってくる。
でも、もしもみんなが本当に気にしていることを疑問として立て、みんなが驚くような答えを見つけることができれば――つまり、通念をひっくり返すことができれば――いいことがあるかもしれない。

具体的に、本書で扱われている題材をいくつか挙げると、
不動産屋の広告、学力テストでの先生のインチキ、選挙と金と人気、銃社会、相撲の八百長、フェルドマンのベイグル、KKK、人種差別と格差、出会い系サイト、ヤクの売人、90年代の犯罪減少と中絶合法化、親の所得格差と子の教育格差、黒人と白人の名前の違いと格差
などだ。
どれも、興味深い事実に富んでいるものばかりだ。

そして、データ分析の際に、キーワードとして出てくるのが「相関」と「因果」という言葉。
煎じ詰めると、2つの変数が相関するにはいろいろな形があるのだ。XがYを起こしているかもしれない。YがXを起こしているかもしれない。別の要因があって、それがXとYの両方を起こしているのかもしれない。(中略)
家にたくさん本がある子は本がない子よりも試験の点が高い。つまり、これら2つは相関している、それはわかった。でも、試験の点の高さは他にもたくさんの要因と相関している。たくさん本を持っている子と本を持っていない子を単純に比べても、出る答えにはあんまり意味がない。ひょっとすると、子供の家にある本の数は親御さんがどれぐらい稼いでいるかを表しているだけかもしれない。

相関関係の見方を学者や専門家たちが誤り、ありもしない因果関係をもっともらしく語り、それが社会に広まり、通念としてまかり通っている。
レヴィットは、正しく相関関係を分析し、通念をひっくり返す。
ダブナーの魅力ある文章によって、その研究の面白さが100%伝わってくる。

以上、私の感想では、本書の魅力の1%も表現できていないかもしれないが、ぜひ実際に手にとって、最初の4ページくらいを読んでみてほしい。
それだけでもう、十分に、面白そうだという予感が得られるはずだ。
本当におススメの本だ、絶対に面白いから。

Freakonomics BLOG :New York Times

書評 - ヤバい経済学 :404 Blog Not Found
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A Rogue Economist Explores the Hidden Side of Everything
Steven D. Levitt
Stephen J. Dubner

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(ランダムハウス講談社)
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