2008-12-27

『迷惑メールは誰が出す?』岡嶋裕史 を読んで

迷惑メールは誰が出す? (新潮新書)迷惑メールは誰が出す?
(新潮新書)
岡嶋裕史


souiunogaii評価 ハート3つ

内容紹介
危険、そのクリック、ちょっと待て! あなたのアドレスは世界中に漏れている……。

見知らぬ相手から、なぜ次々に怪しいメールが届くのでしょうか?
あなたのメールアドレスが、どうして世界中に知れ渡ってしまうのでしょうか?
迷惑メールを送ると、一体誰にどんな利益があるのでしょうか?
そして、この無差別なメール攻撃はどうしたら防げるのでしょうか?
企業の通信システムを麻痺させ、人心をも破壊する迷惑メールの全貌を解明し、現代のネット社会の闇に迫ります。
もくじ
まえがき
第1章 天災より恐い迷惑メール被害
 全世界の1日のメール数は約1530億通。うち迷惑メールが85%!
第2章 なにが迷惑なのか?なぜ迷惑なのか?
 迷惑メールのルーツを探る。国や法律はどこまで守ってくれるの?
第3章 メールのメカニズムを知る
 メールはどうやって送受信を行うの?そのシステムに潜む落とし穴!
第4章 誰が出すのか?なぜ送るのか?
 なぜあなたのアドレスがわかるのか?真犯人をつきとめる!
第5章 迷惑メールを防げるか?
 無差別攻撃は、なぜ行われるのか?防御のための知恵を明かす。
第6章 秘伝・迷惑メール対処法
 もう悩まされないために……迷惑メールよ、さようなら!
あとがき

岡嶋裕史さんの本を読むのは、『ウチのシステムはなぜ使えない』『暗証番号はなぜ4桁なのか?』に続いてこれが3冊目。

本書は、いわゆる"迷惑メール"(未承諾広告メール、ウィルスメール、フィッシング詐欺メールなど)と言われるものについて、岡嶋さんが情報セキュリティの第一人者として、一般ユーザに対して分かりやすく説明したものです。

最初に、そももそ迷惑メールとは何?ということからスタートして、
法律的な定義や、具体的な迷惑メールの種類などを語ったあとに、
メール送受信における技術的なしくみを、けっこう詳しく丁寧に説明してくれます。
専門用語の解説は必要十分ですし、図表もふんだんに使われていて、とても読みやすいです。
このあたりは、岡嶋さんのこれまでの著作でも保証されているので安心です。

そして、後半では迷惑メールを送ってくる犯人の話に入っていきます。(フィルタに抜け道を作ってしまう方法や、架空請求・フィッシング詐欺の手口)
私がけっこう驚いたのは、
ビジネスとしての迷惑メール送信代行業は寡占化が進んでおり、200人ほどのスパマーが全体の8割を送信しているとの報告もあります。迷惑メールの送信代行料もかなり低価格だと言われています。
しかも、京都大学の高倉弘喜准教授は、スパムメールへの返信率が0.001%を超えれば広告主は採算がとれてしまうと試算しています。そのため、迷惑メールに広告を出す人は後を絶ちません。

という話です。インターネットというメディアのすごさを感じます。

その後に書かれている、迷惑メール撃退法や、防御法などの話は、
ネットに関わる人なら、一度は見聞きしたことのあるべき一般的な話
(技術的な対策、ユーザのセキュリティ意識、法整備の必要性の各面からの話を網羅的に)
になっていますが、それでもやはり大切なことがたくさんです。

特に、岡嶋さんの次の言葉は印象に残ります。

これを今後も享受し続けるために、すべてのインターネット利用者、メール利用者がもう一段階突っ込んだ情報リテラシを持つ必要が出てきたのだということです。一部の悪意のある人たちのせいで、よけいなコストを投じなければならない現状には憤りを感じますが、これは多くの社会システムに敷衍できることなのだと思います。

迷惑メールの被害者にも加害者にもならないために、こういう本を一度は読んでおくべきだと思います。

岡嶋研究室:関東学院大学(経済学部)

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